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「逃げ」の独立でも、良いと思う。

もう、疲れた。

こうしてベッドのなかで空虚な気持ちになったのは、いったい何回目だろう。何回上司の前で泣けば、許されるんだろう、俺。

あれは、29歳の冬。

何かも疲れ果てた僕は、もう会社員には戻らないと決心した。

そして、32歳の今。「上司」という存在もいなければ、自分の好きな仕事を、好きな時間にできるようになった。通勤がない、会議がない、無駄な飲み会もない。こんな「ない、ない」尽くしの毎日が、僕にはうれしくてたまらない。

そう、僕は独立を果たした。

ちなみに「独立は、明確なプランを持って慎重に考えるべき」って聞いたことないですか?あれは、明らかにウソです。なぜなら、独立はどんなに明確なプランを練っても「想定外」のことが起こるから。つまり、明確なプランを練るんじゃなくて、まずは飛び込んでみた後にその都度考えていくことが大切。

もちろん、お金も、仕事も、不安が大きいのは確か。でも、ちょっと考えてみてほしい。心が「会社」という組織に向いていないのに、定年までの残り何十年間かを、そもそも頑張り抜けますか。

僕には、無理だった。いわゆる「大企業」で、しかも2社で適応障害になった。ひとつは伝統的な社風の会社、そしてもう1社はイケイケの雰囲気の会社。その両方で「あなたはこの会社に向いていません」と最後通牒を投げつけられた。ちなみに休職期間を何か月か過ごし、気持ちが少し落ち着いてきてからも、オフィスで缶詰めで働いている様子をイメージすると冷や汗がたらりと出てきたことを覚えている。

「俺は会社員に向いてない」。というか、「会社に戻るのが怖い」。

だから、僕は逃げた。

まずは、これまでの正社員としての責任から逃れるため、派遣社員に。そして派遣の人間関係も窮屈に感じられ、逃げるように独立を目指した。

そして逃げたことで、新しい世界に出会えた。

目をつむって一目散に暗闇のなかに駆け出したから、下手すれば崖の底に落ちていたかもしれない。でも、それでも良かった。自分の心が壊れないことが、特に大事だったから。心さえ守れれば、何が起きたとしても平気だと腹を括っていた。

結果として、独立してから1年が絶とうとしている。そして、まだなんとか生きている。色々な方の助けもあり、ありがたいことに底には落ちず、むしろ大企業の正社員時代以上の時間と、お金も手にできるようになった。

「逃げ」の独立でも、ぜんぜん良いと思う。

後先考えないで逃げ出すのはたしかにリスクがあるけど、それでも、自分のココロにヒビが入っているなら、割れない安全な場所にそのココロを運ぶことを考えるべきだ。

何もかも壊れてからは、遅い。
でも、どの年齢だって、行動するに遅いなんてことはない。

ちなみに「いきなり独立は……」という場合には、僕みたいに派遣をステップとして挟むのもおすすめ。“男の派遣社員”のリアルについては、↓の記事をどうぞ。

会社員として働くことは良いけど、今の仕事が好きじゃなくて悩んでいる場合には、↓の記事が参考になるかと思います。


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