flier book labo 読書会での学び
8/27 高津尚志さんをゲストとしてお迎えし、荒木博行さんのファシリテーションにて、flier book laboの読書会が実施されました。
テーマ本はユヴァル・ノア・ハラリの『21Lessons』
2時間があっという間の白熱した読書会でした。
鉄は熱いうちに打て、的に個人的な学びを書いてみたいと思います。
「Stop to thinking」から「Stop to think」へ
まず議論をするにあたって、ポイントとして提示されたのが、「考えることをやめる」状態から「考えるために立ち止まる」へという考え方です。
このポイントは、著者が本書で伝えている、テクノロジーやストーリーによって、人は物事を考えなくなっていることや、何をするにも、アルゴリズムの言う通りにしていけば良いと考える方向に向かっていることへの危機感から発せられたものですね。著者からも、21章「瞑想」にて、自分自身と向き合う時間を作って心を観察することが大切である、とメッセージが込められています。
このイントロ部分での解説をもとに「Stop to think」するためには、どうしたら良いのか、個人で何ができるのか、を論点として、参加者で議論がスタートしました。
「何をやめるのか」
「立ち止まって考えるために、まず時間を確保する」と言う意見が出た上で、高津さんより「時間を確保するためには、何かをやめなければならない。何をやめるのがよいか」と問いが投げかけられました。
そこから、参加者から時間確保の具体的な方法に加えて、「SNSアプリをスマホから消す」「アプリの通知を全てOFFにする」など、注意を奪われないようにすることが大切だと言う意見が出ました。注意も通貨同様「払う」と表現されますよね。
高津さんからは、アフリカへ行ったとき経験で「せっかくアフリカに行くんだから、東京の人の動向を気にせず、現地のことに集中する時間にしよう」とスマホのSNSアプリを消した、とお話がありました。
マサイ族と遊んだ場面では、動画を撮って「他人に共有したい」欲求に駆られたようです。しかし、その欲求に抗った結果、個人的な経験として鮮明に心に残ったと語られています。その後もSNSアプリをそのままにしたことで、まとまった時間ができるようになったとお話され、私自身も共感するところが多かったです。
私自身も、子どもの行事や旅行した場所では、すぐスマホを手に取り写真や動画を撮ろうとしています。まさに、自分の五感で感じるのではなく、記録媒体に残すことを優先していますね。これでは、人間ならではの感覚が衰えていく一方ですね。
データが取れるものは、人間ではなくAIの得意分野です。バイオテクノロジーも含めると人間が感じた反応すらデータ化できるようになると思います。しかし、その反応を生むためのリアルな体験は、機械では代替できないものだと思います。人間の五感を刺激する空気感、これは人工的に作り出せるものではないと私は考えます。
議論は、当初の問いから深まり、五感の話に辿り着きました。
「どうしたらより良く考えられるのか」
そして次の問い、「立ち止まって考えるとき、どうしたらより良く考えることができるのか」について議論が進みます。
ここでは、ファシリテーターの荒木さんより「自分自身を俯瞰して捉え、より無意識な問いに深めていく必要があるのでは」と話がありました。
荒木さんは、自分を俯瞰してみるために「この問いがケース(ビジネスのケーススタディのイメージ)だったら、どう答えるだろうか」と呪文(俯瞰へ誘う問い)を使っているそうです。
これは、それぞれの文脈で問いを用意していくことが必要だと、私は考えます。私の場合は、「10年後の子どもに、どう説明するか」という問いです。時間軸を未来にし、身内に本音で自分のことを語る場面を想像しています。これから先もずっと今の状況が続くのか、と考える視点を持てて、自分を俯瞰することができます。
他人のストーリーに自分を登場させる
立ち止まって考えている場面で、考えている対象自体が誰かの考えたストーリーに沿ったものだった場合、それは自分で考えていないとも言えます。
会社のビジョンに共感する、とは良い一面がある一方、会社=自分ではないわけなので、全てYesと考えてしまうことは危険な側面を持っています。自分という個人の考えがあり、その上で組織や他人の考えを受け入れる。そういったスタンスでないと、せっかく内省する時間を取っても、自分のことを考えていない時間を長く過ごすことになりかねません。
会社に限らず、強いリーダーへの共感も思考をハックされていると捉えることもできるかもしれません。そんなとき、どんな問いが自分の思考停止を防ぐのか、こういったことも考えていく必要がありますね。
まとめ
本日実施された読書会のため、議論内容をまとめることに終始してしまったので、今後、自分自身と向き合う時間をしっかりと確保して、自分の考えをあらためて言語化していきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。