【イベントレポート】国際男性デー特別企画|男性経営者が進める女性活躍とDEI推進の秘訣『みんなのDEIセミナー』
先日開催いたしました、”国際男性デー特別企画|男性経営者が進める女性活躍とDEI推進の秘訣『みんなのDEIセミナー』”のレポートを公開いたします。当日ご参加いただけなかった方も、ぜひご覧くださいね!
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目次:
1.DEI採用と社内推進、経営のメリット(サクラグ遠藤)
~DEI推進を定着させる土壌づくりが大切、サクラグの成功事例~
2.女性活躍が進まない理由(スリール堀江敦子氏)
~女性活躍は女性だけの問題ではない、自社分析と継続支援の必要性~
3.【対談】女性活躍からはじめるダイバーシティ経営
~経営者と社員の目線を合わせれば、意見が言いやすい雰囲気が生まれる~
みなさんは、「国際男性デー(11月19日)」を知っていますか? 国際男性デーとは、ジェンダー平等について取り組む世界中の男性をたたえる記念日です。今回のセミナーは、そんな国際男性デー特別企画として開催されました。
日本は、まだまだ女性経営者の数が少ないことで知られています。だからこそ、マジョリティ側である男性経営者が、女性活躍に関する知識を持たなければなりません。その一助となるべく、本セミナーでは、男性経営者が知っておくべき女性活躍とDEI(※)推進の秘訣をプロフェッショナルに伺いました。ゲストとして登場したのは、企業のDEI推進コンサルを行うスリール代表・堀江敦子さん。スリールは、社員の8割が子育て中のママだそうです。フルタイムで働く社員と時短勤務中のママ社員が共存しているサクラグの代表・遠藤洋之とともに、熱く意見を交わしていただきました。
※…DEIとは、「Diversity(多様性)」「Equity(公平性)」「Inclusion(包括性)」の頭文字をとった言葉です。ダイバーシティ経営において、重要な考え方とされています。
DEI採用と社内推進、経営のメリット(サクラグ遠藤)
~DEI推進を定着させる土壌づくりが大切。サクラグの成功事例~
まず、遠藤がサクラグの成功事例について説明しました。
サクラグは、DEIを推進する採用マッチングプラットフォーム『sangoport(サンゴポート)』をリリースしていることからもわかるように、全社をあげてDEIに取り組んでいます。
女性をメインとした子育て層、定年退職済みのシニア層、働きにくさを感じているLGBTQ+などの潜在的市場規模は、なんと約2.6兆円を突破するとか。サクラグでも、子育て中やシニアメンバーが多数活躍中ですが、環境さえ整えば、生産性が高くハイスキルな人材が非常に多いといいます。これらのニーズに対応するために、サクラグは事業としてDEIを推進していると遠藤は話しました。
この動きは、社内の職場環境にもよい影響を及ぼしているそうです。現在、全社員の約4人に1人が時短メンバーであることに加え、2022年には時短ママ執行役員も誕生しました。多くの社員がお互いを認め合い、高めあいながら、自分らしくキャリアを積みあげる、そんな社内風土が自然と構築されてきました。
遠藤曰く、DEIを推進するには理想的なフェーズがあるとのこと。DEIを浸透させる土壌をがっちりとつくったあと、仕事の回し方や業務の柔軟性などを整えて、推進を阻害する要因を対策していきます。その後、個々の可能性を開花させていくという流れです。まずは、しっかりと土壌をつくりあげることが重要だと述べました。
女性活躍が進まない理由(スリール堀江敦子氏)
~女性活躍は女性だけの問題ではない、自社分析と継続支援の必要性~
次に、ゲストの堀江さんが女性活躍の正しいあり方や、なかなか推進が進まない理由について説明されました。
企業が女性活躍・DEI推進に取り組むと、多くのビジネス上のメリットを享受できるといわれています。企業メリットだけでなく、投資や社会的風潮からも人的資本を重視する流れが強くなってきており、その第一歩として「女性活躍」を推進する流れがあると堀江さんは語りました。
