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概要タイトルのまま、ただ髪を切っているお話です。 小説情報文字数 :4,400文字程度 断髪レベル:★★★☆☆ キーワード:ベランダ、カットクロスなし、相互視点 項目の詳細はこちらをご覧下さい。 本文 「今から髪を切ろうか」 自然と口にしていた。仕事の忙しさからどこかへ出かける気も、かといって家で何をする気にもならず初音と部屋着のままダラダラ過ごしていた、ある休日の昼下がりのことだった。 最近の彼女は伸びてきた髪をゴムで一つにまとめ、前髪も目にかからない
本文 彼女の誕生日が近づいていた。お互い大学生で付き合い始めて日も浅い。欲しいものがあるかもしれないと尋ねてみた。 「仁奈、誕生日プレゼントはなにが欲しい?」 「バリカン!」 即答だった。意外すぎるものに聞き間違えたかと「もう一回いいかな」と聞き直した。 「バリカンが欲しい!」 どうやら聞き間違いではないらしい。 「えっと……それは髪を切るときに使うあの?」 もしかしたら想像と別の可能性があるかもしれない。例えば最近流行りのゆるキャラの名前とか。 「
※注意あらすじ小説情報本文 「君さ、断髪フェチだったよね?」 そう口を開くのは目の前に座る十年来の友人だ。顔が赤い。居酒屋に入ってからビールジョッキ三杯を空け、彼は既に酔いが回っているのかもしれない。 「また突然だなぁ。俺、そんなこと言ったか?」 ははっと、とぼけてみせたものの朧げながらに覚えている。随分と前に酔いに任せて、そんな話を長い付き合いである目の前の友人に告げた気がする。どうしてだったかは覚えてないが、あのときはどうしようもなく吐き出したくなって彼なら聞い
※注意(性的表現を含みます)あらすじ小説情報本文 彼が髪を切った。さらさらと音がしそうなストレートの長めのメンズショートだったのに、トップは立ち上がりそうなくらい短いし、サイドもバックも短く刈り上がっていた。それを見るだけでもぞわぞわと下肢が疼いてくる。 ◇ ベッドの上でその彼、省吾に組み敷かれていた。彼はトップスを脱ぎ捨て、ソフトに引き締まった上半身を晒しているし、私はワンピースを剥ぎ取られ、あっという間に下着姿だ。 「……美帆のナカ、もうどろっどろ」 ぴちゃぴ
あらすじ小説情報本文 紘斗 は気怠そうにベットに横たわっている 英里奈 を横目で見やる。 ――英里奈に坊主にしてもらうといつもこうなる。 夏の県大会予選で敗れ甲子園のない夏、三年が引退し、秋の大会に向け部活の練習は二年と一年の新チームが作られつつあった。 部活が終わり、その足でマンションの隣に住んでいる幼馴染の英里奈の家に立ち寄った。バリカンを持って「やってくれ」といつものようにお願いして、いつものように五分刈りにしてもらう。終わるとどちらからともなく求め、英里
あらすじ小説情報本文 「ただいま」 夫の亮介が帰ってきた。妻の紗英は今日はいつもより遅かったなと思い、出迎えるために玄関に向かう。 「おかえり」といつも通り声をかけた。ふと亮介を見ると、髪がスポーツ刈りまで短くなっていることに驚いた。「ずいぶん短いね」と聞くと、「暑いし、なんかスッキリしたくてな。さっばりしたよ」と頭に手をやりながら答える。 雰囲気がずいぶん変わった夫にドキドキしながら「ご飯できてるよ。」とリビングに向かった。 「夕飯は何?」 「生姜焼きだよ」
