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アラフォー主婦が1か月野球をやり続けて得たもの【REAL ROOKIES⚾️】
何がどうしてこうなったのか分からない。
分からないけど、なぜだか私は今、野球場にいる。キラキラ輝く瞳の少年たちに囲まれて。
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⚾️・・・
さかのぼること1か月前、小学4年生の長男が言い出した。
「野球やりたい!」
やきゅう〜?
我が家はどちらかというとサッカー派で、小学1年生の二男はサッカースクールに通っている。
聞くところによると、長男と同じクラスに少年野球チームに所属している子がいるらしい。その子は大谷翔平が大好きで、各小学校に1つずつ配られたグローブをそれはそれは宝物みたいに見ていたと。
野球に関してはルールもいまいち理解していない息子たち。
まぁ、やりたいってんならやってみようか。
というわけで、自宅にあったポヨポヨボールでキャッチボールを始めた。
・1日目
近所の小さい公園で長男と私が向かいあってボールを投げ合う。……のが理想だったのだけど、お互いヘタクソすぎてキャッチボールにならなかった。
「あー!」
「ごめーん!」
「うわー!」
「もう!」
コロコロ転がったり、頭の上を飛び越えていくボールを何回も拾いに行った。
そしたら二男が
「俺バッターね」
と言いながらクレラップを構えた。
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長男が投げる!
二男がクレラップを振る!
二男の頭にボールが当たって跳ねる!
え、ギャグ?
あまりのポンコツぶりに3人で爆笑した。
1日目はこれだけで2時間経過した。
・2日目
「今日も野球やりたい」
学校から帰ってきてすぐ、また近くの公園に行った。
クレラップミニだと短いので今度は長いサランラップをバットにした。
何回か球に当たるようになった。といっても当たるだけで前には飛ばない。だってサランラップだから。
・3日目
土曜日。
連日野球をしている話を夫にすると
「ドンキ行ってカラーバット買ってくるわ!」と朝から出かけて行った。
……カラーバットって何?
帰ってきた夫の手にはプラスチックのバットが握られていた。
軽くて短くて、おもちゃみたいなバット。
でも息子たちは大興奮で喜んでいた。
「野球行こうぜ!これで俺たち大谷翔平になれるな!」
子どもの自信ってすごい。時に眩しすぎるくらい。
さすがにカラーバットまで使いはじめたら近所の公園では危ない。いくらぽよぽよボールとはいえ、公園から出てしまう危険性も考えて別の公園に行くことにした。
運の悪い良いことに、自宅近くに野球場が自由に使える大きな公園がある。
さっそくそこでカラーバットで打つ練習をしてみた。
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……全然球に当たらない。
そして「俺の番!」「次俺の番!!」と喧嘩が始まった。
バットの両側を引っ張り合って大喧嘩の兄弟。
夫の雷が落ちて3日目が終了した。
・4日目
この日も野球場に行った。
ところが日曜日は少年野球の試合があって使えないことが分かった。
練習は諦めて、たまっていたドリルを消化することになった。
・5日目
学校から帰ってくるなり
「今日は野球場あいてるはず!行こうぜ!」
と宿題もやらずに野球場に行くことになった。
二男はまだ小学1年生なので、2人だけで行かせられない。
私もついて行くしかないので3人でカラーバットとボールを持って球場へ行った。
今度は喧嘩にならないように、1人何球ずつで交代しよう、と決めごとをしてから始めた。
私が下からボールを投げて、子どもがバットを振る。その練習をひたすら続けた。
何本かに1本は、かするようになってきた。
・6日目
キャッチボールの練習をした。
誰もグローブを持っていないし、投げるのもへたくそなのであっちこっち転がりまくるボール。あまりにも拾ってばかりなので、野球っていうより「落穂拾い」みたいだった。
・7日目
連日、学校から帰ってきてからすぐに野球場に行き、17時のチャイムが鳴るまで野球の練習を続ける。
それから三男の保育園のお迎え→夕飯→お風呂→寝かしつけ。
長男と二男は宿題を寝る寸前にやっつけ仕事でこなすようになった。そしてこの日、ついに疲れて宿題をやらずに寝落ちしてしまった。
当然私は怒った。(その前に宿題やらせろよってね)
そしてこの日から、新しいルールができた。
「宿題とドリル全て終わってからじゃないと野球禁止」
・8日目
テレビでプロ野球の中継をやっていたからみんなで見た。
そして質問攻めにあう。
「B・S・Oってなに?」
「あの人目の下なんで黒いの?」
「あの黒いのって絵の具?かゆくならないの?」
「なんでピッチャーは1塁にボール投げたの?」
「スライディングするより走った方が早くない?」
「大谷翔平いつでてくる?」
「あの人なんか食べてるよ!試合中にお菓子食べていいの?」
ちょ…待って……と言いながらグーグルに教えてもらった。
・9日目
「今日はちゃんと宿題してから行く!」
2人とも帰ってすぐに宿題に取り組んだ。
そしてすぐに野球場へ。
子どもたちだけではあまりにもピッチャーがへたくそで、バッターが打てない。そしてなぜか私がピッチャーになった。
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打ったら1塁に走ることを教えたら、ファールだろうと何だろうと1塁まで走るようになった。
「ファールの時は走らなくていいんだよ」
と教えても、当たったら1塁まで走り出す。走らずにはいられないようだ。そうプログラミングされてしまった。
・10日目
土曜の朝。まだ6時なのに夫と子ども達3人で野球に行った。早すぎる。
朝練の始まりだった。
お昼近くになって泥んこになって帰って来た。
今日はトスバッティングをしたらしい。
トスバッティングって何?
