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ゲームデザイナー Saashi の仕事部屋〜2020年4月後半

Saashi & Saashi(サアシ・アンド・サアシ)のSaashiです。今回は2020年4月後半の何日かの分を。この期間は少し休みをとったこともあって、いつも以上にのんびりな日常となりました。

「ゲームデザイナーSaashi の仕事部屋」シリーズについて
京都でアナログゲームを作っているんですが、手書きで日記書くのがだいたい滞って記録が記録にならないので、noteで綴ってみようかと思い、書き始めてみてるシリーズがこちらです。半月に一度くらいで載せてます。
ただ、わりと忙しくしている気がしているわりに、特に変わり映えしないので地味すぎる日常ですが、自分の備忘録的に書いています。全日の日記でもないし、その時思ったこと書くだけの日とかもありそうですが、「こういう人もいるのだな」と気楽な感じでお目通しいただけると幸いです。

4月後半某日

四月前半にのんびりと休息もとれたので、そろそろ仕事に戻ろうかなと思う今日この頃。

TwitterのDMが何通が届いているのが溜まっている。
Saashi & Saashi アカウントでは、フォロワー外からも受け取れるようにしているのだが、そうしていないとリプライの形で要求を書かれるパターンが散見して、結局DMかサイトのコンタクトページ案内になるのが二度手間だから、というのが理由。DM受け取れるなら受け取れるで、返事を返さない限り溜まり続けるということになるのだが。(すぐ返さない自分が悪いのだが)

DMのメッセージリクエストの項に初めのうちは新着件数が表示されるけども、一度内容を見てしまうと件数表示も消えてしまうので、そのうち返事をしていないことも忘れてしまう。これはよろしくない。海外からの通販希望者の場合は、案内を送るのに結局はメールを介すことになるわけで、DM自体で完結しないのが手間を増やす原因な気もするけれども。わざわざ問合せてきてくださっている方のことを思えば、できるだけ早くお返事したい気持ちは山々なのですが、すみません今日もできなくて……。

メールもいろいろ溜まっている。(休みの間は急ぎのものは返していたが)
本当は休む期間の前に返しておかねばならなかったものを発見して、唸る。そして楽に書けそうなものから何件か返信。

他に、おもに後日のために海外ショップなどへ営業用のメールの下書きをまとめ直す。取引先の情報をファイル上で少し更新したりする。管理は得意なほうでは全然ないので、できれば誰かにやって欲しい。
おそらくこれが今年の改善点その3。わりと切実。

夜寝る前にコーヒーを飲みながら読書、いくつか構想練ったりメモしたりする。ほんとは午後にでも手をつけたいのだけれど。

4月後半某日

夕方から欧州の出版社とのスカイプ会議。もろもろ情報を確認し合うことができて、改善点は見出せたので、とりあえず良かった。トラブルはないほうが良いが、わからないまま進行するより発見できて立ち止まれるほうがずっと健康的。

雑誌に付けるであろうゲームルールのためのテストキットを急いで作ってテストしてみる。思った通りに可動したので納得。あとはちょっとしたニュアンスの調節くらいかも。

スペインの出版社に安否を尋ねるメールを送るとすぐ返信あり。ご当人は健在で、親戚の中にはウィルスで療養していた人があったが、いまは大丈夫だとのこと。でも出版社自体は今年のリリース計画をゼロから考え直さざるを得ないそうで、やはり大変ではあるのだ。とりあえず無事を確認し合って互いに健闘を祈る。

4月後半某日

dlp社と『コーヒーロースター』やその他に関しての連絡。ドイツも業界は大変だが、1人用ゲーム『コーヒーロースター』の需要は高まっていて、売上も落ちていないそうだ。日本でもそれは同様かもしれない。あのソロゲームを作ったのはもう5年も前だが、5年を経てもまだ需要があるというのはありがたいことだと思う。

オセアニアに荷物送る。あとは北米の出版社に確認のメールやりとり。送る荷物がいくつかあるのだが、いまところは様子見でまだ送れていない。先方も自宅に缶詰めでプレイテストの環境が整わない状況とのこと。それは欧州も北米もうちもだいたい似た状況だ。人が集まってのテストプレイは大変に貴重だったのだ。と、わかってはいたことなのだけれど、できなくなってみると尚のこと沁みる。

