見出し画像

#2000字のドラマ『「ニート」にも年齢制限があるらしい』

『ニート』にも年齢制限があるらしい。
もともとは気になる社会学者をフォローするために始めたInstagramで、そんな雑学的投稿が流れてきた。
ニートでいるにも条件があるとは知らなかった。
ただ何もしていないだけでずっとニートでいられると思っていた。
だがそんな俺の考えは甘かった。
何もしなくても年はとる。
年をとればニートではいられない、らしい。

言い訳しろと言われれば、まあいくらでも言葉は出てくる。
鬱だから、発達障害だから、HSPだから、元不登校児だから。
コミュ障で、めんどくさがり屋で、飽き性で、頑固。
でも傍から見ればこちらは五体満足の健常者だし、そんな言い訳は、他人にとっても俺にとってもちっぽけでなんの意味も持たない。
「やらない」のでなく、「出来ない」のだ。分かってもらえないだろうけど。
でも本当は、「出来ない」と「やりたくない」の中間くらいだ。

周りからすれば、割と奔放に生きているように見えるであろう俺だが、これで意外と根が真面目なものだから、なんというか、ふと生きるのをやめてみようか、という感覚になる時がある。
ただ存在しているだけで、呼吸をしているだけでお金がかかる。
何も生み出さない、ただ消費するだけの俺。
日に日に筋肉が落ち、衰えていく体。
反対に主張を増す贅肉。
今日だって、ベッドに横たわりスマホを見ていたら一日が終わった。
ほら、真面目な人ならば、人生を終わらせたくなるレベルだ。
それでも「生きろ」と人は言う。
面倒を見てくれるわけでも、責任を取ってるれるわけでも、保証をくれるわけでもないのに、なんと無責任なのだろう。
これから「ニート」を卒業し、「中年無業者」となる俺の気も知らずに。
ああ、もう終わらせたいな。

でも、誰かが悲しむのは嫌なので、真面目な俺はとりあえずまだ生きてみる。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?