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メメント盛蔵
2020年1月27日 22:51
この雪のように白い柔肌でこの血のように赤い唇あの人の嫉妬が殺すというのならこの美しさでとり殺そうか美しい娘もこうなりゃ獣と変わらない内臓 わりと身近な味だねこの森の七人とともに住んでいるたった一人の娘がいるよ首紐に飾り櫛に毒林檎一番の美貌の証明にする目が覚めた瞬間残念そうな顔きみの遺体が 欲しかったんだよおかあさま 真っ赤な靴もお似合いでダンスもとっても素敵で
2020年1月26日 23:05
あかずきん パンとワインを 持ってって道中寄り道しちゃダメですよ花畑 教えてくれてありがとう これは寄り道ではなくってよ軽やかに木の戸を叩く音がする娘か孫か? いやオオカミさ生温く生臭く赤い肉の道通って死んでたまるものかすやすやと ネグリジェ、ナイトキャップまでかぶりベッドで眠るオオカミ黒い空 縦に裂かれて 血塗れの生まれて二度目に腹からい出るオオカミの血に濡れ
2020年1月25日 11:52
新しく母となったそのひとは一緒に死のうと言ってくれないポケットに光る石を詰め込んで歩け歩けよ 森の兄妹ひとかけのパンをちぎりつつそれでも家に帰りたかったビスケット キャンディ 飴チョコ カラフルなクッキーボーイも御出迎え少しだけしょっぱいものが恋しくて壁のカステラ 飽きたこの頃山鳩を焼くよりとても簡単に老女を騙してローストしたのポケットに宝石金貨を詰め込んで走
2020年1月20日 22:30
色のない世界の中でただひとつ生きる喜びなの 赤い靴信仰も涙もひとの涙さえ赤い靴には勝てっこないの「死して尚、踊り続けるのが罰だ」綺麗な顔で天使が告げる葬送の別れも祈りも涙すら流せずにいる 踊ったままで罪人の首を切るのが仕事なら私の脚はつみびとですよ穢れなき少女が踊り叫んでる私の脚を切ってください穢れある我が手にキスし礼を言う「貴方の両手に祝福あれ」連作「赤
2020年1月17日 21:45
憧れの海の上を生きる人恋を知った 15歳の夜声を捨て鱗を捨てて得たものは傍にいられる幸せでした「歩く度、足が痛むよ。それでもかい?」どうして魔女は 痛みを知ってる?姉たちに踵を返し 受け入れる別れの夜ににっこり笑って困ったな 憎めもすれば楽なのにわたし、貴女もだいすきだもの曙に消えゆく わたしのさだめなら最期の願い どうかしあわせに風になり あなたの横を通る時
2020年1月16日 18:31
夜ライブ気合いで定時に帰るぞとカバンにペンラ入れて出勤残業中 推しブロマイドが聞いてくる仕事と僕とどっちが大事?寝なきゃとは思っているよ、思っては23時からリアタイするけど新しい服も新色コスメまで推しの色です 推しの衣装です何食わぬ顔で通勤ラッシュタイム押しつぶされつつ推しの曲聴く飯を食え 暖かくしてよく眠れ舞台もライブも最高だったよ恋人というよりむしろオカン目
2020年1月15日 18:47
けだるさをぬるいポカリと飲み込んで甘さが痛く しみるのどもとアスファルト 格子の切れ目 炎天下ハニートースト思い出してる綿菓子と呼ぶには少し硬そうで綿と呼ぶには薄い霧雲吐く息も凍りつくよう 冬の日にガトーショコラの上を歩く冬休み 宿題の絵に飽きた子と季節外れのかき氷たち憧れの焚き火の前に用意する袋いっぱいプレーンマシュマロオーブンの前に立つ人誰も皆甘い匂いに溶
2020年1月13日 11:33
雲一つない晴天の祝日にマフラーいらないことに気が付く面影を必死に追って涙するからだばかりが 大きくなって振袖と袴のひとに抱かれて昔の君がすやすや眠る艶やかに カカト鳴らして 髪揺らし袖振り笑う あたしら二十歳(はたち)昨日のよう産着の君に出会った日大人の顔のこどもたちよすれ違う若者たちを眺めつつおめでとうと頑張れ込めてそれぞれの思いや暮らし纏わせてそれでも皆が
2020年1月6日 22:23
100グラム前後の紙の束魅せる手のひらの上 無限の世界お財布と変えの下着と携帯といつもの文庫をカバンに入れて「今買うの?すぐに文庫も買うくせに」「ハードカバーは、別物カウント」大切な1冊胸に生きていくこの身一つで生きてはいけない特別な儀式 寝る前 頭を悩ませる今日の最後に読む本はなに?美しく生きる理由にはならねども死ねない理由の未完の大作ことのは 紡ぐ人と 紐解
2020年1月5日 22:37
カスタードの天鵞絨の上に敷き詰めて食べる宝石 ショーケース並ぶ全世界に今知れ渡る 焼き菓子は遠い異国の誰かの思いアルコール 苦さ 香りも わからずにこれが大人の味かと思う赤緑 箱から取りだし日にかざすステンドグラスを覗く瞳憧れと嬉しさ併せ蝋燭に照らされる イチゴ 目に焼き付いて故郷の初雪景色によく似てる黒い大地に粉砂糖 降る幸せを小箱に詰めて持ち帰る甘さの前に
2020年1月3日 22:10
箱根路を吹き抜ける風 吸い込んで味方につけて 行く五十五里病める日も健やかなる日もこの脚の行けるとこまで行くだけですから数秒間 枯れる気力を振り絞り背を押し叫ぶ 頑張れの声山の神 二十のなかの一人だけ山の女神に愛された者来る人と 諦めなかった待つ人を別つ音と 乾いた襷箱根山 神の道を駆け下りて都で待つる 仲間の元へ涙 汗 沁みる襷をそれぞれの胸に道行く若人らよ
2020年1月2日 22:58
箱根路の 凍った空気を駆け抜けて 今年も我が家に 正月が来た近況を 年に一度 伝え合うこれから一年 また会わぬひとよろしくと 声をかけ合う人の波君の手のひら そっと握るよ初詣 神様よりも君に会うために早起き罰当たりな僕松の葉の先に凍った朝露に光る初日を 飲み込んだひとお雑煮もおせちの中身も違うけど二人でだったら楽しいかもね一日の夜に疲れて寝る君の初めての夢のさ
2019年12月31日 10:44
「来年は毎日掃除するからな」「去年も言ったよ 窓拭きながら」待つ子らへポチ袋とピン札と用意し始まる帰省支度道中の混雑予想 手土産で増える袋を計算に入れ実の中のさらに小さなみかん見てぼくみたいだと笑う幼子薄皮に栄養があるという母と食いにくいだろとちまちま剥く父武道館 実家に コミケ最終日 それぞれ過ごす この大晦日走り去る月を追いかけ駆け抜けた僕から僕へ襷をわた
2019年12月30日 12:23
パッチンと切符の切られる音がなるSuicaで行けない 駅に帰る寝る食べる ビールを飲んで外を見るそれぞれの旅 電車内後席から腕のアーチをくぐりぬけ車窓をレールに 走るおもちゃ都内から片道列車三時間行けば行くほど 冬が濃くなる並ぶ列 紙袋のなか おそろいの菓子折り2つ きみも帰る人福袋 予約を前に祈るよう戦いは既に始まっている道をゆく 人々の群れ それぞれのただ