わたしがたくさん
「五人もおるんや、わたし」
『バスケできちゃうよね』
「一人二人ならわかるけど」
『あはは~フツーそうか』
「自分の中に天使と悪魔がおる」
『あと一口食べたい!やめとけ~』
「それあるあるやで~葛藤しとるわ」
『どっちが勝っても負けるのは自分さ』
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こんにちは!
フジミドリです☆
─こちら西遊記はフジミドリの別アカウントとして創作裏話をお伝えしております─
今回の【癒や詩絵物語】は【五人のわたし】と題して物語と詩を編んで、いつものように朔川揺さんの柴絵で締めました。
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『思考や感情の自分ってエゴだから、エゴは消しましょう、なーんて宣う人がいるのさ』
「うーん。確かに不自由なとこはあるけど、エゴを消す言うたらなんや怖い気するわ」
『そりゃそうだよ。エゴって、今こうやって話すオレたちそのものだからね』
「そうやな~わたしは別に、悟り澄ましとる聖人君子になりたいとも思わへんし」
『悟りたいなんて思えば逆効果だよ』
「あらま。そらまたなんでやねん」
『悟れてないあり方の自分だからさ』
「いつまでたってもそのまんまか」
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私もそれほど詳しいわけではありませんが、精神世界や宗教系の瞑想などについて、ある程度の情報は得ています。
ところが、私の知る限り苦悩の元になるエゴを消そうとする方法ばかりなのです。
うまく手放せたらいいですが、なかなかできないとなれば却って苦しむかもしれません。
消されたくないエゴは必死です。反撃、スルッと逃げる、そして罠を仕掛けたり。
あたかも消えてしまったかのように演じて、ひっそり潜伏することさえあるのです。
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「そらまた、エラい手強いんやないの?」
『こっちの弱みは全部バレテーラだからね』
「はぁ~ほな、わたしら勝ち目ないやん」
『たーしかに確かに。負けるが勝ちさ』
「そうか。勝ち目ないんやったら、闘うんはやめといて仲良うするわけや。潜伏されるくらいやったら、見えとった方がええわ」
『師匠はよく、一体感を取ってから手懐けるとおっしゃっていたよ。オレはまぁこれまであれこれと体験あるしね』
「そういやフジさん、色々と書いとったな。馬に乗り、断食し、臨死体験……この際、教祖やったらどうや。儲かるで」
『あはは~生徒は縁があるから、指導したいと思うだけさ。家庭教祖なんちゃって』
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道術家である私は、自分の中でエゴと一体感を取れば、秒で想念がゼロになるのです。
けれども、塾講師としては伝えられません。道場に通って畳の上で培った術ですから。
そこで、生徒向けに作ってみたのです。
エゴの自分を観察、論理的な対話、赦す、光で覆う、仙骨へ下ろして調和……
ある程度は、生徒たちにも効果があったようでした。それでまぁ、こんなものかと思っていたのです。
ところがつい最近になって、守護の神霊よりまだあるぞとお知らせがありまして。
ゲームのキャラ設定。思考や感情の自分を外へ出す。独立した人格として話しかける……
早速、日々の授業に取り入れました。
すると、試してみたら気持ちが楽、イラっとしない、集中できると言うのです。
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「どんな感じで教えるん?」
『例えば、右手に受験生の自分、左手が趣味の自分。三人目は胸の前あたりに、迷ったり悩んだりする自分を作るんだよ』
「ほぉ。作ってどないすんのや」
『勉強やりたくない、なんでこんなことやるって思いが出たら、その思いをスッと三人目の場所へ移して共感してやるわけ』
「大変やな~やってられへんで。わかるわ。世の中、間違うとる。遊びたいな~とか?」
『おお~さすが関西人はノリがいい。そう。思いの自分が言って欲しいことを並べてやるのさ。承認欲求を満たすというかね』
「右手と左手はどないすんの」
『ベタ褒めしてあげるのよ』
「そらムリや。自分を褒めるて」
『あはは~そこは手伝うさ』
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私の仕事は生徒を褒めることです。
三十歳で塾講師を始めましたので、三十六年になります。生徒を褒め続けてきました。
どんな生徒であっても、これまでに過ごした人生の中で経験がないくらい、自己重要感を持たせる自信はあるのです。
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「次は四人目か」
『プレイヤーだね』
「場所はどこなん?」
『もちろん仙骨だよ』
「仙骨いうたら背骨の一番下やったな。武道や気功でいう丹田と同じやったか?」
『そんなこと言ったっけ。忘れちゃったよ。臍下丹田って場所が微妙に曖昧だけど、まぁいいさ。とにかくお腹のあたりね』
「四人目の自分は名がないとしか書いてへんな。まぁ、詩やから行間が大切やけど」
『えっマジ?…………うわ~本当だよ。これじゃ何のことかわっかんないよね』
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四人目の自分は、ゲームのプレイヤーになります。三人のキャラを操るのです。キャラから見れば神のような存在といえます。
五人目は霊的世界の自分ですが、生徒に伝える時は思案しました。するとゲームの運営という表現が浮かんだのです。
却ってわかりにくいかと心配するのですが、ゲームと親しい現代っ子は大丈夫でした。
もちろん、そんなのムリできっこないと疑う生徒もおりますが、その思いを三人目の自分へ移してもらうのです。
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『イラストありがとね~ワクワクしたよ』
「ほな、よかったわ。嬉しいことやで」
『今ここにロックオンだって思えた』
「ははは。そない意味、考えとらんわ」
『うん。揺さんは好きに描いてくれたら』
「出来が気にいらんこともあるけどな」
『いやいや。オレにとっては世界最高だよ』
「ふふ。ほんま、褒めるの上手い人やわ」
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お読み頂きありがとうございます!
次回フジミドリは11月24日です。こちら西遊記が木曜日の公開となります。
是非いらして下さい。