あらすじ小説情報本文 夫は自由だと思う。髪が伸びれば切る、それ自体は当たり前の事かもしれない。大多数は床屋に行くのだと思う。夫はその時の気分によって変わる。気になって仕方ないのか、突然自分で切ったりもするし、普通に床屋に行く日もある。 そして時には、妻である私に切らせたりもする。何ら技量がある訳ではないので、バリカンで坊主にするしかできない。 坊主になっても夫は文句一つ言わないし、いつもと変わらない態度だ。彼にとってはたかが髪なのだろう。その感覚が私とはまるで違うも
あらすじ小説情報本文 ジャーと蛇口から水を出しシンクで洗い物をする。今日は休日で夫の真也と二人でお昼を食べた後だった。妻の三佳と真也は結婚して三ヶ月が経つ。だいぶ二人での生活に慣れて来た頃だった。 「なぁ、髪はいつ短くするんだ?」 藪から棒に夫から聞かれた。 「え?あぁそうね。今度、美容院に予約するわね。」 そう言ってはぐらかす。三佳の髪は背中を覆うくらいの長い髪である。結婚式の為とはいえ、せっかく伸ばした髪を短くするのは、なかなか抵抗があった。三ヶ月間、何かと
あらすじ小説情報本文 明彦と遠距離恋愛となって三ヶ月が経った。人員補充の為と突然の地方転勤だった。期間は決められていない。 彼と私は学生時代から東京でずっと一緒だった。これからも変わらないと思っていた。急な話で仕事を辞める訳にもいかず、付いて行かなかった。 電話やメールで連絡は取っていた。最初こそ寂しかったが、時が経てば一人の生活にも慣れ、寂しいという気持ちはだんだんと薄れていった。 一方で明彦は会えなくて寂しそうに見えた。ただ休日が合わず、東京に来てもらうのも
あらすじ小説情報本文「ねぇ勝、バリカンして?」 彼女の千香からおねだりをされる。 「また? この前から一ヶ月も経ってないぞ」 「暑くてスッキリしたいの。お願い? ね?」 上目遣いでねだってくる。いつもの事だった。 「仕方ないな。分かったよ」 準備しようと立ち上がった。 「やったー!」 ◇ 発端は半年ほど前だった。髪の量が多い千香は、いくら梳いても髪が首に張り付いて鬱陶しいと愚痴をこぼしていた。当時、千香の髪は肩下十センチくらいの長さだった。 「内側を
あらすじ小説情報本文 「私、髪フェチなの」 意を決して彼に告白する。冷静に言ったつもりだが心臓はバクバクとうるさかった。 「髪フェチって?」 その言葉を本当に知らないかのように、首を傾げて聞いてくる。 「長い髪そのものに執着する人もいるみたいだけど、私は長い髪をバッサリ短く切られることに興奮する断髪フェチなの」 性的な嗜好を自ら告白するのは恥ずかしかった。羞恥で体のあちこちに汗が滲む。 「へぇそうなんだ。どうしたんだ?突然そんな事を言い出すなんて」 ふぅ
あらすじ小説情報本文 ――妻をいつか坊主にしたい それが俺の結婚当初からの願望だ。妻の髪型はいつも同じで背中を覆うくらいのストレートだ。ストレートの黒髪はツヤツヤして、触ってもサラサラとしていて気持ちがいい。それはそれで気に入っているのだが、やはり一度はその綺麗な髪へ額から襟足から耳の上から縦横無尽にバリカンを入れてみたかった。 さりげなく短い髪を進めても、一向に髪型を変えない妻に痺れを切らし、一計案じることにした。 「なぁ、先輩からお土産でワインを貰ったんだ。これ
あらすじ小説情報本文 負けた。試合時間が残り一分を切っていた。襟をとって得意の内股を仕掛けた。しかし、嫌な予感がしたときにはもう遅かった。対戦相手から釣り手を引かれて、気付けば畳の上だった。それが体落と知ったのは試合が終わった後だった。かろうじて判定は技ありだったが、残り時間での反撃は叶わなかった。 技を仕掛けるのを焦らなければ、誘い込まれているかもしれないと気をつけていれば、何を言っても、たらればの言い訳に過ぎなかった。 大学のコーチからは「攻めた結果だ。悔しいだろ