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カテゴリ創出というリスクゲーム:なぜ積極性が勝利の鍵となるのか
今まで存在しなかったカテゴリーのプロダクトを立ち上げたとします。当然ながら、ターゲット市場のほとんどのバイヤーは、あなたの会社やあなたが販売しているソフトウェアが属するカテゴリーについて聞いたことがありません。新しいカテゴリーのプロダクトには、まずバイヤーにそれを買うための予算がありません。カテゴリーに関するマジック・クアドラント(Magic Quadrant:ITコンサルティング会社のガートナーが発行している市場調査レポート)も、G2にだって掲載されませんし(B2B SaaSの比較サイト)、そのカテゴリーに関するカンファレンスもありません。
あなたにはアイデアがあり、目の前には広大なブルーオーシャンがあり、前回の資金調達で銀行口座に貯めたお金が山ほどあります。積極的に投資して新しいカテゴリーのマーケットを創出するか、顧客に新しいカテゴリーを認識させるのに時間がかかることを承知で資金を節約するか、どちらを選ぶべきでしょうか。
倹約することは一見賢明かもしれません。新しいカテゴリーは、市場ごとに異なるニュアンスを持つため、予測不可能な速度で形成されます。しかし、このような空間において、質素倹約であることは勝利につながる戦略なのでしょうか?現在の資金調達環境では、私はそうではないと考えます。
待っている時間はありません。最初の数年間で最も多くの顧客関係を構築した企業が勝者となることが多いのです。顧客との関係が製品のフィードバックと収益をもたらし、それらが多ければ多いほど良いということは明らかです。しかし、顧客との関係が非常に重要な理由はもう一つあります。
顧客の購買検討の基準点を形成するのが、最初に接触したベンダーです。それは、重要な機能が何か、価格帯と価格モデルは何が適切か、競合他社の製品の不足点などです。そのカテゴリーに後続して参入した企業はそれぞれ、顧客のそのメンタルモデルに準拠し、その枠内でポジションを争うか、あるいは多大なエネルギーと資金を投入して顧客がすでに築いた前提に挑戦し、それを覆さなければなりません。これは後続企業にとって非常に難しい挑戦であり、このカテゴリーを創造したスタートアップにとっては競合他社にハマってほしい立場でもあります。
私は新しい市場で好んで買うバイヤーを長年観察してきました。彼らはカテゴリーの代名詞ともいえる、最も有名なブランドを好みます。彼らはまず数年間、そのカテゴリーのリーダーといえる企業と仕事をして、うまくいかない場合は再評価することを決め、新しい企業や製品への変更をこんなふうに正当化します:「私は新しいカテゴリーのリーダーと仕事をしていますが、他企業がどう進化しているかも検討してみよう」。
いろんな潜在顧客が点在する大きな地図を想像してみてください。お客様があるソフトウェアを購入するたびにお客様の領土がそのソフトウェアの色に変わり、だいたい3年間は色を覆すことができなくなります。そのカテゴリーが創造されてから最初の1~3年のマーケットシェアが、少なくとも4~6年目のマーケットシェアを左右するのです。
自社の色に変えたお客様が多ければ多いほど、ブランド力が高まり、知名度が上がり、リファレンスカスタマーが増え、資金調達が容易になり、採用や成長がしやすくなります。カテゴリ作成の後半にならないとわからないフライホイールが、実は裏で回っているのです。結果として勝者は市場のほとんどの利益を得ることができます。
確かにプロダクトは重要です。プロダクトが機能し、顧客へ価値を提供しなければいけません。しかし、ディストリビューション(顧客へプロダクトを届けるためのセールス&マーケティング活動)はそれと同等もしくはそれ以上に重要です。なぜなら、現在の潤沢な資金調達環境を鑑みると、新しいカテゴリーのマーケットにおいては、早期にリスクを取ることで、より多くの領土を得ることができるダイナミクスが働くからです。
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原文:The Great Game of Risk Played in Category Creation, and Why the Winning Strategy is Aggression
著者:Tomasz Tunguz
Redpoint Venturesのパートナー。前職はGoogleのAdSenseのプロダクトマネージャー。Dartmouth Collegeにて機械工学の学士号、機械学習のBE号、エンジニアリング・マネジメントの修士号を取得。
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