見出し画像

Letter16 社会人二年目〜合格発表〜

6月に一校目の試験が終わった。


できる限りのことはしたと思う。

ただ、手応えはよく分からなかった。

錚々たる経歴の受験生たち。

自分は合格者の5人に入れるか・・・。

そう考えると、自信はなかった。


その1週間後に二校目の試験があった。

初めて受験する大学だった。

慣れない飛行機で受験に向かった。

学力試験。

集団面接、個人面接。

全ての試験を終え、初めて思った。


やりきった。


と。

手応えがあった。

今度はいけるかもしれない・・・。


試験が終わって、心が高揚したのは初めてだった。



それから3週間後。

先に、手応えのあった二校目の合格発表があった。


今度こそ・・・

もしかしたら・・・


緊張しながらインターネットを見た。

結果は・・・


・・・・・・・・・・・・・・



不合格・・・。


私の連敗記録は9になった。



縁がなかったのだろう・・・。

そう思えた。

もちろんすっきりはしない。

理由を知りたかった。

でも・・・

とにかく縁がなかった。

そう思うことにした。

そして、

初めてそう思えた。



それから1週間程経ち、

一校目の合格発表がきた。

一次を含めると、受験者は63人。

最も高倍率だった。



仕事が終わり、車の中でイメージする。


また、自分の番号はない・・・。

いや、あるかもしれない・・・

いやまさかそんなはずはない・・・


きっと番号はない・・・。


帰宅してインターネットを開いた。

ダメだと思っていても、心臓の鼓動は速くなる。

やはり、期待は捨てられていない。


縦一列に並ぶ5人分の番号。



・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・



あった・・・・・・・・・・・







本当か・・・・・・・・・・・





何度も確認する。




自分の番号なのか・・・・・・・・?


本当に・・・・・・・・・・・・・?




受かった・・・・・・・・・・・・・?


受かってる・・・。


受かってる。


受かってる!!?



すぐに、台所で、料理をしていた母の所へ行った。


「今日、発表なんだけど・・・、

 受かってるみたい・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・ええ!!!!」



それから、母は完全に頭が回らなくなった。

号泣しながら、番号は間違えていないかと、何度も私に確認した。

知らないふりをしていたが、今日発表なのは知っていた、またどうやって慰めようか考えていたとのことだった。


その日の夕食は、たまたまちらし寿司の予定だった。

母はちらし寿司をどこまで作ったのか忘れ、泣きながら調味料をごちゃごちゃに混ぜた。


そのまま、できたちらし寿司を持って、祖父母の住むマンションへ向かった。


祖父母には私がもう一度受験をしたことも伝えていなかったので、本当に驚いていた。

でも、

心から喜んでくれた。


お前は俺たちの誇りだ

と祖父が言った。


ただただ良かった。頑張った。頑張れ。

と祖母は抱きしめてくれた。


母の作ったちらし寿司を、皆で食べた。


今まで食べたことのない味がした。

あまりの味のひどさに、皆で笑った。



私は24歳になっていた。


14歳で抱いた夢のスタートライン。


あの、ひどい味のちらし寿司は、

一生忘れない。





いいなと思ったら応援しよう!

ポテチ@サクラヒカル
もし私の記事が、何か良かった!という方はぜひサポートお願い致します(^^) 今後も沢山アップしていきたいと思います(^^)

この記事が参加している募集