稀人ハンター川内イオさんとまなぶ_誰も教えてくれない「聴く」スキルでわたしの『稀』発掘体験_を開催しました!
福岡糸島市にある本屋アルゼンチン・インターン生の場作りユニット「ジェネレーター公民館」によるイベント第3弾を2024年9月14日に開催しました。
福岡県内、長崎、大阪から、12名の方が集まってくれました。私たちジェネ公は主催しつつイベントの参加者でもあるので、講師の川内イオさんと参加者16名で「聴く」スキルをまなび、自分の稀を見つけにいく時間を過ごしました。イベントの様子と参加してみての感想を書きます!
バラエティ豊かなメンバーと
集まってくれた12名のメンバーに加え、主催のジェネ公も参加しました。
・学校の先生やフリースクールの先生
・病院でソーシャルワーカーとして働き、対話の場づくりをされている方
・企業の新事業部門でインタビューなどを担当されている方
・新聞記者さんやライターさん
・プロのギタリスト
・アルゼンチン店主、人材開発など
仕事や働く環境は違えど、「聴く」ことを大事にしているひとや「なんか面白そう〜」と感じてくれた方が集まりました。
イベント
集まったみんなで持ち寄った本を紹介しつつ自己紹介を終え、いよいよイオさんから「聴く」スキルを伝授してもらいます。
「聴く」スキル伝授
イオさんの話、めちゃくちゃ面白かったです。人の話を「聴く」ことって毎日やっています。でも、人の話をちゃんと聴いていますか?と問われたら、「聴く」スキルを学んだ私の答えはNOです。もちろん仕事でインタビューをするときは意識しているものの、普段の会話を振り返ると、「あちゃー、やっちゃてるな……」の気付きがたくさんありました。
学んだ「聴く」スキルを、普段の暮らしでもちゃんと使えるようになれば、世界は変わるのではないかと思います。なぜかというと、人との関係性が変わるからです。自分の話をちゃんと聴いてもらったら、聴いてくれた人のことを好きになります。それを体験しました。
どんな仕事でもコミュニティでも。夫婦関係も子どもとの関係にも言えるのではないでしょうか。相手の話をちゃんと聴くことができたら、聴いてもらった相手は、自分を大切にされていると感じると思います。
ただし、ちゃんと人の話を聴くことって、簡単ではないんです。ついつい話したくなるんです、自分のことを。無意識に相手の話を受け流し、他の話題にいってしまっているんです。心して相手の話を聴くことが大切なんだと思いました。
「誰もが面白い」とイオさんは言います。人の面白さは=稀なポイント。
稀なポイントは、ちゃんと話を聴くことによって浮かび上がるんです。
どうやって?
イオさんがインタビューのデモンストレーションをしてくれました。ひとつの質問から、どんどん話が深くなったり、広がったりしながら、つながっていくんです。
みんなで、イオさんが聴くぽんちゃんの話に聴き入ります。そこから、どう聴いていくの? その次はどんな質問を投げるの? イオさんの頭のなかは、どうなってるの???
