【短編小説】健康診断前日
ギシッ…
「どうだ?」
「…ダメだ。何度計っても肥満だ」
「毛皮を脱いだらいいんじゃない?」
「バカ、そんなことできるわけないだろ、じゃあお前が乗れよ」
白猫がそう促すとハチワレ猫も体重計に乗った。
ギシッ…
「…体重表が間違ってるってことはないか?」
「確かに」
ガサッ
「…肥満だな」
「やっぱり肥満かあ!どうすればいいんだ」
「おいハイイロだけ乗ってないのずるいぞ」
「わかったよ」
スッ
「痩せてね?」
「痩せすぎだな」
「認めろよお前らが肥満なんだ」
「やだよ明日健康診断なのに」
「今からサラダ食べれば間に合うかな?」
「無理だ、諦めろ」
「えぇ、俺今年こそは褒められた健康体になりたかったのに」
「諦めるか」
「諦めよう」
そうして猫たちは肥満から脱することをやめた。
痩せている猫は痩せすぎから太ることを諦めた。
三匹が健康診断でこっぴどく怒られたのは言うまでもない。
(メンバーシップで続く…かも…?)
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