・11日目
日曜日はやっぱり少年野球チームが野球場を使っていたので、練習試合を見ていた。
「野球やりたいの?」と監督に声をかけられて、見学会のチラシをもらった。2人ともやりたいやりたい!!と大騒ぎ。
うーん、どうしようか…。
少年野球に所属している子どもたちは、ユニフォーム姿で泥んこになって練習をしていた。
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・12日目~14日目
雨
練習用にホームベースを手作りする子どもたち。
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・15日目
久しぶりの晴れ。「野球だ野球だ!」と大騒ぎで帰ってくる。
宿題を終わらせて野球場へ。(なんでこんな近くに立派な野球場があるんだろう…)
3人で試合をしてみた。
ママ VS 子どもチーム。
色々なお母さんがいると思うが、私は「一緒に遊んじゃうタイプ」。やるとなったらガチでやる。
子どもの球を容赦なく打つ。
けっこう飛んだので2塁まで全力で走った。
負けず嫌いの二男が怒って泣いた。
母は初めてのツーベースヒットに快感を感じていた。
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綺麗にするとこ、そこじゃなくない?
・16日目
「いーれーてー」
その子たちは言った。
実はけっこう前から気付いていた。
5人組くらいの小学生を、ここ数日何度か見かけていた。
その子たちはいつもこちらを見て「今のはアウトだな」とか「俺もやりてーなー」とか言ってたから、いつか一緒にやることになるとは思っていた。
仲間が5人増えた。
聞くと、隣の小学校の子だった。1人は少年野球チームに所属しているらしく、ずば抜けてうまかった。
全部で8人になって、一緒に試合をした。
守備役の子ができた。
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もう母の出番はない…と思っていたのに
「ママ審判やって!」と言われたから審判をやった。
「ストラーーーーイク!!!!」
お、声出すって気持ちいいぞ。
・17日目
土曜日の朝。
7時に起きたら三男以外誰もいなかった。
土曜は朝練の日になってしまったようだ。
朝から野球に行ったらしい。
え、情熱どうなってんの?
帰りに夫が買ってきた新聞のスポーツ欄を囲んで、どのチームが勝ったとか負けたとか、盛り上がっていた。
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・18日目
日曜日。サッカーJリーグの試合を見に行ったので野球はお休み。
・19日目
今日も野球場へ。
先週の子たちがまたいた。
「一緒に試合しようぜ!」「おう!」
そうなりますよね。
じゃ、母はベンチへ・・・「ママキャッチャーね!!!」
そうなりますよね。
少年8人と母。
日傘もささず、キャップをかぶって、「アウトォォォ!!!」と叫ぶ母。
2アウト、3ボール2ストライクの場面で母の審判が曖昧だったせいで喧嘩が勃発した。「あーストライクかな~?ボールかな~?うーん」と迷ったせいだった。
みんなに謝ってから「今度からは審判の判断に文句言わないこと」というルールをつけ足した。
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・20日目
二男のサッカー教室の日。
サッカーのユニフォームに着替えてから野球に行く。
なんでやねん。
サッカースクールの前、1時間野球の練習。
今日はキャッチボールをした。
二男の投げる球はだんだんピッチャーマウンドからホームベースまで届くようになってくる。(もちろんストライクゾーンには入らないが)
そして急いでサッカースクールへ。
ママ友との立ち話で言われた。
「ねぇねぇ、本田さん野球やってなかった?」
……えぇやってました。
「やっぱそうだよね!?なんか子どもたちに交じってめっちゃ野球してるママいるな~って思ったけど本田さんだよね?」と言われた。
…目撃されていたようだ。恥ずかしすぎない?
・21日目
雨。
学校の図書室で2人それぞれ本を借りて帰って来た。
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・22日目
長男がクラスの子と野球の約束してきた。
いつもの公園に行くと5人くらい友達がいて、みんなで試合をすることになった。
そのうち1人が少年野球チームに所属しているらしく、みんなに色々教えてくれた。「うちのチームはいってよ!」と体験会のチラシを渡された。
さ、母はベンチに…「人数足りないからママ2塁ね!」
ですよね。
試合が始まると「ねぇ、スクイズあり!?」と聞かれた。
スクイズって何?
・23日目
今日もももちろん行ってきた。
今日はこの前試合をした別の学校の子が来ていた。
そして長男の友達も集まった。
全部で9人+本田家3人で12人になった。
そろそろ良かろうとベンチに向かうと「ママ外野の守備ね!」と言われた。
外野いる???
