【ショートショート】じんわりバニラアイス
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特にこれと言ってする事が浮かばず、テレビのリモコンをソファーに放り投げる。ドラマ・映画・アニメ・ゲーム実況・雑談配信・その他諸々。コンテンツの溢れ返った画面。見れば見る程、結局見るのが面倒になる。
うーっと唸りをひとつ喉から出し、曲がった背筋を伸ばした。
「なーんにもする事がないってのも、まあ幸せっちゃ幸せだけどさあ」
幸せへの愚痴をこぼしながら立ち上がってキッチンに向かう。確か冷凍庫にアイスがひとつ残っていたはずだ。がらっと開けた冷凍庫からひんやりと冷気が足に流れる。がさがさと冷凍保存されている食品を漁り、一本のバニラアイスの救出に成功。
アイスの袋を開けつつリビングに戻る。再度ソファーに腰を下ろそうかと思ったが、丁度良さげな太陽が降り注ぐ窓が目に入った。冬のこたつでアイス宜しく、少しの暖かさを感じながら食べるバニラアイスは贅沢だろう。そう思考をまとめ、庭に続く窓の側、太陽が降り注ぐ暖かな床に腰を下ろした。
じんわりとした絶妙な眩しさと暖かさ。手に持ったバニラアイスは、スーパーでセールされていた安物が嘘のよう。まるで宝石のように太陽の光できらきらと輝いている。ぺろりと一舐めするとひんやりした甘さと、バニラの匂いが味覚と嗅覚を満たした。
もうしばらくすればこの絶妙な眩しさも暖かさも、嫌気の差す痛みと暑さに変わってしまう。太陽なんて嫌々と遮光カーテンの連勤が始まってしまう。外を走り回る子供の声も暑さに掻き消されてしまう。
そう思えば、たまには溢れるコンテンツから離れ、季節を堪能するのも悪くない。
「おっ、実況盛り上がってんなあ。蝦名が打ったか?」
日差しの暖かさに目を細めながら、結局いつも通り野球中継の垂れ流しになったテレビに、耳だけを傾けた。
この時期のデーゲームと、過ごしやすい気温の組み合わせが好き過ぎる。
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