しかし、思ったように計画は進まないものです。スリールでは、「女性活躍を推進したいけれど、方法がわからない」という迷える企業に向けて、体験プログラムをメインとした研修・コンサルティングを提供。意識を変え、行動を変えると好評のプログラムは経営陣の意識改革にも効果を発揮するといいます。
堀江さんが言うには、課題をスムーズに解決させるためのポイントは「女性だけに頑張らせないこと」だそうです。女性活躍は、女性社員本人だけの問題ではありません。
上司や職場環境、会社のメッセ―ジがどう影響しているのかを分析し、どんな状況下でも活躍できる土壌作りが大事だと全社的に周知し、行動を促進する必要があります。そのためには、自社分析を丁寧に行ったうえで、継続的な支援が求められるとのこと。
そこで堀江さんは、視聴者に対して「女性活躍の状況チェックシート」を使って視聴者に投票を呼びかけました。チェックシートのどこにチェックがあったかによって、現在の社内の状況や要因がわかるといいます。何から取り組めばいいのかわからなくて困っている視聴者は、課題の可視化ができたのではないでしょうか。
また、すでに施策を実施しているにもかかわらず結果が出ない場合は、実施プロセスに問題があるケースが多いそうです。そのような場合も含め、現状を改善するためには、客観的数値として様々な人事情報を集めたサーベイフィードバックが重要だと堀江さんは語ります。サーベイフィードバックにより、現在抱えている課題をデータやサーベイによって可視化することで関係者に危機感を覚えさせ、「ガチ対話」を行うことで未来のアクションプランを練っていきます。
このように計画を進めていくと、多様な状況の社員が活躍できる土壌づくりが実現すると堀江さんは話します。なぜなら、女性が活躍しやすい職場環境が形成されることで、ほかの社員の働きやすさも向上していくからです。女性管理職比率が高い会社ほど働き甲斐や連帯感が強いともいわれているため、まずは女性・育児期の社員の活躍支援ができているか考えてみましょう。こうしたビジョンづくりを効果的に進めることが、これからの企業には求められます。
経営者と社員の目線を合わせれば、意見が言いやすい雰囲気が生まれる。
次に、堀江さんから遠藤に質問する形で対談が行われました。DEIをテーマに事業を始めたきっかけや、DEI推進を行う意識変革のきっかけについて語る遠藤。
その後、堀江さんはDEI推進のビジョンを全社的に広げる方法について質問しました。遠藤は、実際に行っている3つの施策「➀全社総会(キックオフ)、➁全メンバーとの1on1ミーティング、③全社メ―ルの配信」を紹介。これを聞いた堀江さんは、経営者と社員による目線の脳内シェアは重要であるとコメント。似た施策として、スリールでは組織のあり方を話し合う「ビジョン・ミッション会議」を実施していることを述べました。また、子育て中など時間制約のあるメンバーも活躍できるよう勤務スタイル(打ち合わせ時間など)を整えたり、経営方針を全員で決めたりしていることも説明。これによって、社員の心理的安全性が高まるとのことです。
遠藤はこれに加えて、DEI推進がほかの社員に与えたポジティブな要素についても質問を受けました。返答は、「どんな意見でも言っていいと思える組織になった」とのこと。リスクにつながるような情報も言いやすい雰囲気をつくることは、企業側のメリットを増やすとして、堀江さんもその意見に賛同。DEI推進の考えに関するさまざまな共通点を、お2人は見いだせたようです。
お2人や視聴者の知見が深まったところで、セミナーはお開きの時間に。まとめとして堀江さんは、当日多くご参加いただいていた人事担当者の方々に対して、「今こそ、人事の意識を変革する時!」と熱いメッセージを送りました。
女性活躍やDEI推進の施策を行っても、意識の定着には3~5年かかるといわれています。だからこそ、うまくいかない場合は、スリールのような専門家によるサポートを受けるとよいでしょう。自社に適した施策を着実に積み重ねることで、企業風土は確実に変わっていきます。男性経営者がDEIに関する課題の存在に気づき、行動に移すことが、企業を長続きさせる近道です。今回のセミナーによって、意識変革に励む企業が増え、すべての人々が働きやすい日本社会になることを願っています。