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Demonize me

肯定されたがっている
ちっぽけなオマエの自傷回路
微かな月明かりの下ですら
その小さな顔を見せなかったのに
吐き気を催すほど寒がりのくせして
外国製のオープンカーが好きなんだな
三年ぶりの浅い眠り
感嘆しかけているオマエの肺
鍛え抜かれた自尊心が首を吊っている
樫の木の上で
あるじに見放されたドレイの如く
狂い惑え
フォークロア調の帽子をかぶった自慢の一人息子が
逆さのオマエそっくりの足枷に耐え
「稀代の詐欺師」呼ばわりされているあいだ中
自己憐憫からの愛撫を受けるがいい
「ユウウツ症」という名の犬を飼い
物質至上主義に餌付けられる
蛇のようにくねる王道へ
ターンシグナルも出せないのなら
オレの名を唱え続けろ
欲望のトーチライトをかざせ
三段階にわたってサルベージされた厭世観と偶像依存
巨大なヤマアラシのような存在だと
マゾヒスティックに認めたあとで
誰よりも計算ずくで平板な無表情を装い
枯渇した想像力の死臭
を嗅ぎつけられないように
百億の目を盗む
青みがかったアイラインで縁取られた千里眼で
仮想敵を探し出し
復讐の寸劇を見舞え
悪意
悪意
擬態する悪意
悪意というホーミング弾
捏造された性倒錯者疑惑に
踊らされた幾多の夜
数千の羨望にまみれながら昏倒したい
と願った夜
オマエからの訣別のファックスは
ついに届きはしなかったよ
地雷探知機にも引っ掛からない
ナイトメア・エンジン
取扱説明書にはたった一言
「悪意を持って操作せよ」
とある
薄っぺらいモラルなど
BLTに挟んで食っちまいな
それだけを伝え終わると
カイゼル髭をたくわえた紳士気取りの処刑人は
こと切れた
魂の破産宣告によってのみ
解放と離脱が許される世界の中で
「作れないものも拘るものも何ひとつない」
とうそぶくアルケミスト達
冷戦の藍色に染まっていく街路に痙攣するアイロニー
のオブリガートを奏でる軍事評論家ども
あてがわれたワンルームの古びたアパートで
窒息するのを待つだけ
dead end.
ディミトリという名の専制君主
に上手く取り入って
悪魔の遺伝子を首尾よく手に入れたら
たった一人を除く全てを睥睨してやるぜ

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