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ショートショート

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短編や長編の草案も兼ねた、300〜3000文字くらいのショートショート集です。ナンバリングが100いくまではとりあえず毎日更新。100いったので更新停止。気が向いたら再開。
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2023年9月の記事一覧

ショートショート12:弟のサンドバッグ

 仕事で急なトラブル対応に追われ、実家についたときには午後6時を過ぎていた。予定では午前…

桜田一門
1年前
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ショートショート11:泥棒は準備が9割

 ある平日の昼間、泥棒は狩り場にしている閑静な住宅街を歩き回っていた。やがてかつて一度も…

桜田一門
1年前

ショートショート10:やがてきれいな花になる

 私は種だ。  小さくて硬い、可能性に満ちた一粒の種。  学校のトイレの個室に閉じ込めら…

桜田一門
1年前
7

ショートショート09:私のカレは催眠術師

 私の彼は催眠術師。売れっ子の催眠術師。  地上波で催眠術関連の番組があると必ず呼ばれる…

桜田一門
1年前

ショートショート08:ポチを連れて【毎週ショートショートnote/お題:なるべく動物園…

「おじちゃん、ポチのお散歩に行ってくれるんだよね?」  出発当日の朝、姪は玄関でそう尋ね…

桜田一門
1年前
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ショートショート07-2:本気出す出すいつか出す

 人権を放棄した俺は名前も過去もすべてを手放し、まず"センター”へ収容された。  "センタ…

桜田一門
1年前
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ショートショート07-1:本気出す出す、いつか出す

「なあ、どうする? 人権、放棄する?」  いつもの居酒屋のいつもの席。俺はいつもの中ジョッキを手に、幼馴染みの栗田に尋ねた。 「もうすぐ俺たち30だろ?人権どうしようかなって最近悩んでててさ」  10年前に施行された特別動物愛護管理法によって、俺たち国民は30歳になると人権を放棄することができるようになった。 「人権を放棄するってのはどんな感じなんだろうね」  栗田がタコワサを箸でつまみながらポツリと呟いた。 「死ぬ、みたいなもんだろ」  俺は言った。 「人権

ショートショート06:恋する左足

私は左足。右足に恋をしている。 右足のかかとの滑らかなラインと、引き締まったふくらはぎが…

桜田一門
1年前
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ショートショート05:たった1つの賢いやり方

「すごく嬉しいことがあって、誰かに話したくてしょうがなかったんだ!」  明石くんは再会の…

桜田一門
1年前
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ショートショート04:残念な結末

出征前夜。 地元の寂れた神社の境内に、斎藤は幼馴染の友人4人を集めて言った。 「例のもの、…

桜田一門
1年前
2

ショートショート03:瓶詰めの彼【毎週ショートショートnote/お題:呪いの臭み】

 恋人の爽汰くんを亡くしてから3カ月。朋美は塞ぎ込んでいた。  爽汰くんは汗っかきの風呂…

桜田一門
1年前
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ショートショート02:何の罪もない友だちを殴りたい

何の罪もない友だちを殴ってみたい。 殴った瞬間に何が起きるのか、この目で確かめてみたい。 …

桜田一門
1年前
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ショートショート01:豚がいた家

 家を出て最初に見つけた老人に優しくすることにした。  気がつけば午後4時を過ぎていた。…

桜田一門
1年前
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