なぜ「名刺管理」から「営業DXサービス」へ?プロダクト責任者が語るSansanの挑戦
働き方を変えるDXサービスを提供する
Sansan株式会社のnote編集部です。
今回の記事のテーマは、今年4月にプロダクト刷新を行ったSansanです。
創業から会社の主要サービスとして成長してきたSansan。
16年目の今年、初めてプロダクトのコンセプトから「名刺管理」をなくしました。
コンセプトを変えただけ?と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、名刺管理市場を一から作りあげてきたSansanにとっては、大きな決断でした。
この記事では、プロダクト刷新の舞台裏をSansanのプロダクト責任者 加藤へのインタビューを通じてお伝えします。
創業直後から営業を一貫して担当し、現在はSansanの責任者としてプロダクト価値の最大化に挑んでいる加藤。コンセプトに込めた想いや、プロダクトの成長に営業が一翼を担うことの大切さについて、熱く語っています。
ぜひ最後までご覧ください。
なぜ、プロダクト刷新を行ったのか
ープロダクト刷新に至った背景について教えてください。
コロナ禍の影響でSansanの事業成長のスピードが一時的に落ちたことです。
Sansanではコロナ禍における営業活動のオンライン化にあわせて、いち早くオンライン名刺の提供など、新機能の開発を行いました。
しかし、紙の名刺の利用減少による新規契約獲得へのマイナスの影響が大きく、価格体系の変更といった対策も行いましたが、成長率の減速を止めるには至りませんでした。
抜本的な対応が必要だと経営陣含めて感じ、プロダクト刷新の議論がスタートしました。
ープロダクト刷新をするにあたって、どのような議論があったのでしょうか?
企業データベースを提供している企業は世の中にすでにあり、新たなマーケットを開拓してきたこれまでのSansanとは異なるという見方もありました。
ただ今回の刷新は、先行のマーケットに参入するものではなく、また、世の中にすでにあるサービスに取って代わろうというスタンスでもありませんでした。
既存で提供されている企業データベースは全て法人データがベースです。
法人データと、名刺管理の領域で蓄積した接点データを掛け合わせ活用するサービスは他にはなく、新規性があると確信していました。
そして、どうすれば営業力向上に貢献できるのか、その理想型をイメージし、プロダクトのコンセプトを決めることからスタートしました。
どのような世界観の実現のためにプロダクトを作り、プロダクトをどのように育てていくかを考えること、これが重要だと感じています。
新コンセプトを大きく振り切ったのは危機感
ー新コンセプトとして、「営業を強くするデータベース」というタグラインが明確に決まったのはいつだったのでしょうか。
新コンセプトが明確に決まったのは2021年12月です。
これまでは代表の寺田がSansanに関する決定を行うことが多かったですが、マルチプロダクト体制への移行で大きく変わりました。
経営の視点では、Sansanが複数あるプロダクトの一つであることは当然で、Sansanの成長に100%コミットする人が必要になりました。そこで、私が立候補しました。
Sansan Unitのゼネラルマネジャーの最初の仕事として明確に意識したのが、タグラインの変更です。
Sansanのプロダクトコンセプトから名刺管理をなくすという議論は、長らく行われていたのですが、なかなか決定には至っていませんでした。
しかし私自身は、Sansanの成長に一番の責任を担う立場として、変化を作らないと今後の成長は見込めないと考えていました。
正直、正解かどうかは分からないですが、それはみんな同じです。それならば、覚悟をもって変化の最前線に立ち、Sansanの成長をリードしたいと思いました。
世界を変えることを本気で目指して、ミッション・ビジョンを掲げているのが当社です。
会社が継続的に成長し、その延長線上に、掲げたミッション・ビジョンがあると感じられるからこそ、自分事にすることもできます。
しかし成長が鈍化してしまうと、誰も到達しないと感じているのに、合言葉としてミッション・ビジョンを掲げる会社になってしまいます。それに対する危機感を私は強くもっていました。
そんな本質的でない働き方はあってはいけないと感じたからこそ、使命感をもって取り組みました。
営業現場に新コンセプトを浸透させるために意識したこと
ー新コンセプトを営業現場に伝える中で、特に意識したポイントは何でしょうか。
未来の機能を提示しプロダクトのコンセプトを語って支持を得る営業は、創業時から培われてきたSansanの営業のスタイルだと言えます。しかし、組織が拡大した今、全員がそういった営業に慣れているわけではありません。
機能がまだ実装できていない中、営業活動をスタートすることになったので、営業メンバーにとっては怖さもあったと思います。しかし、Sansanが再び営業DXサービスとしてPMF(プロダクトマーケットフィット)していくためには必要な挑戦ですし、その重要性やノウハウについては営業メンバーに繰り返し伝えました。
もちろん、Sansanのプロダクトマーケティングマネジャーを動員し、現場のサポート体制には気を配りました。
SaaSの営業において、プロダクトの世界観をきちんと伝えることはとても重要です。SaaSの利用でお客さまが求めているのは、目下の業務改革ではありません。加えて、SaaSのビジネスモデルは継続での利用を前提にしています。
だからこそ、目の前の課題にフォーカスするのではなく、お客さまが目指す未来像を共有してもらい、今できることと、未来に提供できるプロダクトの価値を伝えていくことを大切にしています。
どういう世界を実現してくれるのだろうか、この会社と歩むことでどういう営業組織に変化できるのだろうか、こういった期待値を醸成すること。
このポイントは、PMFを目指す今のSansanにおいて求められることですし、営業現場は意識してくれたと思います。
ーPMFを目指す中で社員の意識に変化はありましたか?
