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貴方の影が私の視界を黒く覆う。貴方の広い背中に遮られ、小さな灯りは行方をくらませてしまう。 浅ましい私の目を射る光明は、いつだって蜘蛛の糸の様で細く弱く頼りない。常より真直ぐに上ばかりを見ている貴方などに、如何してそれが見えようか。そう貴方には糸を手繰り寄せる意味も、必要もなかった、貴方の見通す世界にはいつだって眩い光が満ちているというのに、それなのに貴方は如何して私を振り返る。 手繰り寄せる意味ならば確かに必要はない、唯、わたしはお前を愛しているなどと諳んじる。
佐佐木 政治 こよい凍てつくわが書斎の窓に 大輪の月が昇る わたしの予感を穿つかのような 太古そのままの舞台が抽き出されて しかも神よ あなたのシンタックスは 微動だにもしない おきまりの天は漆黒の髪を垂らし 目には見えぬ星々のスマルを鏤めながら
満月をながめていたら 道に迷ってしまった 二本足の狐が くらがりからわたしを手招きする ついていこうか やめようか かんがえているまに 足がかってに歩きだす 狐はずんずん前をゆく 足の裏がつめたい 靴がぬげたんだ それどころじゃない わたしは狐になっていた ああ…そうだった やっと思いだした 満月の晩に きっとむかえにくるって いつかあなたが云ったことを
いつかすれ違った キミ これから出会う アナタ 愛しい人も恋しい人も 親愛なる人も敬愛なる人も 同じ月のもとに 同じ時を生きている ただそれだけで嬉しくおもう こんなに月の美しい夜だから アナタも1度は見上げるだろう 『月が綺麗ですね』と呟いてみる この有名な隠語はきっと月に反射して 優しく柔らかな明かりを届けてくれるだろう
求めらん、それ 則ち誤ちの禍也 古典、燃やし 文字無くなり その影 誰ダ