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協働と「マーケティング思考」〜相手の視点で発想する方法【いちばん身近な協働論】


1、協働と「マーケティング思考」の親和性

協働とマーケティング思考。一見全く別物のように思えますが、この2つ、実はとても親和性が高いのです。
なぜなら、両者とも、相手の視点を想像し、相手の視点で考えてみるという在り方だからです。マーケティング思考で協働を行うと、本質的な成果に結びつけることができます。

でも、マーケティングなんて難しそう…💦

とはいえ、「マーケティングなんて難しそう!」と思う方もいると思います。今回は、誰でもすぐに実践できる「ミニマムマーケティング」について提案していきたいと思います。

2、「マーケティング思考」で取り組むと…⁉

ミニマムマーケティングについて解説する前に、まずはマーケティング思考で協働に取り組むと、どんな良いことがあるのかをまとめます。

▶本質的な成果につながる!

異なる主体同士で協力して進めていく協働において、当然のことながら他者の視点に立って発想することは、最も重要なことの一つです。
自分の所属する組織の視点だけ(主観)ではなく、異なる主体の意見を聞き、想いを受け止めることで、客観に至ることができます。

他者の視点を大切に!

そんな風に、主観を超えて客観的に、俯瞰しながら進める協働は、本質的な成果につながります。

▶協働プロジェクトが、皆にとって自分事となる!

これは過去の記事でも何度も述べてきていますが、協働に関わるそれぞれの主体の意見やアイデアが反映された企画は、皆にとって自分事となり、自然と高いモチベーションで進行していきます。

過去の記事↓

▶伝わる発信で、広がる「共演者」の輪

協働プロジェクトは、直接関わる人たちだけでなく、その周りに広く「共演者」の輪が広がることで、さらに大きく育っていきます。

相手に届く発信!

協働プロジェクトに興味関心を寄せて、応援してくれる人たちの輪を広げるためには、協働プロジェクトの内容を、きちんと相手に伝わるように発信する必要があります。
一方的な発信ではなく、興味を持ってほしい人たち(ターゲット層)にしっかり届くように、マーケティング思考で発信することは欠かせません。

3、「ミニマムマーケティング」のすすめ

それでは、ここからはミニマムマーケティングについて説明していきたいと思います。難しい知識や、大掛かりな市場調査などとは全く違う方法です。
今すぐ、誰でも、どこでも、すぐに実践できるのがミニマムマーケティングです!

▶「ミニマムマーケティング」とは?

ミニマムマーケティングとは、「手の届く範囲の他者2~3人に意見を聞いてみる」だけです!(最低1人に聞くだけでも構いません。)
たったそれだけのことで、アウトプットの質が全く変わってきます。

「えっ?それがマーケティング?」と思う方もいるかもしれません。
すごく身近な例え方をするならば、あなたがお料理をした時、家族に「ちょっと味見してくれない?」と依頼することがあると思います。それと同じです!!

味見してもらって、おいしくなった!

「ちょっと味が薄いかなぁ」というコメントが返ってきたならば、あなたは塩を足すと思います。もしくは、「少しコンソメを入れてみたらどう?」と、相手から提案がきて、一緒に仕上げることができるかもしれません。

ミニマムマーケティングとは、まさに味見の依頼と、その後の味の修正プロセスと同じなのです。

▶「ミニマムマーケティング」の意義

それではなぜ、2~3人に意見を聞いてみることが、そんなに大切なのでしょうか?
その理由は、それだけで自己の主観を抜け出せるからです。そして、客観的な意見をキャッチすることができるからです。

三脚を思い浮かべてみてください。3本の脚があることで、しっかりと安定して立っていますよね。
協働プロジェクトも、3人ぐらいの意見をその都度キャッチすれば、俯瞰的な視点で進めていくことができるのです。

3つの脚で安定!

もしも3人が難しければ、2人でも十分です。その2人と自分を合わせれば、ちゃんと3つの脚になります。2人に意見を聞くことも難しければ、1人の他者の意見を聞くだけでも、少なくても自己の主観の範囲は抜け出せます。
自分以外の他者からの率直な意見をもらうこと。それがミニマムマーケティングです。

4、今すぐできる!ミニマムマーケティングの実践

それでは早速、ミニマムマーケティングに挑戦してみましょう!
誰にどんな風に聞けばいいのか、具体的なことを説明していきます。

▶誰に意見を聞く?

