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ぶっ飛んだ女が出てくるお気に入りの小説を紹介する
「まるちゃん。(私)って、ぶっ飛んだ女が出てくる小説が好きなの?」
オットと付き合っている時に言われた言葉である。
………ぶっ飛んだ女?
そんなの意識したことがなかった。
ぶっ飛んだ女。
常識にとらわれず、破天荒で、好奇心旺盛で、自由気ままで、つかみどころがなくて、どこか憎めないところもある。「普通」や「常識」が少しどころか全く通用しない。そんな女。
始まりは映画デートを計画した時であった。
私は読書好きである。
お気に入りの小説が実写映画化されると聞いて、観たくなった。
これは、原作ファンあるあるだと思うのだが、実写化される時、自分が思い描いていたイメージとその俳優さんのイメージが似ていないと、がっかりする。
それでも観て、お気に入りのシーンがカットされていると、「そんな、どうして!?あのシーンこそ醍醐味なのに!」とさらにがっかりする。
今回選んだ映画は、私の中では割と許容範囲の配役だったので(上から目線ですみません)、観ることを決意した。
せっかくのデートなら、感想を語り合いたいと思い、彼氏(オット)に本を渡して、映画を観る日までに読むように宿題を出した。
付き合って2ヶ月の話である。
彼が実は読書が苦手だと知ったのはずいぶん後のことで、2冊も渡してしまった。
それでもなんとか読んでくれて、本を返された時に言われたのが冒頭の言葉であった。
2冊とも、ぶっ飛んだ女が出てきていた。
彼氏(オット)に言われるまで、ぶっ飛んだ女が出てくる小説が好きだとは自覚していなかったのだが、振り返ってみると、確かにお気に入りの作品の中に、ぶっ飛んだ女が出てくることは割と多い。
今日は私のお気に入りの"ぶっ飛んだ女が出てくる小説"を紹介したいと思う。
もし、おすすめのぶっ飛んだ女がいたら、教えてください。ぜひ読んでみたいです。
ちなみに、この"ぶっ飛んだ女 "であるが、初めはまともに描かれているのに、小説を読み進めていくうちに、「ぶっ飛んでいる…」と明らかになる作品がある。
そのため、紹介することによって、ネタバレのようになってしまうこともあるので、それでも構わないという方だけ、この先を読み進めてほしい。自己責任でお願いしますね。
最初はまともなのに、途中でぶっ飛ぶ系の女については、なにがぶっ飛んでいるのかはもちろん書かないので(そこが醍醐味だし!)、気になった方は読んでみてほしい。
また、登場人物が少ないと、ぶっ飛んだ"女"を紹介している以上、女性キャラクターに絞られるため、「ほほう、コイツがぶっ飛んでいる女だな」とすぐに分かってしまう。なので、あらすじもあまり触れません。ご承知おきを。
読んで早々に、ぶっ飛んでいるとわかる女については、そのまま紹介する。
それでは、スタート!
