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妊活中の痛み止め

妊活中の痛み止めの服用は慎重にする必要があります。

2001年に痛み止めの使用上の注意が改定されました。これは痛み止め(非ステロイド性消炎鎮痛薬=NSAIDs)を長期服用していた女性に一時的な不妊が認められたという海外の症例報告があったためで、これを受けて厚労省が痛み止めの添付文書を改定するよう製薬メーカーに指示し、それ以降痛み止めの添付文書の注意書きには「不妊」が追記されることになりました。

「痛み止め」はなぜ注意する必要があるのでしょうか。

「痛み止め」の服用による不妊が起こるのは「痛み止め」が「排卵」を抑制するためです。

痛み止めは「発痛増強物質」である「プロスタグランジンE2」をつくる酵素である「シクロオキシゲナーゼ(COX)」の働きを邪魔します。

そうすると「プロスタグランジンE2」が作られなくなるため「痛み」が和らぎますが、同時にプロスタグランジンE2は「排卵」を促進する物質でもあるため「痛み止め」を服用すると「排卵」が起こりにくくなります。

そして、卵胞が大きくなっているにも関わらず「排卵しない」つまり「不妊」という現象がおこります。

もう少し詳しく言うと、「痛み止め」が邪魔をする酵素である「シクロオキシゲナーゼ」には「シクロオキシゲナーゼ1(COX1)」と「シクロオキシゲナーゼ2(COX2)」がありますが、排卵前期の卵胞には「COX2」が発現して、「プロスタグランジンE2」の合成を促進します。そのため「痛み止め」を服用すると、「COX2」が阻害されて、卵胞が成熟しているにもかかわらず、排卵されずにそのまま「黄体化」する状態となります。そのため、卵胞が成熟し排卵の指令が出ているにも関わらず、卵胞が破裂しない=「黄体化未破裂卵胞(LUF)」を引き起こし「不妊」となってしまいます。

生理痛や頭痛などで痛み止めを常用している方は少なくありません。妊活中でも痛み止めが必要な場面が出てくると思います。頭痛や生理痛、発熱などで痛み止めを妊活中に使用したい場合でも、基本的に月経開始〜低温期(排卵数日前まで)は服用しても妊娠率には影響しません。

注意して欲しいのは「排卵2日前〜排卵日」までの期間です。

不妊治療で採卵前の排卵抑制にボルタレンなどの痛み止めを使用することもありますので、痛み止めの影響は小さくありません。痛み止めを常用している方で妊活・不妊治療をされている方は排卵のトラブルにつながる可能性がありますので痛み止めの使い方を見直す必要があります。

カロナールなどのアセトアミノフェンは効き方が異なり、排卵抑制を起こさないため、効果があれば妊活・不妊治療中の痛み止めとして使用できます。

一方、アセトアミノフェンは妊娠中の使用には注意が必要です。これまで妊娠中でも唯一使えるとされてきたアセトアミノフェンも近年は生まれた子どもの自閉症スペクトラム障害(ASD)や注意欠陥・多動性障害(ADHD)などの発達障害の発症リスクを高めるという報告もあるため注意が必要な薬剤となりました。

実は痛みのコントロールは西洋薬のみができることではありません。妊活中・妊娠中の痛みのコントロールは漢方や鍼灸なども役立ちますし、実際に使用して効果をあげています。

もし、痛み止めの使い方で困っている場合は漢方や鍼灸も選択肢に入れてください。

きっと役立つと思います。

漢方・鍼灸のご相談・ご予約はこちらからお願いいたします。

タナココ


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