「商業出版したいから、電子書籍を出すのはデメリット」と感じているあなたへ
誰もが電子書籍を出そうと思えば出せる時代になりました。
「本」というスタイルでアウトプットするハードルが低くなり、チャレンジできる人が増えたのは、編集の仕事をしている私としても喜ばしいことだと思っています。
ただ、正直なところ、個人出版されている電子書籍は玉石混交なのが現状です。
商業出版の本が底本となっているものから、個人出版のライトなものまで、テーマもボリュームも値段も品質もさまざま。
それこそ「いつか商業出版したい」という思いを抱えている人ほど、「電子書籍を出すのは、自分にとってメリットよりもデメリットのほうが大きいのでは?」と思っているのではないでしょうか。
今回は、そういう方が持つであろう、電子書籍出版に対する2つの懸念点をピックアップし、それぞれに対する私の考えをお伝えしていきます。
懸念点❶ 自分の本が個人出版の電子書籍の中で埋もれてしまうのではないか
現状カオスな電子書籍業界に自分の渾身のコンテンツを投入するとなると、
「自分の電子書籍が、たくさんある個人出版の電子書籍と同じに見えてしまうのではないか……」
と不安に思っている人も、もしかしたらいるかもしれません。
そういう方は、費用はかかりますが、表紙デザイン(かなり重要!)やタイトル、テーマ設定や文章の添削等含めて、編集者やデザイナーなどの「第三者の目と手」を入れる形で制作することをおすすめします。
表紙デザインを外注するのは、まだイメージしやすいですし、実際にデザイナーさんが表紙を手がけている電子書籍も増えてきた印象です。
しかし、編集は頼んだことがない人が大半ではないでしょうか。
こればっかりは体験してもらわないとわからないかもしれませんが、文字量が増えれば増えるほど編集が入っているか、いないかで仕上がりが大きく変わってきます(それだけ粗が出やすくなる)。
もちろん個人の趣味や楽しみで出す電子書籍など、とにかく費用をかけたくない場合は、すべてご自身でやられるのもいいと思います(目的は人それぞれ、その目的に合っていることが大事)。
ただ、きちんとしたコンテンツとして世に出したい方、特に事業のブランディングや認知拡大など、ビジネス上の目的がある場合は、「とりあえず記事をいくつか収録した」「とりあえずそれっぽい表紙にしてみた」だけの電子書籍はむしろ出さないほうがいいでしょう。
なぜなら、「電子書籍の品質=あなたの商品・サービスの品質」と見なされるからです。
電子書籍のでき栄えが、事業の信頼性に関わってくるわけです。
「とりあえず記事をまとめて」「ちょっとでも収入につながればいいから」で電子書籍をつくるのなら、有料noteやマガジンとして販売したほうがいいと私は思います。
懸念点❷ 同じテーマで商業出版しにくくなってしまうのではないか
ふだんから紙の本の代わりに電子書籍を購入し、便利だなと思いながら利用している人でも、本音をいえば「本を出すなら、紙の本を商業出版で出したい」わけです。
そのため、いつか出したいと思っているテーマで電子書籍を出すと、
「いつか来るかもしれない商業出版のチャンスに、マイナスに働いてしまうのではないか?」
と思っている方も多いと思います。
しかし、私は的確に編集・デザインしたうえで電子書籍を出版するのは、むしろ効果的だと考えています。
出版社から書籍を出すのは、自身にも出版社にも負荷がかかります(詳細はこちらのnoteに書きました)。
出版不況が続く今は条件も厳しいですし、企画を通すのは簡単ではありません。
現状、商業出版をするにはあなたの実績やネームバリューが足りない場合、むしろその電子書籍があなたの実績になります。
売り上げのいい電子書籍は、リニューアルして商業出版化されることもありますし、電子書籍の売り上げやランキングがよければ、もちろんアピールポイントになります。
また、すでに一冊の体系化されたコンテンツとして目に見える形になっているので、
と、出版社(編集者)に知らしめることもできます。
これらのことから、いつか来るかもしれない商業出版の機会を首を長くして待っていたり、「企画を提出→玉砕」を繰り返したりしているくらいなら、さっさとしっかりした電子書籍をつくって世に送り出したほうが断然いいと私は思います。
編集者など第三者を入れて制作すると、今まで言語化できなかったことを文章にできたり、考えを体系化してまとめることができたりと、制作過程で得られるものもたくさんあるはずです。
また、電子書籍を世に送り出すことで、思わぬ反応があったり、問い合わせが入ったりするなど、副次的な効果も期待できます(もちろん出せば必ずある、とは断言できませんが)。
私は今、編集者として最初から最後まで関わる事業出版スタイルの電子書籍レーベルを立ち上げ準備中です。
「このレーベルから出ているってことは、きちんと編集されているし、電子書籍だけど信頼できるよね」と皆さんに認知してもらい、レーベル買いしてもらうことをねらいとしています。
ここまでお伝えした私の考えに賛同いただける事業主の方、電子書籍の出版に興味を持たれた方は、ぜひこのnoteをフォローいただくか、メルマガに登録して、引き続き情報をお待ちいただければと思います。