ぶっ飛んだ女が出てくるお気に入り小説
①明け方の若者たち カツセマサヒコ
映画デートのきっかけになった作品1つ目。
2021年に北村匠海さん主演で映画化されている。
ウェブライターのカツセマサヒコさんの初めての小説で、とにかくエモい。大学生から社会人になり、自分や周りの状況やそれに対する感情がどう変化していくか、丁寧に描かれていて、あぁ!めちゃくちゃ分かる!このシーン好き!となる要素がたくさん。
大学生のときに、恋人がいた人なら、この作品のどこかに、あなたの実体験が描かれているはず。
あまりにもリアルで、「もしかして、全て実体験ですか?」ってカツセさんに聞きたくなる。
サイゼリヤのシーンとIKEAの家具を組み立てるシーンが個人的にお気に入り。映画では、サイゼではなくて、王将になっているが、IKEAの家具のシーンはあって良かった。
カツセさんの新作が出たので、早く読みたい。
②真夜中乙女戦争 F
映画デートのきっかけになった作品2つ目。2022年にKing & Princeの永瀬廉さん主演で映画化されている。
『20代で得た知見』でお馴染みのFさん。
小説によくある「この物語はフィクションで、実在の人物や団体とは関係ありません」の文言からすでに面白いので、じっくり読んでみてほしい。文章の至る所に、心に響く表現がたくさんある。
そして、東京タワーの魅力に気付かされる。私はこの小説を読んで、東京タワーが大好きになった。
お気に入りは、主人公の「私」が、密かに恋心を抱いている、ぶっ飛んだ女「先輩」とデートをするシーン。ポテト早食い競争を提案して、断られるのだが、「私」と「先輩」の性格や心情がよく現れていて、大変良かった。
映画での先輩役は、池田エライザさん。美しすぎて眼福である。
ちなみに、Fさんのインスタをフォローしているのだが、映画公開時、ストーリーで「映画を観たら感想を教えてほしい」と発信されていた。
鵜呑みにした原作ファンである私は、映画デートから帰ってきた後、DMで Fさんに長い長い感想を送りつけたのである。
次の朝起きると、なんとFさんから返信がきていた。しかも、想像したより何倍もある長い文であった。
返信はないものだと思っていたし、あったとしても、単に「ありがとうございます」くらいの簡単なものだと思っていたので、大変びっくりした。思わずスクショした。
今でもFさんからいただいた返信は宝物である。この小説が好きだと胸を張って言える。
余談だが、この春、江國香織さんの『東京タワー』が実写ドラマ化されていた。
こちらも永瀬廉さんの主演作。彼は東京タワーがよく似合う。
③イニシエーション・ラブ 乾くるみ
高校生の時、UVERworldが大好きでよく聴いていたのだが、ボーカルのTAKUYA∞さんがおすすめしていたため、読んでみた作品。
最後の2行で大どんでん返しが起きる。そして、もう一度最初から読む、までがセットである。
実写化不可能だと思っていたのに、2015年に松田翔太さん主演で映画化されている。
先に小説を知っていたので、完成されたものを観たときは、「ははぁ、なるほどね。そういうことね」と思った。
ちなみに、バブル経済時の若者の話なのであるが、当時流行っていたものが多くこの作品に登場する。
社会人になった時、その時代に若かったであろう上司から、当時の流行の話をされたとき、この小説で得た知識を総動員して話していたら、よく知ってるねと言われた。
作中と同世代の人と話すとき、話題のネタになるかも。
④ペーパー・リリイ 佐原ひかり
メインの登場人物が男女関係なく全員ぶっ飛んでいる。まず、設定から面白いので読んでみてほしい。
夏とドライブ。情景が思い浮かぶ。
佐原さんは、高校生の感情を言語化するのがとても上手で、私も高校生の時、こんなこと思っていたな~と共感できることが多くあった。
それと、文章がめちゃくちゃ読みやすい。栞を挟むページが本の後半に差し掛かると、もう終わってしまう…と悲しくなる。それでもページをめくる手は止められない。
佐原さんの別の作品「ブラザーズ・ブラジャー」も非常におすすめ。
タイトルでわかるかもしれないが、ぶっ飛んだ女ではなく、ぶっ飛んだ弟が登場する。
ただ、読み進めていくと、弟に対するイメージは変わるはず。
私のお気に入りの作家である。
今回は、"ぶっ飛んだ女"を中心に4作品を紹介した。
私自身は、ぶっ飛んだ女からは程遠い性格だと思っているのだが、もしかしたら、彼女たちに憧れを抱いている面もあるかもしれない。
もちろん、ぶっ飛んだ女が出てこない小説も好きである。
今後もたくさん本を読んで、ぶっ飛んだ女に出会えたらとても嬉しい。
みなさんの好きなぶっ飛んだ女はどんな女ですか?