「だってママ入らないと奇数になっちゃうから!」
なるほどね。
初対面なのに「グッとッパーでわかれましょ」でチームが2つに分かれた。
子どもってすごいよね。
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・24日目
土曜日。恒例の朝練。
そして新聞のスポーツ欄のチェック。
習慣はこうやってできあがっていくのか、と目を細める。
今日は家でのんびりできると思いきや、夫が三男と昼寝を始めた。
必然的にこうなる。
「ママ!野球行くよ!」
ですよね。
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手作りホームベースを設置する
・25日目
雨。
学校で借りてきた本を参考に、家の中でタオルをふりまわす。
ピッチングの練習になるらしい。
三男も意味が分からずタオルを振り回す。
家の中でタオルを振り回す三兄弟。
湘南乃風かな?
・26日目
公園には2つの学校の少年たちが集まっていた。
前回の子たちと……なんか増えてない?
背の高い子に聞いた。
「きみは何年生?」
「中1です!」
まじか。
ついに中学生まで入りだした。
さすがに中学生は力の差がありすぎないかな、と不安だったが
「大丈夫です!ぼく野球やったことないザコなんで!」と自信満々に言われた。
自分のことザコなんて言うなよ!一緒に練習しようぜ!?
全部で14人になった。
相変わらず私は抜けられないらしい。
そこではたと気づいた。
待って……なんか……野球チームできてない……?
それならば、と私はまるで監督のようにみんなの前に立った。
図書室で借りてきた本に「姿勢や心も大事」って書いてあったから。
「始める前に並んで!はい、これからカープ対フェニックスの試合を始めます!礼!」
「お願いします!!」
気持ちの良い声が野球場に響いた。
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まだ正の字で数えるの習ってないっぽい。
・27日目
いつになったらこのブーム終わるんだろう……
今日も今日とて野球に行く。
また長男が約束してきた。
今度は隣のクラスの、野球がうまいらしい子を連れてきた。その子が迷彩のグローブを貸してくれて「かっけぇかっけぇ!」とみんな大騒ぎになった。
帰り道「グローブ欲しい!買って!」×2人。
言うと思った~~~~。
・28日目
「あ、どうも~〇〇の母です~」
初めてどなたかの母が現れた!!!
いつもすみませんー、とか、いやいやうち下の子がまだ1年生なんでどうしてもついてないと心配で~とか少ししゃべったら
「じゃ、私はこれで。 〇〇~!5時には帰るのよ~!」と去っていった。
帰っちゃうのね!!!!
私も帰りたい!
・29日目
「今日はバントの練習がしたい!」二男が言ったのでひたすらトスバッティングの練習。
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あれ…いつから私、トスバッティングとか覚えたんだろう…?
1か月前はそんな単語、知らなかったはずなのに……
・30日目~31日目
土曜は朝練。
帰ったら新聞のスポーツ欄を見る。
日曜は少年野球を見に行く。
たった1か月で、これまでの習慣が大きく変わっていることに気がつく。
・32日目
そして今。わたしは少年たちに囲まれている。
隣の学校の子チーム VS 長男の学校の子チーム
全部で14人にもなった。
ここまできたのだ。
今更ベンチで座ってなどいられるはずがない。
投げて、打って、走る。
少年たちと、汗を流すのだ。
頼まれたらノックもする。
高くボールを投げてフライの練習にも付き合う。
だって私はこの子たちの監督だから…!!(違う)
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■そして得たもの■
【子どもたちが得たもの】
・カラーバット
・選球眼
・野球のために宿題をすぐやるようになった
・知らない子たちと友達になった
・野球のルールを知った
・スポーツ欄を通して新聞に興味を持つようになった
・土曜の朝に早起きするようになった
・近所の少年野球チームのチラシ2枚
【母が得たもの】
・寝つきがよくなった
・体脂肪率が2%減った
・晩酌が美味しくなった
・日焼けした
・ツーベースヒットの快感
・「野球めっちゃやる母」というママ友の噂
・シミ
・泥んこのズボン
・少年たちの輝く瞳
・小学生と中学生のともだち
⚾️・・・
たったの1か月、31日間で、野球のルールを知らなかった子どもたちがなんとなく試合できるまでに成長した。
1ヶ月前は顔も見た事のない子たちが、下の名前で呼び合うほどの友だちになった。
子どもにとっての1ヶ月は、大人のそれと全く違う。
こんなに濃密な日々を過ごしているのだ。
大人と時間の感じ方が違うのも当然であろう。
私はその瞬間に立ちあえたことを誇りに思い、ここにその1ヶ月を記すことにする。
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チームはひとつになっていった
⚾️・・・
余談だが、この話を仲のいい「最近酒を飲んでも眠れない更年期に悩むママ友」に話した。野球やろうよ?超寝れるから!と。
ひとしきり笑った後、お断りされた。なぜ。
母と息子たちの1か月。
お楽しみいただけましたでしょうか?
ドラマみたいな本当の話。
まだまだ野球熱は消えない――。
えっ消えないの!?
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