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【マイコプラズマ肺炎闘病記】数字じゃ表せない辛さが、そこにはあった

遡ること10日前。
目が覚めるとともに体の異変に気付いた。

そこから、マイコプラズマ肺炎と診断されるまでの経過を綴ろうと思う。マイコプラズマ肺炎患者の80%〜90%は子どもだそうだ。だから、うまく説明できずに苦しんでるお子さんのためにも体験談を伝えられたら、と思っている。
(なお、人によって症状は異なる)


◾️1日目

なんだろ、これーー。
とてつもない倦怠感が全身を襲っていた。
指1本動かすのですら重く感じる。

まぁでも、こんなことは初めてじゃない。生理前とか、ちょっと疲れが溜まってる時とか、たまにある起きれない朝。

この日もそんな風に思ってのそのそと起きた。


「あー……だるい。しんどい……。」
そう呟きながら、なんとか子ども達をそれぞれの場所まで送り届けた。

もしかして熱があるのかもしれないと何度も思って、その度に体温計をあてた。でも何度測っても体温計は37℃以上になることもなく、原因不明のだるさはただの疲れとしかカテゴライズできない状態で私の上にのしかかった。


3連休明けの火曜日。
夫はすでに単身赴任先へと旅立っていたし、頼れる人もいない。夕方に子ども達が帰ってからおこる様々なこと(宿題を見る、夕飯を作る、お風呂に入れる、歯磨きして寝かしつける)は私1人の肩にかかっていた。

しかしだるい。昼の間は体力温存のため、布団から出られずに過ごした。

子ども達が帰ってからは、重い体を引きずりながらなんやかんやでこなす。

夕飯は朝に炊いたご飯と冷蔵庫にあったしらすでごまかしつつ、子ども達には早めに布団に入ってもらった。


◾️2日目


発熱。37〜38.4℃のあたりをうろうろ。あーやっぱり風邪だったか。それなら体の重さも納得。

内科を受診するも、コロナ陰性。
解熱剤のみ処方されて終了。

「熱がある=体温が38度以上ある」というのは周囲に体調の悪さをアピールするのに圧倒的な説得力を持つ。

「ママは熱があるので今日は動けません。」と宣言して夜もほとんど寝て過ごす。


◾️3日目

37℃〜38℃をうろうろ。それと、とにかく体が重い。食欲は一切わかず、とにかく寝ていたかった。一日中何も食べずに過ごす。

このだるさをなんと表現しようかずっと考えていた。体の周りを20cmくらい泥で埋め尽くされているような……体の内側5cmの感覚がなくなって鈍感になっているような……五感全てにマシュマロを詰め込んだような……と色々考えて一番しっくり来たのがこれだ。
体が何か別のものに乗っ取られている。うん、そんな感じ。

何かしようと考える、けど、体は別のものに乗っ取られていて動かせない。動かすためにはものすごい気力と体力が必要で、ようやく目的を果たした後はどっと疲れる。誰かが私を呼んでいるけど、ものすごく遠くから呼んでるように聞こえる。

この日はチンしてできるぶっかけうどんを食べさせて終わり。


◾️4日目


37℃〜38℃をうろうろ。咳がではじめる。とてつもない倦怠感は変わらず。

何も食べなくていいのは私だけで、子ども達は元気いっぱい腹ペコ状態。

サトウのご飯と、冷凍のお好み焼きでごまかす夕飯。アンパンマンの魚肉ソーセージを三男に握らせた。ちょうど実家から巨峰とシャインマスカットが届いたから、それを栄養源とする。

洗濯をする気力がわかず、3日間溜め込んでしまった。4人家族で3日間洗濯をしないと本当にヤバいことになるのは分かってたけれど、分かっていてもどうしても起き上がれなかった。

この日、次男の肌着が底をつきた。
肌着がない!」と半裸で泣く二男。
「ごめん、ないもんはないの……。」と謝る私。

なんでか忘れたけれど三男も号泣していた。
二男は「肌着がない!」と泣き続ける。
「肌着がなければTシャツを着ればいいじゃない」とアントワネットしてみたけれど、そんなもん通じる相手じゃない。

「肌着がない!」の一点張りで1時間ほど泣き続ける二男。なんでか知らんが泣き続ける三男。その阿鼻叫喚の中で、我関せずと漫画の世界に没頭する長男。


兎にも角にも具合が悪くて、誰かに助けて欲しかった私はこの日、初めて、子ども達の前で泣いた。

床に突っ伏して、3日間風呂に入っていない臭い頭を振り下ろして、「女の人が具合が悪い時くらいサァ!協力しようとか思わないの!?」と涙を流した。(どうかしていた)


地獄絵図


結局長男の新品の肌着を借りるというところで手打ちとなった。


◾️5日目


37℃〜38℃をうろうろ。とんでもないレベルの咳がでる。息継ぎができない。ひと呼吸ごとに咳が出て普通に息ができない。昼夜問わず出まくる咳に、寝ることもできなくなった。

