彼らを縫い糸から解放するただ一つの方法
前触れなく現れた訪問者は、ベッドの枕元で座っているぬいぐるみの方を指差して、唐突に言った。
「その子の皮は剥いでやらないの?」
私は面食らった。正しく鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていただろう。そもそも、チェーンロックの隙間から顔を覗かせるだけの、この女の位置からはぬいぐるみは見えていない筈だ。
「ええっと……どういう意味ですか?」
「あれ?もしかして、ただのぬいぐるみだと思ってた?」
女は私の疑問を知ってか知らずか、そう続けた。そして“ただのぬいぐるみ”ではないぬいぐる