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映画「サバカン SABAKAN」が好きだ
大阪シネフェスで「サバカン SABAKAN」が日本映画作品賞、助演女優賞、新人賞2つの計4冠に輝いたという。
(調べきれていないので書かないが、他の映画賞でも多数受賞している)
幸運なことに、私は数ヶ月前に「サバカン SABAKAN」を劇場で見ることができた。その時のことを思い出しながら、綴っていこうと思う。
あらすじは・・・小学生男子×夏!
まずは、公式HPで公開されているあらすじを確認してみよう。
1986年の長崎。夫婦喧嘩は多いが愛情深い両親と弟と暮らす久田は、斉藤由貴とキン肉マン消しゴムが大好きな小学5年生。そんな久田は、家が貧しくクラスメートから避けられている竹本と、ひょんなことから“イルカを見るため”にブーメラン島を目指すことに。海で溺れかけ、ヤンキーに絡まれ、散々な目に遭う。この冒険をきっかけに二人の友情が深まる中、別れを予感させる悲しい事件が起こってしまう・・・。
この映画を見ながら私の頭から離れなかったのは、小中学生のころワクワクしながら読んだ「都会のトム&ソーヤ」シリーズだ。
「サバカン SABAKAN」のどこが好きか
私はクソ真面目ガリ勉メガネ小学生女子だったので、「サバカン SABAKAN」や、まちトムの二人のような冒険の経験はない。
ないはずなのに・・・どうしてだろう、上映中、懐かしい気持ちが波のように襲ってきた。
きっとそれは、映画の中に仕組まれたちょっとしたことが全て、子供にとって当たり前で、今は忘れてしまったことだから。
何をカッコイイと思うか、何が恥ずかしいか、何を隠したくなるか・・・大人になると出来ることと、努力して出来るようになることが、別物だと思っていたあの頃。
すっかり忘れていた、子供の頃の感覚が蘇ってくるような映画だった。この映画を大人が撮ったことが信じられない。80年代長崎が舞台の日本版「スタンド・バイ・ミー」と言われるのも納得だ。
ひと夏の冒険・・・では終わらない「サバカン SABAKAN」
映画「サバカン SABAKAN」をこれだけ好きな理由は、少年二人の冒険物語で終わらないところだ。この映画は冒険・・・を通して出来た、二人の絆の物語でもある。
二人の日常からブーメラン島への冒険を通して、観ているオトナは普段の大人スーツを脱いで「小学生」に戻ってしまう。何を喜び、何に悲しむのか・・・斜に構えてしまう普段の私でなくなっているだけに、主人公の二人に訪れる「どうしようもない事態」に心が痛む。
そりゃ、大人からすれば、どうしようもなくないよ。いろんな解決法があるのも見える。でも、観ている私は子供なので、子供の視点でしか見えない。そこが上手いなぁ・・・と思う。
この映画を観終わって、外に出た時、セミの鳴き声が聞こえて肌がジリジリと焼けていくような真夏だったなら、何もかもが輝いて見えただろうな。子供の目を取り戻し、日常のなかに小さな謎やワクワクを感じられただろう。夏休みが始まったら、やりたいことは全て出来るんじゃないかと感じられたあの頃。学校に1週間以上行かなくて良いだなんて、想像するだけで心が浮き足だった。
今年の夏、また観たい。