So Sugaya

頑張ってたくさん書くよ

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  • コラム集

    column : an article giving opinions or perspectives

  • 後郷土派

  • ゼロから始める台湾留学系列

    ゼロからでも案外イケる。 一から始めれば道は開けそう。

  • Double "Darling" Woman

    小説:過去は曖昧模糊として、だから思い出は十人十色。

最近の記事

波に枕し、国映館で口すすぐ

まだ肉は煮えていない 浦添の台所で三枚肉を刻んでいる。台湾から来た流浪二人組と一緒に、オーダーと少しずれたサイズできた三枚肉の細切れを魯肉飯仕様に切り替えている。2時間ぐらい黙々と肉を切り、その後は沖縄で調達する食材、器具諸々を慌てながらかき集め、ギリギリ間に合うかどうかの線まで来た。日を跨いだら明日は波フェスで、この即席チームで魯肉飯を売る。あんまり把握してなかったけどタピオカミルクティも売る。 無茶だなぁ、と思いながらいつも通りその無茶をヘラヘラしながら楽しんでいる。ヘ

    • 安里川のほとりで私は泣く、前へ進むために

      魔法のような瞬間と退屈な時間、燃えるような野心と死にたい気持ちが交互にやって来ては、くたびれて、奮い上がって、気がついたらなんだか1月も終わりに差し掛かっている。 36歳の冬はうっすら寒い。心と身体は熱い。19歳みたいなやる気と好奇心があって、36歳相応の欲求が削げ落ちた感じになって、なるほどこれが脂の乗った時期か、と早合点している。立ち枯れているのかもしれない、狂い咲きとか徒花とか、植物で例えられるそういう状況なだけかもしれない。 それでも腹が据わったと、嘘でも思い続けられ

      • 『生きてくしかないんで』

         ニリー、ニリル、シニニリル、面倒臭さがポケモンみたいに進化していく。そんで世の中そう上手くいかないので、進化によって強さを手に入れた代わりに、可愛さだとか愛嬌を失ってしまうこともよくある。さりとて私には強さも愛嬌も、それを下支えする心強さも欠けているようなので、何もかもやり通せない。小学校の頃、調子良く手を付けた全50ページのドリルは12ページ、交換日記は5ラリー、琉舞の習い事は2ヶ月しか続かなかった。ライフステージに応じて似た感じの投げっぱなしが発生している。中途半端の製

        • 息をひそめるにはイビキがうるさい

          筆を取るというと大仰に聞こえる。この5年間大半の文字を残す際にはキーボードかタッチパネルを押し続けてきた。仕事はおかげさまで忙しく、個人的に文章をしたためる時間も少なくなってきた。したためる、もやはり大仰だ。Twitterだったりスマホのメモ機能に書き残す行為はきっと別の動詞がこれから当てられることになるのだろう。殴り書きのような感じの。 その日、その時感じたことを漠然と残してせいぜい人目に付いても問題ないことはこういう媒体に書いてみる。棘や角を落として、真意や自分の考えは底

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        • コラム集
          15本
        • 6本
        • ゼロから始める台湾留学系列
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        記事

          『快楽は夢ほどにも残らない』

           花が流れている。押されては水槽のふちに何度もぶつかり、跳ね返されて漂っている。苔の生えた造花が二輪。嫌というほど生い茂った木々、蔓、草むらを抜けた先にあるトタン小屋。敷かれた湿気った布団。雨サッシの下で花が揺れている。 「本当に25歳?」  話の間をもたせようと男は盛風に訊ねる。 「はい、嘘ついても仕方がないんで」  盛風はズボンにベルトを通しながら答える。 「よかったらLINE交換しようよ」  男は身体と携帯を寄せ付けてくる。 「いいですよ」  二人はいそいそと薄暗い小屋

          『快楽は夢ほどにも残らない』

          沖縄で映画会社やってまんねん

          ↑ 一年半前に書いた断片的なやつはこちら  2021年もすっかり年の瀬ですな。沖縄に限らず映画館に関しては一年の半分以上が時短ないしは全休、週末休業などに見舞われ、実際手前どものような末端の配給(作品を買い付けて、キャッチコピーやポスター、予告などをパッケージングして劇場や配信プラットフォームなどに売る感じの仕事)業にしてもその影響たるや尋常ではなかったと思います。  一方、末端の弱小の新参会社であるからこそその被害も最小限であったかと思います。中堅が二の足を踏むような状況

          沖縄で映画会社やってまんねん

          マッチングアプリの純真

          ゆいレールのホーム、ベンチで肩寄せあって「またね」とお別れ。 駅から降りて着信音、ほかの人から「明日どうする?」 私たちは皆シングルで、ダラダラと恋人候補を見極めてる。 恋人候補たちには別途複数の恋人候補がいて、場合によってはセフレとかもいて、その人間模様を図解にすれば『百年の孤独』の相関図のようになる。 そんな大層な孤独に耐えられない私たちは今日も会う。明日も。明後日も。 私はひたすら色んな人に会ってみたかった。マコンドの住人になりたかった。人間関係は仮想ではない。ジプシー

          マッチングアプリの純真

          漂流と就職

          この記事に触発されて自分もこの一年の経緯や流れを書こうと思った。  自分は現在とある映画会社で働いている。旧五社の流れを汲むような大手でも、既に名を挙げた独立プロとかでもない。本当に設立したばかりの波に揺れる磯船のような小さな会社である。  自分はこの会社の設立者に「沖縄に戻ってくるなら手伝ってくださいよ」というような口説き文句で誘われた。その設立者は自分より一つ年下の、しかしどうにも不思議な魅力のある映画作家で、もともと彼が撮った作品の劇場用パンフレットの翻訳を手伝った縁

