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【物語】雨上がりの森の町。‥ʀᵃⁱⁿ*̣̣̥⁎☂


雨上がりの森の町。



モグおじさんは
今日も玄関先で
ただひらすら入り口の方を見つめ





ただその時を
待っています。


来る日も来る日も
待ちわびて


あれから何年‥。
何日経ったのでしょう。



あれほどまでに賑わっていた町並みは
ひっそりと‥静かに
音すら忘れてしまったかのように。




「今日も待っているわね。」

「きっと忘れられないのよ。」



ピチコとパーコは
少し離れた場所から
心配そうにその様子を眺めています。




哀愁漂う
テラスのチェアーも




人待ち顔のポストも



さわさわさわさわ
揺れる木の葉たちも‥。



なんだかとても
さみしそう‥。






以前の活気あるこの町を
ずっと見てきたモグおじさんは


一瞬たりとも疑うことも、迷うこともなく
再び光が射すことを
信じ待ち続けているのです。 





町の奥に進んでいくと


その片隅には
強風に煽られ倒れたのか


根元から横たわる花が‥。


近づいていくと
それでも懸命に背筋を伸ばし


生きようとする秋桜の姿が
そこにはありました。





ひらひら
ひらひら




どこからか
ちょうちょが舞い降りて




ボクも来たよと
赤トンボも。


小さな花たちが



「こんにちは」


「こんにちは」




ぺこりと頭を下げ‥。



まるでそれは
挨拶を交わすかのように。



人の気配も温もりも
ひっそりと影を潜めたこの町で


ここに暮らす
どんな花も
どんな生き物も


「今」を生きている。





どんな状況下にあろうと
そこに生命が根付き


夜が来てまた朝が来て
また夜が来て‥。



どんなに
絶望的に見える明日も



どんなに
打ちひしがれようとも


止まることなく
時は進み‥刻み‥。

「今」はいつでも
そこにあり



「今」はいつでも
「今」なのだ。






 ✎‥。......................................................



ある日突然‥。


いつまで続くのか
わからないトンネルへと
入らざる得なかったわたし達。

このトンネルがどこまで続くのか
いつまで続くのか‥。


出口すらあるのか
見えない。わからない。


それでも
ただ信じたい‥と願う。


明日に
未来に

光が射すことを‥。



雨上がりの森に
きっとまた美しい
七色の虹がかかることを‥。






編集後記‥。✎...


先日わたしは
CanonEOSR10
そう‥大好きなカメラ片手に
ある場所へ。



この日の撮影はとても楽しく
気づけば驚くほどの枚数を
撮っていました。


車を停め、歩いていくと
そこには以前の姿はどこにもなく。


人の気配は途絶え
ただひっそりと時だけが流れ‥。


音も光も色も
失ってしまったような
さみしい町並みに。


それでも歩みを進める中で
目にしたのは


小さな生命でした。




毎日生きていく中で
淡々と穏やかに
過ごしたいと心から思っていても

予期せぬことが起こり
高く分厚い壁に
先を閉ざされてしまったり

気持ちが
本当に折れてしまうような
心無い言葉にぶつかることも。


打たれ弱いわたしは
その度に負けてしまいそうに
なるけれど


それでも毎日は変わらず進み
決して待っていてはくれません。



過ぎ去った遠い日を
綺麗なところだけ美しく切り取り‥

よくよく思い返してみれば
決していい事ばかりでは
なかったはずなのに


日常が辛くなると
それを忘れたかのように
昔はよかった
と今を嘆いてしまいそうに‥。


それでもやはり過去は過去であり
この今が現実なのだ。



そしてこの今、瞬間も

わたしたちは生きている。



なんだか最近いろいろあり
少し熱くなってしまいましたが‥。


時に苦しい日々の中にも

花や生き物‥
海や山‥
空や雲。


自然がくれるたくさんのパワーを
味方につけて‥


今日も笑顔で
いられたらいいな‥。


そしてこれを読んでくださった
皆さまにも
たくさんの笑顔が
広がりますように‥。





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