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それぞれの心に届く宅急便@映画『ラストマイル』 (ネタバレなし)



★ネタバレはありません★



こんにちは。
今週、待ちに待った映画『ラストマイル』を観てきました!

制作陣が同じドラマ「アンナチュラル」と「MIU404」は履修済のため、今まで放映されたドラマの登場人物たちが新たな作品の同じ世界線に存在するというこの珍しい試みを体感できて、今はなんだか胸がいっぱいです。

確かに、そこに彼らは生きていました。
素晴らしい挑戦がぎゅっと詰まった作品でした。



クロスオーバーする登場人物

 他の作品の世界線を生きている登場人物が、新たな作品で息をしていることは観客として観ていてとても不思議な感覚があります。

すでに知っている人物が、今観ている新しい世界の中にに存在することに気づいた瞬間「ああ、わたし知ってる」と体温がぴょんと上がります。思わず座席から数ミリ体が浮きました。発見した喜びと、すでにこの人物にはこういう背景があると説明なしで理解している安心感がなんとも不思議でした。たとえばこれまでの経緯から「この発言は信用できる。だって〇〇さんが言うんだもん間違いない」と確信したり「〇年後こう成長したのか」と感心したり。本編の良さに加えて、心忙しきこの“おまけ”がたまりません。

 本を読むことが好きなわたしは、このクロスオーバー発見体験を小説で経験してきました。作家の辻村深月さんは、〈辻村ワールドすごろくで検索🔍️〉これまでの作品に登場した人物を他の作品にも登場させています。『ハケンアニメ』にもあの人が登場し、極上の「もしかしてあの〇〇さん!?ーやっぱり!」を味わいました。世界観で言えば、伊坂幸太郎さんの小説も見事にクロスしていますね。殺し屋シリーズ最新作『777』であの彼に会えました。

 今回の『ラストマイル』は公式サイトにて、シェアードユニバースムービーとオシャレな言い方で表現されていて、観客の嬉しい“おまけ”の期待感を高めてくれていました。お言葉通りナイスなシェアードユニバースムービーでした。小説ではその風体を想像するほかありませんが、映画は映像として目の前に現れ解像度高く「あっ!」とそれをわかることができました。



映画だからできること

 ご存知の通り連続ドラマでは放送回数が決まっていて、毎回CMをまたぐ場所を設定し1話ごとに起承転結を考えねばなりません。おのずと"もっと説明するべきところ''や逆に余白のような“視聴者の想像に委ねたいところ”も仕方なく削ることがあるでしょう。

しかし約2時間という箱で、まるっと表現する自由さが生まれる映画だからこそできることがあることをこの作品が全身全霊で体現していました。そして観ている私たちもドラマのようにCMで都度現実に帰ることなく、観客同士同じ音量で物語を体感し『ラストマイル』という箱の同乗者として作品の世界観に入り込むことができました。

 とりわけ令和を生きる人々は忙しい。都度スマートフォンの通知を確認して動画は1.5倍速で視聴、 だれもがタイパの鬼になる可能性がある時代に映画館は2時間そこを動かず集中してエンターテイメントを浴びることができる稀有な場所。改めてこのミラクルムービーに感謝です。観れて良かった!



おわりに


『ラストマイル』では、台詞からカット割り・衣装・小道具に至るまで様々な場面で意図してこう表現されていると感じる箇所がたくさんありました。「あれはあえて画に入っているのかも」という気づきは感慨深く、観客の数だけ違う感想が生まれる由縁なのかもしれません。製作陣が世に送り出した『ラストマイル』という名の贈り物の宅配便を受け取り、大切にしたい何かが余韻とともに心に届きました。機会があれば、ぜひ劇場で御覧ください。







お読みいただきありがとうございました。







製作に携わった皆様、出演者の皆様 素敵な作品をありがとうございました!







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