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金木犀にまんまと惑わされたが、日和って銀に甘んじた話

今日、Xでこんな投稿を見た。

金木犀の香りがする度に 「金木犀は自然に生えない。金木犀は自分で増えることができないから、香りで人間を惑わせて増えていったのかもしれない」 「だから金木犀の香りがする場所には、金木犀が好きな人が住んでいる」 という話を思い出すの、秋を感じて好き。

https://x.com/apricot_candy_a/status/1845995639953674426


秋の訪れを告げる金木犀の香り。
我が家の銀木犀も週末に花を咲かせた。

私は子供の頃は金木犀の香りが嫌いだった。
他所の車に乗ると、きつい芳香剤の匂いがして、すぐに車酔いをした。
それが金木犀の香りだったのだ。
金木犀の香りを嗅ぐと気分が悪くなる
――そんなパブロフの犬のような状態で、大人になってもこの花の香りは苦手だった。

しかし、夫がこの香りを好きだった。
毎年、金木犀が香る季節になると
「今日、そこで金木犀の香りがしたよ!」
と無邪気に嬉しそうに報告してくる。
まさかこの世にこの香りが嫌いな人なんていないでしょ!みんな大好きでしょ!と言わんばかりだ。

そんなことを何度か繰り返されていると、私も近所で金木犀の香りがするスポットを新たに発見すると、夫に報告するようになり、いつの間にかこの香りが好きになっていた。
え?洗脳されたのか?
いや、惑わされたのだ。

そもそも、若い頃の私は「花が好き」と公言する女性に対して、かなりの偏見を持っていた。
「花が好き」とは、「花が好きな私って素敵でしょ、可愛いでしょ」というアピーする、いけ好かない女だと思っていたのだ。
そんな私が、今では季節の花を愛で、なんなら、せっせと育てる人になっているのだから驚きだ。
そして、そんな私だからこそ、
「金木犀の香りがめっちゃ好きなんだよねー」と無邪気に言い放つ夫に、尊敬すら感じた。邪気がないって、こういうことなんだろう。
私は、過去の自分は「邪」しかなかったと思う。
過去の私が嫌悪していたような人たち、歪んでいたのは私だったよ。
本当に申し訳ない。

玄関先に植える木を選ぶ時も、夫が「金木犀がいいなぁ」といってきた。
暑い夏が去り、心地よい秋の日々に、家を出る時や帰る時にふわっと金木犀の香りがするのは、確かに気持ちが良いかもしれない。
ただ、その強い香りが、昔の私のように苦手な人にとっては近所迷惑にならないだろうか?と不安がよぎった。

なぜなら、我が家の1ブロック先に金木犀を植えている家があり、その香りがうちまで届いていた。
それほど強い香りで、好きじゃない人にはきついだろうと思ったからだ。

そこで調べた結果、「銀木犀」という木があることを知った。
金木犀と同じような香りだが、香りの強さが控えめで、家の周りだけにふわっと漂う程度らしい。これなら、私たち家族だけが楽しめるし、近所に迷惑をかける心配もない。

そして花言葉を調べてみると、
金木犀の花言葉は、「謙遜」「気高い人」「真実」「初恋」「陶酔」の他に、「隠世」「幽世」といった死後の世界を連想させる言葉があり、玄関先に植えるにはどうなのだろうと思った。
(※実際は、強い香りが邪気や穢れを祓う力があるとされ、神社やお寺に植えられていることに由来しているそうなので、縁起の悪いものでもないらしく、邪気払いなら家の入り口には寧ろいいのかもしれない。ちょっと畏れ多いけど。)

そして「銀木犀」にはその意味はないらしい。
銀木犀の花言葉は「初恋」「高潔」「唯一の恋」「あなたの気を引く」。

花言葉というものにそんなに振り回されるつもりはないが、家族と住む家となるとやはり縁起は悪いより良い方がいい。

そして、この銀木犀を玄関先に植えて4年目、ようやくほのかに香りがするようになった。
そして5年目の今、たくさんの花が咲き、爽やかな秋晴れの日に、爽やかな香りを放っている。
家を出る時には「行ってらっしゃい」とふわっと香って送り出し、帰ってきた時には「おかえり」と言わんばかりにフワッと迎えてくれる。
私たち家族だけに届いている控えめな香り。
そして、この木が私たちの暮らしにそっと寄り添ってくれているようだ。

この時期になると、「この木を植えてよかった」と改めて感じるのだ。


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まさだりりい
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