昨日に引き続いてテスト。いくつか可能性を試すために、少しずつルール足したり引いたりして繰り返しテスト。基礎部分がしっかしてるので、そうは変に転ばない構造なので、おおよそ問題なし。プラスアルファの幅をどの程度にするか。あとどの程度の時間を注ぐかの問題かも。(いじくり回すと良くなくなる種である気がしている) 寝る前に思い出して、テストキットのカードデータを作り直して印刷とカットする。

4月後半某日

引き続きテストプレイ。最少人数の3人でプレイ可能なのかを確認。動きはする。シンプルな構造だけに、あとは得点まわりを組めば完成かなという感じの手応え。あまりいじらないほうが良いタイプなのは間違いない。

昨秋、台湾でBigFun Gamsのヤンさんとゲームショップに行った際に薦められて買ってきた『ラミーキューブ』を遊ぶ。ジョーカーが4種類入っている特別なバージョンで、ちょっと変わった使い方ができるので楽しい。

アジアの2社にメール返信が遅れている。確認作業が伴うことはリアクションが遅れがち。あともう一社にデータ送らねばなのだが、ひとつ工場に確認しておいてからでないと答えられない事項あるのでそこで止まっている。「週明けにまず工場に連絡」をTodoリストに書き入れる。

4月後半某日

先日送ったオーストラリアへの荷物が返送されて戻ってきた。記録を確認すると関空まで行った時点でオセアニアが航空便で送れない地域に含まれるという変更があったようだ。

発送手続きをした時点では「一時引き受け停止国・地域」に含まれてはおらず突発的なトラブルなので仕方がない。先方に事情を説明すると、「停止が解けるまで一旦預かっておいてほしい。その待機期間については、毎月こちらからその都度確認するから」とのリクエスト。非常に楽しみにしてくださっているとのことで、少し様子見るということになった。

同じタイミングで、その方の元にシンガポール経由で購入した『バスルートをつくろう』が届いて早速遊び、とても楽しかったそうだ。プレイ風景も送ってくれる。日本国内ではすでに在庫がない商品なので、海外のどこかの店先にストックが残っているのを探して買ってくださった上に、写真まで添えて知らせてくれるのはありがたいことだ。

国際的な輸送は航空機の本数が制限されている事情もあって、北米や欧州の地域への発送は、ちょっと期間が読めないので、いまのところ避けている。発送できる国もあるが、到着までの日数が不安定だったりするのだ。今回は発送不可の地域にオセアニアも含まれた。中国へはまだ不可だが、台湾や香港へは可。状況は刻一刻と変わるので、なかなか難しいものだと実感する。

4月後半某日

以前、先方の事情もあり、開発途中で止めていたゲーム案をふと思い出す。おぼろげに自分の興味がまたそれに戻ってきているのを感じる。もし現在、先方の興味が薄れているのなら、作り変えて自分のところで出すこともできそうだなと思った。そのうちメールで尋ねてみて、返事がOKなら開発を再開しても良さそうな頃合いかも。

そう言えば、アイデア帳を見返していて、かなりの数のゲーム案を放って置いていたことを思い出した。それらに関連して、またいろいろ考えが浮かぶ。放っておいた間に、止まっていた何かが動き出したのか、単純に今月前半にまとめて休んでみたことが、心か身体を回復させる効能があって、それが功を奏したのか、わからないが、あれもこれもと浮かぶワクワクは戻りつつある。

気分で何事かを決めるのは、仕事の全体のアベレージが低くなるので心許なく好きではないが、意欲があるのは悪いことではない。いずれにしても、良さそうなアイデアが「生まれそうな気配」が胸三寸くらいのところにあるのかどうかは大きなもので、それがあるとすっごく楽。

4月後半某日

今週発売の「GetNavi(ゲットナビ)6月号」の見本誌が届く。今号のゲーム特集記事で、1人用焙煎ゲーム『コーヒーロースター 欧州エディション日本語版』をピックアップしていただいた。外出が憚られるこの時期だからこそ少人数で遊べるゲームを、ということで取り上げてくださったようで、とてもありがたいことです。

4月後半某日

夜中遅くコーヒーを飲んで読書していて、ふとなにか思いついたような気がしつつ、さあ寝ようかなという頃合でリーガルパッドにメモをとり始める。読書内容とはまったく関係のない、随分前からストックしてあったゲームのアイデアについて、バラバラでまとまりのなかったいくつかのアイデアたちが、割れたガラスの巻き戻し映像を見るような具合でひとつにまとまったのを感じる。