営業もマーケティングも、意識は大きく変わったと思います。
Sansanは長らく名刺管理市場でシェアを確立してきたので、従来の営業やマーケティングスタイルの中で、効果を最大化させることに慣れている状態だったと思います。
しかし今回のプロダクト刷新は、PMFしていた時とは全く違う戦い方が必要になっており、社員のマインドチェンジが重要でした。
どういったメッセージが世の中に刺さるのか明確な答えはありません。
PMFする過程は、全員サッカーみたいなものです。営業もマーケティングも、マーケットからの反応をつぶさに感じ取り、密に連携するので組織内の連携が格段に増えました。
プロダクト刷新による手応え
ープロダクト刷新によってお客さまの反応に変化はありましたか?
特にSMB領域では事業成長に貢献できているという実感があり、プロダクト刷新による効果を感じています。
また、名刺管理サービスと認識されていたときは、検討事項として優先順位が低く保留されていた先で、プロダクト刷新の内容をお伝えすると、すぐに検討に至ったケースがあります。
名刺だけでない全ての接点データに加え、企業データも活用できる。営業DXを推進する上で、必要なデータが全て揃っている状態なので、営業・マーケティング活動に役立つことが理解されやすく、最優先検討事項と受け止められたのだと思います。
新しいコンセプトにより、プロダクトの価値がより伝わる状況になったと実感しています。
ただ、Sansanが名刺管理サービスとして、世の中に受け入れられた瞬間の事業成長のスピードにはまだ至っていません。
世の中に本当に必要とされているプロダクトだと感じる瞬間がPMFした時ですが、機運は高まり始めていると感じています。
Sansanによって営業の働き方を変えたい
ー生まれ変わったSansan。今後の展望は?
世の中では営業DXという言葉が一人歩きしている印象がありますが、Sansanが実現したい営業DXは「データドリブン営業」です。
営業は一人でやるのでなく、また、営業部門だけでやるのでもありません。営業に関わる全ての人がデータをもとに判断し、アクションを起こせる状態がデータドリブン営業です。
営業DXサービスは数多く提供されていますが、全社員がデータを活用できる体制を構築できるサービスは他にありません。しかし、その体制の構築こそが、営業DXの実現においては大きなステップだと思っています。
もちろん、サービスを導入したからといって、すぐに営業DXが実現できるものではありません。
営業のパフォーマンスや課題に対してテクノロジーやデータを使い続けながら、ツールを取捨し、ある日振りかえると、昔と全然違う働き方で営業をしていると感じられる。データドリブン営業の実現までには、一段ずつ階段を上がっていく地道な取り組みが必要になりますが、Sansanの利用により一気に何段も階段を駆け上がり、景色をがらりと変えることも可能です。
そんなSansanの世界観を営業を通じて広げていきたいと思います。
編集後記
ここまで読んでいただきありがとうございました。
Sansanのプロダクト刷新の裏側をお届けしてきた加藤のロングインタビューはいかがでしたでしょうか?
プロダクトコンセプトを世の中に届けることに日々向き合っているSansan営業の姿を通じて、SaaS営業の面白さも感じていただけたのなら嬉しく思います。
Sansanはまだまだ成長過程のプロダクトです。
引き続き、ご注目ください!
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