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災害復旧設営担当者に必要なスキル

今回の能登半島地震に個人ボランティアとして既に3回携わっています。また一時期、仕事で防災に携わったことがあり、防災訓練や防災イベント、様々なコーディネートに携わりました。経験を通して災害ボランティア本部などで行う災害コーディネートに必要なスキルやその他想うところを書き連ねたいと思います。


(1)災害時の仕事

災害時には大勢の個人ボランティアが必要。円滑な差配が非常に重要です。
  • 災害ボランティア本部を立ち上げる。

  • 被害状況を把握し、人足が必要な現場の拾い出しを行う。

  • 災害ボランティア従事員を募集する。

  • 現場に必要な資材を調達する。

  • 指示書を従事員に交付するか、現場に同行する。

作業には大量の消耗品や道具が必要になります。

災害復旧時には災害ボランティアセンターを立ち上げて、公共施設を占用するとともに、現場で様々な道具や消耗品が必要になります。これらを手配しないことには人員を用意したところでボランティアの受け入れ態勢が整いません。


災害ボランティア本部からは注意事項が用意される。

支援が必要な現場に向かうボランティアには注意事項のほか、行先が記載された指示書(個人情報含む)を交付します。書面に落とすまでの準備と調整が必要になります。地図はQRコードとスマホを使用することで省略することが出来ます。

(2)平常時の仕事

いざというときのために地域で打ち合わせが必要
  • 被災時に本部を設置するために動く組織を編成する。

  • 本部を設置することができる場所を策定し、施設管理者と協議する。

  • 資材を定期的に購入し、非常時のために備蓄を行う。

  • 従事に必要なスキルを身に着けるため研修を実施する。

  • 被災時に連携する団体と協定の締結をする。

平常時に結んだ協定が災害時には役に立ちます。

災害に備えて各自治体では他自治体と協定を結んでおり、震災当初から現地で活動している団体はこの協定に基づき、自治体からの依頼を受けて派遣されているものです。(つまり不要不急の個人ボランティアとは異なります。)普段からこのような備えをしておくことが必要なことが分かります。

また研修も必要です。災害時にどの地域でどのような支障があるかどのようなニーズが発生するかぶっつけ本番にならないように、情報を整理する訓練が必要です。

(3)必要なITスキル

・グーグルマップ上に給水場所などの地点を登録する。
・グーグルフォームを作成し、ボランティア希望者を募集する。
・データを加工し、希望者に必要な連絡をする。
・指示書にQRコードを設定する。
・現場リーダーは指示書のQRコードを読み込み現地に向かう。
・本部と現場が連絡を密にできる手法をアプリ導入を含めて検討する。
・アプリで本部と現場リーダーが連絡相談を密にする。

上の給水マップは令和4年に静岡で発生した水害の際に、地元の高校生(清水東高校)が作成したものです。ここ最近、災害ボランティアもDX化され、スマホやパソコンを使用した業務が必要になってきました。

スマホに無線アプリを設定し、現地で使用します。

災害ボランティアコーディネータにはITのスキルも必要になってきました。電話連絡だけでなく、スマホアプリを導入する必要も出てきています。新しいIT機器は日々、進化しているところです。

(4)いろいろ想うこと(グループリーダーとして)

3月2日、石川県七尾市で災害復旧のボランティアに従事しました。現地では県社協個人ボランティアのほか、青年会議所や他地方からの社協関係者が参加し、5グループ体制で業務に当たりました。

今回、私は現場グループのリーダーを任され、災害ボランティア本部と連携しながら、現場グループを指示することになりました。各家庭に行き、依頼者の要望を聞きつつ、本部の指示に沿って任務を遂行すること。引き受けてはならない事項などありました。

現場でボランティアを指揮し、円滑に作業を進めるために必要なスキルは以下のように感じました。現場リーダーと本部についてまとめて見ます。

現場リーダーは救助の最前線になります。

  • 報告連絡相談をリアルタイムに進めながら、依頼者の要望と災害ボランティア本部の調整を行い、現場グループの任務を遂行するだけの調整力

  • 連絡に必要なアプリを使いこなす現地作業報告などの実務力

一方、災害ボランティア本部でのスキルは以下が必要に感じました。

  • 現場作業に必要な人員と資材を正確に見積する能力

  • 現場が作業をしやすくするために依頼元に事前に依頼していくべきことを考察する能力

  • 最初のオリエンテーリングで現場リーダー的確に指示を出す説明力

  • 当日、多数の情報が寄せられるため、情報の取捨選択を行い、優先順位を決定する決断力。

これらがうまくかみ合わないと現場での作業に支障をきたし、満足な作業ができなくなります。

事例として木製棚や大型家電を処分する際に、中身を出しておく必要があるときやゴミ収集の際に厳守するべきルールなど個別事情がある場合、災害ボランティア本部はそれを依頼主に伝えておく必要があり、現場リーダーは厳守するべきルールを基に依頼主と作業内容を調整し、疑義がある場合は本部と協議することになります。

また作業がボランティアに危険と判断した場合、現場リーダーは依頼者と本部の間に立って調整をすることになります。また本部担当者は現場と関係各所との調整を行うことになります。この2者が円滑な調整を行わないと現場が混乱することになります。現場リーダーと本部担当者は災害救助推進の両輪となります。

(5)まとめ

調整など能力は個人が普段の本業で自然と身に着けるほか、災害ボランティア研修や実務を通して身に着けていくべきと考えます。数多くこなしていくことで必要な能力は自然と身についていきます。
被災現場の支援は長丁場になります。これからも時期を見て能登地方を訪れるとともに、現場で必要と思われるスキルを本業仕事を通じて培いたいと考えています。


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