体調的には非常に眠いのだが、こういう場合は好きにさせておいたほうが良いのがわかっているのでメモをとり続けるのをやめないでおいた。

書き終えたメモを見直してみると、大概まとまっているように思える。いまデジタルのメモに清書したりすると、どうも眠れなくなりそうなので、清書は明日にして、また考えてみよう。

4月後半某日

昨夜のアイデア、清書し直しつつ考察してみたが、なかなか良さそうな気がする。デザイン途中で保留していた3つのゲームの案すべてに関わるアイデアだった。共通する案という意味ではなく、1つを変えればトコロテン方式に他の2つに連鎖して変更が生じるだろうという意味。つまり1つにあることを担当させれば、他の2つはそれぞれその呪縛から離れられるということを指す。これは被りを逃れられるということで、作り手として非常に助かる案なはずなのだ。

それだけに3つゲームすべてに多くの変更を伴うことになるのだが、大きな前進になることは間違いない。長らく眠っていたゲーム案が捨て置かれずにまた動き出すのを見るのはワクワクする。この「ワクワク」こそがクリエイティブをしている時の自分の最大の楽しみなのではないのかという気がする。

欧州の出版社と工場とやりとり。のんびりとしてはいるが、動くものは着実に動いている。

4月後半某日

先日ミーティングを行なった欧州の出版社からのデータの確認。チェックするところ多く、貴子さんとも2人でミーティング。要点まとめてメール返信。

その他アジアのいくつかの出版社に連絡。以前に送っていたと思っていた返信を実はドラフトフォルダに入れたままで送れていなかったことに気づいて焦るなど。

4月後半某日

ちょっと進行中のゲームデザインの案を整理。
近日中にまとめないといけない案が2つ。ほぼ出揃っているので、キュッとまとめるだけなのだが、いくつか最終決断を伴う段階なので「完成」に至るこの時期が一番気を遣う。

その他に、急ぎではないが個々に関係し合っている例の大きめのゲームが3つ。これらは脳が反応できているうちに手を入れたほうが良い。

数日前に「胸三寸」のところまで出かかっていたゲーム案(以前のゲーム案の解決法を伴う新たな形)を進めたい。これはうまくいけば8合目までは来ているはずの案なのだ。

あとは今月生まれた新しいゲーム。小さなゲームのはずで、あまりいじくり回さないほうが、きっと良くなるタイプのもの。すでにテストキットは何種か作って、簡易に試してアイデアに光るものを感じてはいるが、どうしても他人と同時にプレイしないといけないというテストしづらいタイプなので、フィックスするまでにはもう少し時間はかかりそう。

先方の確認が必要なルール案が2つ3つ。ほぼ半ばまでできあがっているが、いくつか確認が必要なため一時停止している。欧州の出版社はテレワーク主体でプレイテスト以外のことはだいたい動くようになってはいるが、プレイテストに関わる事柄なので進みが遅いのは仕方がない。

あとは、まだテストキット作りに入ることができていないゲーム案が3つほど。メモにアイデアは出し終えて材料は揃ってはいるのだが、いまひとつ自分の中での結合ポイントが弱い感じがしている。どれも大きなゲームではないので、手を入れ出したら早いのはわかっているのだが、「自分の中での結合ポイントが弱い感じ」がしている間は、作り始めても結局あとあと時間がかかる場合が多いことがわかっているので、まだそっとしておいている。

動きかけている案はそのくらいか。進み方はそれぞれで、無理やり急いだからと言って良い結果が必ず得られるわけでもない。放っておいたから必ず良くなって戻るわけでもない。進ませる動力は、下記の3種くらいありそう。

「締め切りからの要請」
「早く完成したいという自分からの要請」
「いまやれば形になるよというアイデアからの要請」

後者から順に前に行くごとに要請力が弱まる気がする。だが、力のある出来になるのは確実に後者から順である。そして実際のところは、緊急度の高い前者からの順で物事は処理されることが多い。自分の範疇にある限りにおいては後者からの発でいきたいな。

今回はこのあたりで。

Saashi
2020年4月下旬

Saashi & Saashi
Twitter / WEB


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