パンチしてくる子に対して、4歳児の処方箋
寝る前に、娘から突然の告白があった。
「ひーくん(仮名)は、いつもいろんな子にパンチするんだよ」
ひーくんとは、クラスメイトの男の子だ。
「みんなこわいと思うんだよ」
と言うので聞くと、「娘ちゃんはされたことないけど急にパンチされたらこわい」と言う。
あらあら。これはいったいどうしたものかと、よくよく話を聞くことにした。
○ひーくんは、クラスで一緒に遊んでいるわけではない子に急にパンチしたりする
○娘は髪を引っ張られたことがある
○パンチしたりするから、娘もみんなも怖がっている。
○泣いてしまった子を笑ってみてるときがある。
○よくパンチされてる子は、怒って反撃し、よくケンカになる。
朝やお迎えの印象では、素朴で素直な子という印象だったけど、これだけ聞くとずいぶんな気もする。そりゃ、いきなりパンチされたら怖くもなるよねー!やだよね。うんうんと、うなずいて聞いていると、
娘が、「ひーくんは、なんでパンチするのかな?」と聞いた。娘は他のクラスメイトと同じように、仲間として彼をみていることが分かったので、一緒にもう少し掘り下げることにした。
○ひーくんの好きなものは恐竜。恐竜になりきって遊ぶのが大好き
○一緒によく遊ぶおともだちがあんまりいない
実は、年が近くて激しめの兄がいるひーくん。そんなところも関係あるかなと、母は思ったが、娘にはそこの理解は求めないことにした。家庭の事情があるから目をつむれとか、そういう話にはしたくなかったし、兄がいればみんな攻撃的なのかという偏見に繋がってもいやだ、と思ったからだ。
娘はひーくんのことをよく考えながら、あ!わかった!と何度もいいながら、彼を理解しようとしていた。
○「意地悪して、みんなが困るのを見るのが楽しいのかな」
○「ほんとは一緒に、遊びたいけど、パンチしたら遊べると思ってるんじゃないのかな」
○「もしかして史上最強の恐竜になりきってるから、やってもいいと思っているのかな」
娘なりに、いくつも仮説が出てくる。面白い。
やっぱり本人に直接聞かないと分からないという結論に至る。
でも、娘は聞いたらパンチされそうだから嫌だと言う。話し合いの結果、本人のママに聞いてみたらということになった。先生に聞くのは、ちょっと違うらしい。
面白いので、ちょっとけしかけてみる。
どうしたら、パンチしなくなるかなー?
パンチしたくなったら、パンチできる段ボール箱でもおいておいたらどうかな?
私がそういうと、娘もちょっと面白そうに笑って、それはパンチしなそう(反応がないから)と言ったあと、「わかった!」と。
「先生にちっちゃな恐竜のおもちゃを出してもらって、その恐竜で、もうひとつの恐竜にパンチしたらどうかな?そしたら、人は痛くないよねー。それに、恐竜の好きなたっちゃん(仮名)とけんちゃん(仮名)も、一緒に遊べるかもしれないし」
「もし、怒りたくなったら、広いお部屋で、走り回ったらいいんじゃないかな?」
恐竜ごっこがしたいなら、小さな人形でやったら、という案、本当に面白い。
怒りを広い部屋で発散させるのも、
まるでアンガーコントロールだ。
今だかつて、怪獣に砂漠の真ん中なら火を吹いていいと教えたウルトラマンがいただろうか。
お友達にパンチすることは悪いことだけど。
その子は悪いこじゃない。
被害者加害者の考え方になると、
被害をどう食い止めるか、と言う発想になりがちで、ひーくんを悪者にしちゃいがち。
叱る、怒る、責めることで、守れるものもあるけど、相手を悪にして倒すのが正義じゃない。
それを、娘は、分かっているのかいないのか、
環境を変えたらいいって発想、こういうの、保育教育の場で、柔軟にやっていくの大事だなぁ!
そんな娘の姿を、その子の批判でも、園の批判でもなく伝えらるかどうか、伝えるのか伝えないのか(きっと先生も頑張ってらっしゃるのだろうと思う)、それは大人の宿題で。
それって、大事なことがつまっているな、と印象深い寝る前の話だった。
追伸、その後娘はしばらく興奮して、いろいろ考えててぜんぜん寝てくれなかったことをここにご報告いたします。