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苦虫うさる
2024年2月22日 17:10
「奴隷制度が人の心にもたらすもの」について描いた、トニ・モリスンの「ビラヴド」が面白かった。「奴隷制度について描いている」と書くとついそちらに意識がフォーカスされるが(そしてもちろんとても重要な問題だけれど)、自分がこの話で一番興味を惹かれたのは物語の語りの手法だ。「八月の光」の解説の中で、フォークナーが活躍した時代はちょうどヨーロッパでモダニズム文学が流行していた、と書かれている。 ア
2024年1月20日 21:21
久しぶりにフォークナーの「八月の光」を読み返している。 光文社版を初めて読んだとき、一番初めに新潮社版を読んだ時よりずっと面白いと感じたが、今回読んだらさらに面白い。「こんなに面白い小説だったんだ」としみじみ感じ入っている(今さら)「八月の光」には、ブラウン(ルーカス・バーチ)という箸にも棒にも引っかからない小人物が出てくる。 主人公の一人であるリーナを妊娠させて逃亡し、逃げた先でもう