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【御礼】みんなのフォトギャラリー用photo使用【note】

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みんなのフォトギャラリーからのご利用ありがとうございます。 記事ヘッダーへ利用されたnoteたちをマガジンにまとめました。適宜追加していきます。 写真も、noteもどうぞご覧にな…
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#小説

【小説】花より団子、月より兎(2)

前作「花より団子、月より兎(1)」https://note.com/torinoogawa/n/n77f443825da3  の続きです。 くたびれたOL佳奈子が月出身で居候の兎しらたまとピクニックにいく話と部屋の掃除の話。次で終わります。 「カナコちゃん、起きてください。起きてってば」  ゆさゆさと揺さぶられて佳奈子の意識は浮上した。 「何よ、こんな時間に」  薄目を開けて時間を確認すると平日起きる時間と同じ時刻。 「まだこんな時間ならいいじゃない。もうちょっと

Moon Sick Ep.6

それでも離れようとしない彼女の頭の上に、軽くキスをすると、ようやく彼女が顔を上げた。 もうすでにアルコールの入っている彼女の顔が赤く火照っている。目も少し潤んでいるように見える。その表情で俺の方を見上げてくるものだから、ぐっとこない男がいるだろうか? 俺は彼女の唇にキスをした。彼女が照れくさそうに笑う。俺は、もう一度、今度は、顎を支えて、きちんとしたキスをした。ほどなくして彼女の手が、首の後ろに回された時には、もう、どちらからともなくかみつくようにキスを交わしていた。

シンシア様のお話(3)

 ツヴェターエヴァの城下町。真夜中。  小さな家の2階で、少年が一人、ベッドのそばの窓から月をじっと見つめていた。ほおが赤くはれ上がっている。  祭りのパレードで手をふっている美しい城主を見たとき、 『ほら!あの人だよ!あの人が空を飛んでるのを見た!』  と叫んで、父親に思い切り殴られたのだった。周りの子たちがクスクスと笑い、弟と母親からは軽蔑の視線を浴びた。  僕はうそつきじゃない。  ほんとにシンシア様が空を飛んでいるのを見たんだ。  どうしてパパは僕の言うことを信じてく

ヨルガオの花 【短編小説】

 写真部の合宿で河口湖を選んだのは正解だったと思っている。  みんなが泊まった宿の部屋で酒を飲みながら麻雀をジャラジャラ打ってて騒がしいので、外に出て河口湖大橋まで行くと、橋の柔らかいオレンジ色の照明の光が目に入る。まるで色の違う蛍の群れのようだ。私はオールドレンズを付けた小さなカメラを首から下げて一人でこの橋の方まで来ていた。  まるでこの世には私しかいないようだった。道路に車の一台も来ない。橋を独り占めしている。静かだった。あっ、と声を出しても無限の秋空に吸い込まれてい

月を見ながら味わうライスワイン

「圭さん、中秋の名月だよ」日本の伝統行事が大好きなベトナム人ホアが、嬉しそうに部屋から見える窓の外の月を眺める。「ああ、月が見えているの? でもその前に、せっかく作ったお団子がそのままだよ」と、婚約者の圭がキッチンから声を出す。 「あ!」今日は、月見の日だということで朝から張り切っていたホアは、手作りで団子を作っていた。そのために上新粉と片栗粉をスーパーで買ってくると、それに砂糖と熱湯を入れる。そのあとは粉をちょうどよい粘りが出るまで捏ねて大きな団子を作った。それを一口大の