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身体障害者手帳とセットで持ち歩きたい都営無料乗車券ー発行手続きから利用方法までー
「都営交通無料乗車券」というものをご存知でしょうか。
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「都営交通無料乗車券」
都内に住民票のある身体障害者、知的障害者、生活保護世帯の方などに発行される、乗車券。都営地下鉄全線、都営バス(江東01を除く)、都電、日暮里・舎人ライナーを無料で利用できる乗車券
わたしたち聴覚障害者も「身体障害者」となるため、この乗車券を発行してもらい、都内を移動することができています。
これは、わたしが毎日使っているパスポートのようなそんなものです。せっかくこのところ毎日更新しているので、わたしにとっては日常でも、音の世界の人たちにとっては非日常のことを、音のない世界の人たちにとっては役に立つことを、たまに、ちょっとずつご紹介できたらなと思っています。
○発行の対象
都内に住民票があり、かつ身体障害者手帳を所持している方が対象です。
(他にも、愛の手帳所持者・戦傷病者手帳所持者の一部・被爆者健康手帳所持者の一部も、以下同様の手続き及び利用方法が適用されます)
詳しくは、こちらをご覧ください。
○通用期間
発行から3年間です。市区町村の窓口に、現在使っている無料乗車券と証明書(自分の手帳)をもっていくと、更新ができます。更新時期は、通用期限が切れる月の初日から通用期限経過12か月後までの間になっています。
○発行手続き
証明書(自分の手帳)を持って市区町村の窓口に行くと、手続きができます。申請にお金は不要です。手帳の発行手続きや、住民票の移動をした当日に手続きができるので、時間に少し余裕をもって役所に行くことをお勧めします。
障害者福祉課には手話通訳者さんがいることもあり、わたしが申請をしたときも手話通訳者さんが一緒に手続きをしてくれました。申請書類も全て窓口で用意してくれます。
発行すると、手帳の別冊に手続きをしたことが分かるようスタンプを押してもらい、磁気式のカードを手渡されます。その際に、使い方等も説明してもらえます。
この無料乗車券は、わたしたちの、そしてたくさんの人たちの税金のおかげで発行していただいているものです。そのため、いつ誰にどの番号の乗車券を発行したのかがきちんと記録されています。もちろん、紛失はご法度。「再発行は、一度までです!」と念押しをして手渡されました。
○利用方法
・都営バス、都電を利用する際には、乗務員さんに提示
・都営地下鉄、日暮里・舎人ライナーを利用する際には、有人改札で係員さんに提示するor自動改札機に通す
特に都営地下鉄にある、東京メトロ等との乗り入れで改札を通らなかったときには、降りる駅の有人改札で清算してもらいます。駅員さんというのはどこに行っても親切で、身振り手振りや筆談でやり取りをしてくれるので安心です。ただ、有人改札が混み合っていることもあるので、このときもちょっと時間に余裕をもって行くことをお勧めします。
また、介助者の割引を受けるためには身体障害者手帳が必要です。本人確認としても大切なので、都営無料乗車券を利用する際も、身体障害者手帳は必携です。一緒に持ち歩きましょう。
○ ICカード式無料乗車券への変更
実はこの無料乗車券、ICカード式(PASMO)に書き換えてもらうことができます。わたしもこの形にして使っています。ICカードになっていると、東京メトロ等から乗り継いだときの差額だけが引かれるので、とても便利です。
都営地下鉄の定期券発売所(本八幡駅を除きます。)、日暮里・舎人ライナーの定期券発売所(日暮里駅)に行くと、変更してもらえます。これ自体にも特にお金はかからないのですが、ICカードを新規に発行する際にはデポジットが必要です。
ただしこれは、大人用の記名式ICカードだけで、モバイルPASMOやクレカ付帯のものには対応していません。オートチャージを使いたいわたしは、都営線を使ったり乗り入れのものに乗るときはこのICカード、その他の場面ではモバイルSuicaを使っています。(特急のグリーン券を買うときに便利なので)
また、小児用PASMOも適用対象外なので、12歳となる年度の3月31日まではICカード式に変更できません。聴覚障害のある子たちは、無料乗車券の磁気カードと小児用Suicaを併用している子が多い印象があります。
○ ICカード式無料乗車券の使い方
これは、他のICカード同様に改札にタッチするだけです。チャージは、券売機のチャージ機能を使っています。
○障害者割引は、身体障害児の教育を受ける権利・社会参画のための権利です
この無料乗車券の存在を知る人からは
「さんまりちゃん、都営線が無料になるんでしょう?いいなーー。」
と言われることも多くあります。
その場では
「ふふふ。ラッキーなのよん。」
なんてサラッと答えることも多いけれども。
でも実際、聴覚障害のある子たちは必要な教育を受けるために地域の学校以外に通うことも多く(ろう学校や難聴学級など)、そのための交通費の負担が大きかったり、大人になってもイベントや通院等の際に手話通訳の派遣をお願いする際には、通訳者の手配やその交通費の負担(居住市区町村を超える場合に発生することがあります)などの労力や経済的な負担もあります。
手話通訳を必要としなくても、映画を観に行きたいときにも。聴覚障害のあるわたしたちの多くは、スピーカーを通した機械音声の聴き取りが難しいため、日本語字幕付きの映画をみにいきます。でも、この字幕上映のある映画って、限られていて。
例えば、今公開中の「実写版 耳をすませば」だと、都内で日本語字幕上映をするのは一館のみ。しかも、2日間だけ……‼︎
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聞こえる人だったら、デートの合間に「この後映画に、その辺の映画館でも行く?」くらいの感覚で行けるけれども、わたしたちは上映前から字幕付きの映画館を探して、スケジュールを調整して、交通費をかけてみにいきます。
歩いて行ける近所の映画館でも上映しているのに、新宿まで行かないといけないんですよ……!だったらいいや、ってなりません?(わたしは、もういっそ金曜ロードショー待ちです)
それでも、都営使っていけばちょっと安くなるしなぁ……行こうかな、のきっかけになってくれています。たぶん。たまに。
聴覚障害なんて移動の不自由ないし、障害者割引を使うのはなんだか申し訳ないなぁとか思わないで、ちゃんと、みんな使っていいと思っています。権利なので。
それがきっかけで、お耳の後輩たちの、仲間たちの、みられるものがひとつでも増えれば、経験が増えれば、素敵じゃあないですか。
と思いながら、いつも利用させていただいています。ありがとうございます。
他の自治体にも同様のサービスのあるところがたくさんあります。(仙台市営、京都市営、大阪メトロあたりでみたことがあります。他にもあるのかな。ご存知の方、ぜひコメント欄等で教えてください!)
⁑関連するnoteはこちら⁑
・聴覚障害のあるわたしのもとに、身体障害者手帳がやってくるまでー申請と交付の流れー
・聴覚障害のあるわたしのもとに、身体障害者手帳がやってくるまでーお値段、いくらかかったの?ー
・聴覚障害者のわたしが実践している!映画を楽しむ5つの方法
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