架空の本屋の架空の企画
こんにちは。はじめまして嫁です。
まだなんとなくある本屋とその仕事への未練を成仏させるために話しています。
架空の本屋の架空の企画です。
◇◇◇
嫁 夏です。毎日暑いです。でももうすぐ秋です。そろそろ文庫のフェアも片付けて新しいフェアをやりましょう。
夫 そうですね。でもどんなフェアを?
嫁 んー、よくあるのはグルメ本、紀行本、「秋の夜長に読みたいミステリ」とか…。
夫 季節ものですね。秋らしさを感じるもの。
嫁 「秋らしさ」って?
夫 茶色?あとはもうテーマになってないけど「読書の秋」。
嫁 んー、そうねえ。
夫 人文は、夏に書物復権やって、四六判宣言やるけど、秋は秋だからなんだっていうのはないんだよね。
嫁 じゃあ、もう季節とか関係なくインパクトのあることやりましょう。「ほんのまくら」みたいな。
夫 …『カメラを止めるな!』
嫁 最高かよ!…でもそれは映画書ってことですか?自分だったら行く?
夫 行かない。
嫁 ですよね。それは別で映画館に観に行ってください。
大切なのは、夏の文庫フェアでも取り込めなかったお客さんを取り込むこと。(注:夏の文庫フェア→新潮文庫・角川文庫・集英社文庫のフェアのこと。毎夏の文庫の目玉。)
夫 たしかに。そのためにはお客さんの具体的な読書シーンを考えたフェアにしないと。
嫁 そうだね。じゃあまず具体的な立地を決めましょう。
夫 俺が人文書やってた頃の話だけど、誰に読んで欲しいかっていうと、大学一、二年生に読んで欲しいと思ってやってた。
一般教養をやってて、これから専門で勉強する人たちがじゃあ背伸びしてなにを読むか、っていう。ベーシックなものは図書館で借りるから。
嫁 大学の書店で買ったりとかね。
夫 そうやってやる気の出た人に気付きを与えられる棚を目指してた。
嫁 そっか。私はやっぱり書店って来てもらってなんぼ、というか、「ああ、こんな本あるんだ、知らなかった」とか、電車の広告とかテレビとかメディアが拾いきれない面白い本を見つけて、お客さんに気付いてもらうことが大事だと思う。
夫 そうだね。
嫁 じゃあ大学が近くにあるっていうことにしない?
電車で一駅か二駅くらい。
夫 はいはい。
嫁 それで、メジャーな作家の代表作を読んで、その後一歩踏み込んでなに読むか、とか?例えば太宰治の『人間失格』とかカフカの『変身』とかさ。
夫 …書簡とか?
嫁 しょかん…書簡!?それはかなり後の方ですね。
まあいいや、たとえば太宰治だったら『人間失格』は読んだ。『走れメロス』は読んだ。じゃあ次はなにを読むか?ってとこを出版社を巻き込んで選ぶ。
夫 あーどうかなそれ。本屋が選んだ方がいいんじゃない?
嫁 まあその方が選書に味が出るかもね。
出版社に頼むと教科書通りになっちゃうか。
夫 そうそう。たとえば日本思想だったら、西田幾多郎すごい、鈴木大拙すごい、ってなるじゃん。
そしたら、じゃあ鈴木大拙を批判してる本ってどんな書き味か知ってる?みたいな。
そういう学校で教えてくれないけどエビデンスがきっちりしてることをやれたらいいなとは思う。
嫁 …本すごろく。
夫 すごろく(笑)。これ読んだら次これ、で、一回休んで、みたいな。
嫁 休みあるんだ(笑)。それかチャートみたいなの。たとえばカフカの『変身』だったら、矢印引いて【ドイツ文学】とか【不条理】とか。
夫 【妹に共感する】【ザムザに共感する】とかね。
嫁 あとは【変身もの】とかね。なんとなくかたちになってきましたね。
じゃあ、これで少し進めてみましょう。
夫 「本すご」ね。それか「本ごろ」。
嫁 ほんごろ(笑)。
◇◇◇
今回はここまでです。
なんとなくフェアのかたちができあがってきました。
まあ実現することはありませんが。
このあとは選書をしていきたいと思います。
本当にやるのかな。まぁがんばります。