この日から3連休。家事は夫に全振り。


◾️6日目


ようやく熱が下がる。しかし咳がやばい。咳のしすぎで腹筋とアバラ骨が痛い。咳をするたびにズンズン痛む。

筋トレで腹筋しすぎた次の日に友達に笑わされたことない?「もう!やめて!腹が!痛いから!」
それが咳におこる。「咳!やめて!痛い!」

咳止めを飲むもあまり効かない。そして薬が切れる頃には咳爆弾で息が苦しくなる。ちなみにこの頃のspo2は93〜94だった。

暑いのに、寒い。
汗をかいているのに、寒気がする。
足の先、指の先が冷たく真っ白になって痺れた。
羽毛布団3枚かけても足りないほど寒い、と感じた後、気がついたら眠っていた。


◾️7日目

熱はない。spo2も97。数値で見れば、私の体は元気に見えた。だけどそうじゃない。
強烈な倦怠感と、止まらない咳と、食べられないことで体力の消耗が激しい。

もしもね、子どもだったら。
「だるいから学校休みたい」って言うと思う。
「熱もないし、咳だけなんだから薬飲んで学校行きなさい!」って言うご家庭もあると思う。でもこれ学校は無理。ぶっちゃけ意識がやや朦朧としている。

休日急患医になぜ行かないのか?
それには理由がある。休日急患医は行くべき時と行っても無駄足のことがある。今回は「無駄足」パターン。休日急患医は基本的に1日分しか処方箋が出せない決まりになっている。だから、しんどい思いをして待合室でバイキンをばら撒いた結果、もらえるのは今日1日分の咳止めだけになる。
平日になるのを待ってまた病院に行かなきゃいけないのが分かっていた。だからそれまで待つ。それが最善なのだ。(子どもなら行ったかもしれない)


◾️8日目

やっと平日がやってきた……!!朝イチで病院に駆け込む。

医師「今日はどうされました?」
私「咳ッゴホッゴホッゲホッガハがッ……!1週カッガハッガハッゴホッ間ンッオホッゴッゴホッ!」

医師「熱はどうですか?」
私「1週ッゴホッゴホッゲホッガハ間ガッホゴホッゴホ前エェッオッホッグエ!にッンッゴホ!さんじゅう……!!」

医師「筆談にしましょう。」

筆談で経緯を書き、レントゲンを撮る。

医師「肺炎ですね。ここと、ここ、白い影ができてます。胸痛の場所とも一致します。マイコプラズマ肺炎だと思いますので抗生物質を飲んで様子をみましょう。1週間後に再度レントゲンを撮ります。治りが悪ければ薬を変えます。マイコプラズマ肺炎はただの風邪で終わる方がほとんどですが、まれに肺炎になってしまう方もいます。咳が治るまで4週間ほどかかります。」


……4週間!!!ながっ!!

そんな訳で、体調を崩してから8日目にしてやっとマイコプラズマ肺炎という診断がくだされた。あーやっと。これで。治る。

抗生物質を手に入れた私はもう無敵だ⭐️


◾️9日目


これだから抗生物質は嫌いだよ。
お腹ゆるゆるやん。飲んですぐ、トイレから出られない。ウイダーインゼリーしか飲んでないのに無茶苦茶お腹を下す。薬変えたい。泣きっ面に蜂とはこのことだ。

しかも咳は止まらない。
咳止まらないのに腹下すとか、抗生物質は一体何してんの?仕事して?


この日、子ども達が協力してほうとうを作ってくれた。泣いた。

(あったかい……)


◾️10日目


朝起きると、私の中に寄生してた何者か、なんか乗っ取られていた奴が弱まっている感じがした。
咳は相変わらず止まらないけど、だけど謎の倦怠感がずいぶん楽になっていた。ご飯を食べて美味しいと感じた。スマホの文字を読める。

五感が元に戻っている。
耳に詰められていたマシュマロが取れた。

痺れていた指先に血液が通った。その指先で今、この記事を書いている。ああぁ。字が書ける。読める。嬉しい。



ちょうど昨日夕方のニュースで
「マイコプラズマ肺炎患者が統計開始以来、過去最多」という特集をしていた。患者の9割が小児だという。

発熱の後、長引く咳が特徴だそうだ。

もしかして?と思った方はぜひ医療機関にご相談してほしい。肺炎になっていたら、ものすごく、辛いから。

子どもの「だるい」は本当に「だるい」のかもしれないから。


ここまでお読みいただいたみなさま、ありがとうございました。

この記事はできるだけ「マイコプラズマ肺炎の症状」をお伝え出来ればと思って書きました。取り急ぎ、流行っているというマイコプラズマ肺炎の体験談を世に出しておきます。


実際はこの10日間の中ではもっと伝えたいドラマが色々あったので、そちらはまた別記事でエッセイとして書く予定です。

みなさまの記事にも全く遊びにいけませんでした。色々気になることがあったのですが、ゆっくり回らせていただけたらと思います。



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