話を聴きながら瞬時に、次の質問を考えているそうです。
デモンストレーションのイメージをもったまま、ペアを作ってさっそくインタビューを実施、の予定でしたが、濃い学びで頭はパンパン。お腹も空いてきたので予定を変更して、先にお昼休憩をとりました。
ごはんを食べていざ、実践です。
相互インタビュー実践
受付時に引いてもらった「あみだくじ」で相互インタビューのペアが決まります。
イオさんが用意してくれた10の質問を手に、好きな場所で45分ずつお互いに話を聴きます。
この10の質問が面白かった。
10個のなかから質問を選んで相手に投げます。答えからさらに深く掘り進んでいきます。ここはイオさんから伝授してもらったスキルを活かします。うまく深掘りできると、相手の価値観や個性を感じるエピソーが出てきたり、質問に答えている本人が思わぬ気付きを得たりします。
わたしの感想としては、ペアの方が選んでくれた質問の回答に、自分でも驚きました。これまで聴かれたことのない質問でした。
45分ずつの2回、90分の相互インタビューを終えたら、みんなで感想をシェアしたり、イオさんへの質問タイム。
相互インタビューの感想
実際にやってみると、相手の話をじっくり集中して「聴く」ことって、普段の会話ではできていないな…と気づきました。つい口を挟んでしまったり、自分のことを話してしまったり。友人との会話や夫婦の会話、振り返るとちゃんと話を聴いていない自分が見えてきました。
自分の話を45分間ひたすら聴いてもらうことを体験して、なんて贅沢な時間なのだとも感じました。自分のことを聴いてくれるだけでで嬉しかったし、聴いてくれた人のことを好きになります……本当に。
いま、書いていて気付いたのですが、これがイオさんが伝授してくれた「聴く」スキルなのだと。相手の反応や質問を思い返すと、ただ「聴く」では、ダメなのだと感じます。ここに今回の学びのポイントがあるのだと。
イオさんが、なぜインタビュイーから深い話を聴けるのか。イオさんから話を聴かれた人が「聴いてもらえてよかった」と言ってくれるのか。イオさんだからできるのだと思っていましたが、「聴く」スキルを伝授してもらい、2回の相互インタビューを体験したことで、できなかったことや小さな手応えを感じつつ、続けていけばもっと上手くなれるのではないかと、兆しを感じることができました。
学びを忘れず、「聴く」スキルを磨いていきたいですね。
わたしの「稀」ポイント発掘
2回の相互インタビューを終えたら、ペア同士で相手の「稀」ポイントを書いたカードを交換します。
お手紙交換のようなほんわかとした感じかな……と思ったのも束の間、戦いを共にした同志と互いの頑張りを讃えあうような、清々しい空気が会場を包みました。
それだけ集中して相手の話を「聴く」ことは、カロリーを使います。45分。イオさんのインタビューに比べたら極短い時間ですが、慣れていないとけっこう疲れます。疲れる一方で、もっともっと相手の話を聴きたい衝動にもかられます。「このあとの食事会でまた話しましょう〜」と、あちらこちらで声が聞こえてきました。
稀カードには、ペアの方が感じたことを書いてくれました。稀なポイントを発掘してもらったわたしの率直な感想です。
「わたし、なかなかおもろいやん!」と、ジワジワと自信が湧いてきました。ペアの方に聴いてもらえなかったら、この「稀」 は浮かび上がらなかっただろうと思います。「余命一年と言われても今の生き方を変えないと思えるところ」「心は自分でどうにでも変えられると思えるところ……」。嬉しくて、まだ余韻に浸っています。せっかく稀なポイントを発掘してもらえたので、その「稀」を活かしていきたい気持ちです。
これまで自分の弱みでもあると思っていたところを、「稀」として発掘してもらいました。
「強く、強く、逞しく」カードに書かれた言葉を見て、今涙が出てきました。「頑張りすぎ」とよく言われてきました。でも、45分間わたしの話を聴いてくれた方が、この「稀」に辿りつくまでのわたしのストーリーを書いてくれていました。嬉しかったです。
インタビューを振り返り、相手の「稀」を書き出す作業も簡単ではありません。話を聴いていくと、「そこでそうくるか!」と感じる部分がありました。ひとがエネルギーを発する部分はそれぞれです。
「自分と違う、そこにめっちゃこだわりあるな、そこ尖ってるな」と思うところをより深く聴いていくのが面白かったです。わたしは、話を聴いている時に、もっともエネルギーの高まりを感じたところから、相手の「稀」を書き出しました。
「稀」の書き方は決めていないので、それぞれが思いのままに稀カードに綴ります。手紙風だったり、箇条書きだったり。インタビューを振り返りながら、ゆっくり、じっくり味わってもらえたら嬉しいです。
みんなの感想(一部)
今回のイベントに参加して、イオさんから「聴く」スキルを伝授してもらい、「聴く」「聴いてもらう」を体験したことで、それぞれのコミュニティに変化が生まれそうな予感がしていて、ワクワクが止まりません。