          漂流と就職

          沖縄表象についての思い出 その1

           1990年代後半から2000年代初頭にかけて日本中で沖縄ブームが巻き起こったらしい。安室奈美恵のファッションを真似た若い女性が一時期日本中に溢れたらしい。スピードとかMAXとかDA PUMPとか、それって沖縄ブームじゃなくてアクターズスクールブームでは?と言いたくなるがサミットまで開催して2000円札も刷ったぐらいだし、きっかけの一つがThe Boom『島唄』(この曲は92年リリース)だし、ブームなのだろう。  最近聞かないな、大規模なブーム。90年代は他にもたまごっちブー

          沖縄表象についての思い出 その1

          『Once upon a time in Koza』

           まずは地元にピース  怒れる野獣  背負った十字架  衣食住足りず  未だ充足せず  所詮銃で撃たれて死ぬ獣  貴賤問わず死ねば干物  もしもし拝啓、どちら様  こちら沖縄市民  represent Koza 照屋  世間の噂通りたかりの名人王将竜王  骨の髄まで炙りシャブり尽くす  一度目をつけられたら、しに厄介  厄介になりすぎて住み良い留置所  方や警察権力も及ばぬ公然基地  地下にそびえるは秘密基地  に隠された王国の財宝  戦果あげジョーンズ  失われた越来城

          『Once upon a time in Koza』

          44回:2019年を振り返るにあたって

          文章をあまり書かない1年だった。本当に本当にタイピングよりもスワイプした量の方が多いんじゃないだろうか、tinderの。スワイプし尽くす、ということも発生してそうなると自分のアイコンを中心としたソナー画面がずっと続くのだった。台中市、200万人都市だし、彰化苗栗南投の三県も加えたら普通に400万人ぐらいいるのに。2019年上半期の、つまり台中生活最後の半年だけで当時中部で有効なアカウントには大体ライクをしてしまったのだろうか。しょっちゅう映画を観に行ったり、ご飯を食べに行った

          44回:2019年を振り返るにあたって

          43回:イチから始める台湾留学、の前に個人的なこと

          →ゼロから始めるシリーズはこちら←  もはや自分が留学している実感がない。というか海外にいるという感覚がいよいよ希薄になってきた。長期休暇で沖縄に1ヶ月ぐらい帰っていると「台中に帰りたい」となる。そして那覇空港を経ち桃園空港に着いてから280元の客運(高速バス)に乗る。ほんで大安溪を渡り、台中へ入った時に染み入る安堵感よ。  これはひとえに生活の基盤がようやく台中に出来上がったということに起因している。ってのも今まで台中に借りてるお家はあったのだけど如何せん金欠の極みでもっ

          43回:イチから始める台湾留学、の前に個人的なこと

          42回:Like Salt

           別れるとか付き合うとかご苦労なこった。画面越しのエミリーは彼氏と別れて辛いそうだ。彼のつけてた香水の匂いをふと嗅いでは涙が溢れるそうだ。具体的にどう辛いかまでは訊かない。私は神妙な顔を作って、頷いたり、ため息をついたりする。まぁ、Tinderで知り合った彼氏だし、またすぐに見つかるよ、と最後は紋切型の慰めで〆る。そうだね、バイバイ、今週末お茶しようね、と約束して通話を切る。iPhoneはホッカイロ代わりになるぐらい熱くなっていた。  電話を切ってハッとした。たぶんエミリー

          42回:Like Salt

          41回:『アイムライカム』

          アイムライカム 私はライカム ヤギバルでも シマブクでもない 呼ぶ声ときに叫ぶ声は ライカム  ライカムのライは RyukyuのRy ライカムのカムは CommandのCom 忌み名はゆっくり 舌の上で転がす ヒガのHigaは 敷き詰められた コンクリの ずっとずっと奥底 掘り起こすには骨が折れる だからきっとこれからも 私はライカム 硬直した素顔 垣間見えるもの あるいは記憶 1インチもない断片 掃いては捨てて 浮かび上がるのは 昔日のホールインワン 万感の購買欲求 私は

          41回:『アイムライカム』

          40回:私が反対する戦争

           私は戦争に反対している。と同時に不平等な平和にも反対している。さらに付け加えるのならば、私は私が反対している戦争というものに対して貧しい想像力しか持ち合わせていない。例えば沖縄戦に関する証言を聞き、資料を読んで得たあの戦争と、既に起こっているか今後起こるかもしれない私が恐れる戦争はまるで異なる容貌を持つ、気がする。  貧しい想像力を振り絞って考えるその戦争において、悲劇は極めて限定的な形で訪れるであろう。共同体の経験という形では認知されない。単純化して言いたくはないが、大砲

          40回:私が反対する戦争

          39回:台風前夜

           私たちは先週末映画を観に行く約束をして、実際今日待ち合わせをしている。相手は少し遅れて、強い風の中をやって来る。 私は「残業?」と訊き、それには「少し」という応えがくる。 映画館から少し離れたところで割安なチケットを買って、私は足早に進む相手にひたすらついて行く。 上映まで1時間以上余裕があるのに、私たちは足早だった。 信号で止まっても互いに口数は少なく、チラっと最近観たドラマのタイトルを言い合うぐらいだった。 「これ面白かったよ」相手が携帯を渡してくる。 「『やれたかも委

          39回:台風前夜