「短編小説」出来そこないの死神 【まくらさん共同マガジン企画】
「因果な商売についちゃったよな…」
ビュービューと冷たい風が吹き荒ぶ古い病院の屋上でレオは煙草をふかしていた。
デコボコになったむき出しのコンクリートの床が建物の古さと朽ち落ちていく物の哀愁を感じさせる。
此処は旧病棟ビルで、もうすぐ取り壊しが決定している。入院患者達は新しいビルの方へ既に移転していて、後は事務関係の書類を運び出す段になっていた。
だから、煙草を吸っても文句を言う奴はいない。
いや、その前に俺の姿が見えるのは、これから「死の宣告」を行う人間しか居ないだろう。よ