「聴く」スキルは、人と人との関係性を良くするし、それによって「場」にプラスの変化をもたらすことができると信じています。参加したみなさんの表情や場の空気感が最高でした。
「わかりすぎる世のなかだからこそ、お金を払ってわからないを体験する時代なのではないか」。アルゼンチン店主の言葉が印象的でした。
今回のイベントのタイトルも告知もわかりにくかったと思うのです。そこになにかを感じてくださる方が集まり温かい場が生まれました。イオさんから「聴く」スキルをまなび、稀を発掘する体験。可能性と手応えを感じることができました。
「聴く」スキルの可能性
参加者の声で多く聞かれたのが、「こんなにひとに自分のことを聴いてもらう機会はない」「忙しい毎日でひとの話をちゃんと聴けていない」「忙しくてひとと深く話す時間がない」「ひとの話を聴くことがメインの仕事であるため、自分のことを聴いてもらえる機会はめったにない」「聴いてもらえたら自分の人生も悪くないと思えた」といった声だった。
一度でもちゃんと自分の話を聴いてくれたひとがそばにいることは、安心感につながる。「聴く」スキルをもって話を聴いてもらったら、「自分も捨てたもんじゃない、なかなかやるじゃん」とジワジワ自信が生まれる。それを体験するからこそ、ひとの話をちゃんと聴くことが大切だと思える。
学校や企業、コミュニティなど、たて、よこ、ななめの、“つながり“が生まれたり強くなることで、結果として個が強くなれる場でも、有効なのではないかと思った。
マネジメントや教育、人事、キャリアに関わる仕事など、ひとに深く向き合うことを生業としているひとたちも、「聴く」スキルを学ぶことで関係性が変わるのではないか。
ビジネスパーソンの事例
今回のイベントに申し込んでくれたけど、お子さんの事情でキャンセルになってしまったビジネスパーソンの参加理由は興味深いものでした。その方は、大手メーカーでマーケティング部長を経験している。「組織において歳を重ねたり、ポジションが上がれば上がるほど、アウトプットの機会が増える。『聴く』ことより、プレゼンや講師など自分が話すことの方が圧倒的くな多い。そのため部下の1on1でも、正直ちゃんと『聴く』ができているのか不安。プレゼンは練習するが、『聴く』ことを学んだことはない。成績がいい部下は話しやすいが、成果が出てない部下となにを話せばいい関係が築けるのかわからない…」と話してくれました。会社員時代の上司との会話と関係性を振り返ると、明確にふたつに分かれました。相手が話を聴いてくれたのか、上司が言いたいことを伝える場だったのか。
「聴く」スキルで、関係性が変わると思います。
▶︎講師プロフィール
「稀人ハンター」川内 イオ
1979年生まれ。ジャンルを問わず「世界を明るく照らす稀な人」を取材し、多彩な生き方や働き方を世に広く伝えることで「誰もが個性きらめく稀人になれる社会」の実現を目指す。この目標を実現するため、2023年3月より「稀人ハンタースクール」開校。全国に散らばる50人のスクール生とともに、稀人の発掘を加速させる。著書:「農業新時代 (文春新書)」「ウルトラニッチ 小さな発見から始まるモノづくりのヒント (freee出版)」「1キロ100万円の塩をつくる: 常識を超えて「おいしい」を生み出す10人 (ポプラ新書)」『稀食満面 そこにしかない「食の可能性」を巡る旅』など7冊。
会場:本屋アルゼンチン
糸島・二丈エリアの最果ての地にわざわざ足を運んで遭遇する「わからなさ」が価値の本屋。ビジネスパーソンに届けたい「ビジネス書以外」を用意。並ぶ本以外に多様なイベントを展開中。ビジネスとアカデミアの間をつなぐ頼りない吊り橋として存在するのがこの本屋の特徴。吊り橋は揺れる。揺れるから身体に染み込み、忘れない。ズレとユレをアマゾンではなく、アルゼンチンから。
主催:ジェネレーター公民館
本屋アルゼンチンのインターン生で構成された場作りユニット。「なんとなく気になる」「面白そう」そういう感覚を大切にしながら、偶発的にそこに生まれるものとの出会いを楽しむ、面白がるひと。そんな人たちが集まる、誰でも来られるパブリックな「場」をイメージしました。
最後に
参加してくれたみなさん、稀人ハンターの「聴く」スキルを惜しみなく伝授してくれたイオさん、的確かつ心地好いゆるさでジェネ公にイベントを任せてくれる本屋アルゼンチン店主のナオキさん、一緒にイベントを作って楽しんでくれるジェネ公のみなさん、イベントをシェアしてくれたみなさん、みんなで作った「場」でした。豊かな時間を、ありがとうございました。
「場」をつくるって楽しい!これからも面白いことをやっていきたい!
「聴く」スキルを学ぶ場、広げていきたいです!
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