基本的に、手の届く範囲の人でOKです。率直な意見が欲しいので、ある程度フラットに話せる関係性の相手が良いと思います。
実際に一緒に協働に取り組む相手に、直接意見を聞くことができれば、最も正確なフィードバックとなるでしょう。

身近な人でOK!

もしそれが難しければ、同じ組織内の人でも問題ありません。
その際は、なるべく本来意見を聞きたい相手と属性の近い相手を選ぶとスムーズです。(例えば大学生の意見が聞きたいけれど、周りに大学生が居ない時には、新卒の職員に意見を聞くなど。)
意見を聞けそうな相手がどうしても居なかった場合には、家族や友達に聞いてみるのでもOKです。

▶どうやって聞く?

意見を求められた相手は、構えてしまって「自分には専門的なアドバイスはできないけれど…。私でいいの?」という風に感じていることが多いです。
なので最初に、専門的なアドバイスが必要な訳ではなく、等身大の意見・感想が欲しいのだという事を伝えます。

等身大の感想で大丈夫だと伝える!

その上で、具体的なシチュエーションを仮定して意見を聞いてみると、相手はとても答えやすくなります。
例えば以下のような感じで聞いてみます。

  • 「NPO活動を熱心にやっている立場として、この企画は一緒に取り組みたいと思いますか?それとも、別に一緒にやらなくても、自分の活動を進めるために時間を使う方が良いと思いますか?」

  • 「もしもあなたが、こんなポスターをたまたまSNSで見かけたとしたらどう感じますか?参加しようと思いますか?」

  • 「もしも大学4年生だったとしたら、どう感じますか?就活が終わって、このプロジェクトをたまたま見つけたら、興味持ちますか?」

▶必ず強調して伝えるべきこと

以上のようにシチュエーションを仮定しながら、相手に意見を求める時、必ず強調して伝えるべきことがあります。
それは、「空気を読まなくていいから、率直に思ったことを教えてほしい」とお願いすることです。これが大切です!

心理的安全性を!

特に否定的な内容を伝えることには、相手は強い抵抗を覚えると思うので、「もしあなたがこの案に否定的な印象を持ったとしても、それを率直に伝えてくれた方が嬉しいし、それで関係性が悪くなることはない」という心理的安全性を、しっかりと担保することが必要です。

▶対話の中から、修正の方向性を探る

他者の意見を聞くことで、自己の主観を脱し、客観的な視点で修正案を練ることができるようになります。
対話の中から相手の意見の真意を探りながら、課題が解決する方法を模索します。

例えば、イベントの案内について、相手が以下のように答えた場合を考えてみましょう。

相手:「これだと参加しようと思うには、ちょっとまだ壁があるかもしれないですねぇ…」
自分:「自分が参加してもいい対象者なのか、それが分かりにくいですか?それとも、内容に興味が持てない感じですか?」
相手:「少しは興味があるけれど、でもハードルが高い印象があって…。そこまで詳しくないのに参加していいのかなと躊躇してしまうというか…。」
自分:「なるほど、もっと気軽に参加できるという雰囲気を伝えた方が良いということですね。初めての人でもOKとか、そんな風に発信した方が良さそうですね!」

対話の中にヒントがある!

このように対話の中から、修正の方向性を検討していきます。
もし余地があるなら、その修正案を、今一度、相手に見てもらい、良くなったか聞いてみるといいと思います。

以上のようなやり方で、できればまた別の人にも意見を聞いてみて、3人程度の意見を総合できれば、かなり俯瞰的な発想に至れます。

▶お礼と報告について

他者から意見をもらい、相手の視点で発想し、最終的に企画や案件が確定したら、お礼と報告を伝えます。
できれば、相手の意見がどんな風に役に立ったのか、具体的に伝えると、協力して良かったと思ってもらえるでしょう。

お礼は具体的に!

5、マーケティング思考で、本質的な協働を叶えよう!

以上がミニマムマーケティングのプロセスです。
手の届く範囲の人に、積極的に意見を聞き、対話し、修正案を練り、最後は感謝を伝えるという、一連のプロセスによって、協働の質が変わっていきます。また、その過程そのものが、周りの人との信頼関係の醸成にもつながります。

ミニマムマーケティング!!

今すぐ実践できるミニマムマーケティングで、本質的な協働の輪を広げていきましょう!


※このnoteでは、各地での協働の推進を目的に、協働や協働コーディネーターについての一般論や考察、個人での地域との関わりなどを発信しています。

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