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はるいちばん ルンルンうきうき エッグタルト
とんでもなく美味しいエッグタルトに出会った。
立春も過ぎて、最高気温が二桁を超える日も珍しくなくなったその日も、午前中の日のヒカリはとてもあたたかく、お化粧をして髪の毛を巻く手元もウキウキ。久しぶりに出すちょっと薄めのコートを羽織って、スマホのホーム画面を見ると【最高気温:7度】の文字。
7度って、あの、一桁の7度ですか?この、すんばらしく気持ちの良い午前中の陽気が、7度ですと?
半信半疑だけれども、スマホの天気予報はわざわざわたしをハメには来ないだろうから、これは本物。一度羽織ったコートをハンガーに掛けて、ダウンコートに衣装チェンジ。
外に出ると、あの陽気にしては、寒すぎる。でも、決して寒くはないとマフラーはトートバッグに忍ばせて、待ち合わせ場所に向かう。電車を降りて、気付いたら閉店してしまった渋谷・東急本店の前を冷たい風がぴゅうっと吹く。シャッターの閉まった百貨店が、寂しそうにしている。
それを振り切り、代々木と渋谷のちょうど中間地点のようなその場所でひっそりとランチをしたわたしたちは、あの陽気が恋しくて、あと少し珈琲でも……と歩みを進める。
きっと同じことを考えたであろう人たちでどのカフェもいっぱいで、これはもうおうちに帰るしかないのか……としょんぼりしていたところに
「この近くにね、美味しいエッグタルトがあるの。わたし、買いに行く‼︎」
とスキップし出した彼女について行った先には、甘い甘い良い香り。
「ここのエッグタルトは、ふたつ買うの。ひとつは、買ってすぐに摘む用。もう一つは、お家に帰って温め直して食べる用。」
と教えられた通り、一人二つとちょっとずつのエッグタルトを抱えると、目の前は代々木公園。凍てつく風はやっぱりまだまだ冬のものだけれども、心はピクニックをしたい気持ち。
パクッと口に入れたそれは、サクサクとしたパイ生地にふわっとした甘ーいクリームが入った、あの、マカオの路地裏で食べたそれで。これは、スキップしたくなる味だ。
夕焼けに向かってスキップしながら帰宅すると、お家も身体もキンと冷えていたけれど。「今日のわたしたちにはエッグタルトがあるんだぞ!」と持ち帰ったそれをグリルでちょいと温めて。
あったかいコーヒーと一緒に摘んだら、心も体もホックホク。あんまりにも美味しかったもんだから、どう美味しく食べるかばかり考えて、すっかり写真を撮るのを忘れてしまった。
人生そんなもん。
今度は、その場で摘む用と、温めて食べる用と、お写真に撮る用ともっといっぱい買ってこよう。きっと、その日中になくなっちゃうだろうけども。
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