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週末読書メモ42. 『異文化理解力 相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養』

(北海道十勝の農家6代目による週次の読書メモ)

公私を問わず、異国の人と関わる人は必読。画期的かつ実践的な新しい概念を知ることができます。


一度でも自国以外の人と生活・仕事をしたことのある人であれば感じたことのある違和感。

なぜアメリカ人は何でも話すのか、なぜ日本人は話さないのか。

なぜドイツ人は時間を固執するのか、なぜインド人は固執しないのか。

それらの正体は、生まれ育った文化にありました。

文化が違うを生む。これ自体は、決して新しい主張ではありません。筆者が画期的で合ったのは、そこから「カルチャー・マップ」を呼ぶ、文化により生み出される特徴を八つの指標になるフレームワークを作ったことです。

八つの指標はそれぞれ、マネジャーが自覚しておくべき分野を表し、その分野内で両極端の特徴のうち当該文化がどこに位置するかを示すことができる。八つの指標は次の通り。
①コミュニケーション・・・ローコンテクストVSハイコンテクスト
②評価・・・直接的なネガティブ・フィードバックVS 間接的なネガティブ・フィードバック
③説得・・・原理優先VS応用優先
④リード・・・平等主義VS階層主義
⑤決断・・・合意思考VSトップダウン式
⑥信頼・・・タスクベースVS関係ベース
⑦見解の相違・・・対立型VS対立回避型
⑧スケジューリング・・・直線的な時間VS柔軟な時間

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上の図を見れば、国民性による違いが詳となります。

①ハイコンテクスト、②間接的ネガティブ・フィードバック、③応用優先、④階層主義、⑤合意思考、⑥関係ベース、⑦対立回避型、⑧直線的な時間な日本人。でも、他国の人からしたら普通ではないと。

もちろん個人は、出身の文化に関係なく、様々な個性を持っている。だから彼ら個人の個性を知るようなアプローチをとって、そこから始めれば良いのでは?残念なことに、この考えによって多くの人が目標達成のために知るべきことを学ぶ機会を逸している。文化の差は関係がないと思って人と接すると、自分の文化のレンズを通して相手を見ることが標準となってしまい、それをもとに判断をしたり判断を誤ってしまう。

ある国出身だからと、一括りにするのは望ましくないのでは?という主張も分かります。しかし、上記の通り、国ごとに全く指向が違います。その無自覚により、損していることの方が大きいのは、海外経験者であれば、嫌というほど思い当たる節があるかと思われます。

自分自身、前職のルワンダで、ルワンダ人をはじめ、中国、イギリス、イスラエル、インド等々、多国籍の人々を働く前に知っておきたかった…

(多くの痛い目に合ったからこそ、腹落ちできているのかもしれませんが)


本書を知ったきっかけは、BETFLIXの組織を綴った『NO RULES』で取り上げられていたからです。(というより、この本の共著者が、本書の筆者)。

グローバルで優秀な人材を取り込み、事業を展開するネットフリックス社。

『NO RULES』の中では、多様な国の人材を活かす中で、突き当たった異文化の壁、そして、その向き合い方(カルチャー・マップを用い、その国の特徴を理解した上で、マネージャーがメンバーへの接し方を変えている様子)が描かれています。

この2冊から印象深かったことは、国ごとの特徴を許容した上で、ネットフリックス社強烈な文化は、社員の行動様式を上書きしていることです。

異文化は、超えられる。そうか…逆に、多国籍、多文化社会であるからこそ、その組織のOSとして、文化を作り上げる必要があるんだ。

(まさにその必要性が、下の本で強調されていました)


「異文化理解力」。論理的思考力と同じ度合いで、関わる全メンバーへ伝えたいくらい、これから時代には不可欠だと思われます。

あなたがある文化の中にいるとき ー 金魚が水の中にいるとき ーその文化を見ることはなしばしば難しく、不可能なときすらある。ひとつの文化でしか過ごしていない人は、地域差や個人差にしか目がいかないことが多く、そのため「この国の文化はハッキリとした特徴を持ってない」と結論づけてしまう。

最後、印象深かった一節はこちら。

ある文化の中でしか過ごさない場合、物事を見る視点・視野を広げることが構造的に難しい。このことを自覚する必要がありそうです。

きっと、それはどんな属性でも言えること。性別や世代、地域、企業単位で、自分が特定の文化の中でしか過ごしていないか、自問しなければ。


【本の抜粋】
もちろん個人は、出身の文化に関係なく、様々な個性を持っている。だから彼ら個人の個性を知るようなアプローチをとって、そこから始めれば良いのでは?残念なことに、この考えによって多くの人が目標達成のために知るべきことを学ぶ機会を逸している。文化の差は関係がないと思って人と接すると、自分の文化のレンズを通して相手を見ることが標準となってしまい、それをもとに判断をしたり判断を誤ってしまう。

「気が利く」と言えば、日本人の得意分野のように思われるかもしれないが、異文化における「気が利く」とは、日本的な配慮をすることではない。
(中略)グローバル環境において「気が利く」とはつまり、「相手と自分の文化の違いを理解して、みなが心地よく良いパフォーマンスを出せる環境を作り出す」ことなのだ。

この豊かな情報と経験が、本書の核となる八つの指標を伴った分布モデルを生んだ。八つの指標はそれぞれ、マネジャーが自覚しておくべき分野を表し、その分野内で両極端の特徴のうち当該文化がどこに位置するかを示すことができる。八つの指標は次の通り。
①コミュニケーション・・・ローコンテクストVSハイコンテクスト
②評価・・・直接的なネガティブ・フィードバックVS 間接的なネガティブ・フィードバック
③説得・・・原理優先VS応用優先
④リード・・・平等主義VS階層主義
⑤決断・・・合意思考VSトップダウン式
⑥信頼・・・タスクベースVS関係ベース
⑦見解の相違・・・対立型VS対立回避型
⑧スケジューリング・・・直線的な時間VS柔軟な時間

あなたがある文化の中にいるとき ー 金魚が水の中にいるとき ーその文化を見ることはなしばしば難しく、不可能なときすらある。ひとつの文化でしか過ごしていない人は、地域差や個人差にしか目がいかないことが多く、そのため「この国の文化はハッキリとした特徴を持ってない」と結論づけてしまう。

これまで見たように、各社会の世界の見方はその土地の哲学的ルーツに根ざしている。そして、それらが、学校の学習法や仕事での振る舞いを規定している。
(中略)西洋の哲学や宗教に通底する考え方として、ある事物を環境から取り出して個別に分析できるという考え方がある。
(中略)中国の宗教や哲学は、反対に、古くから相互のつながりや関わり合いに重きを置いている。

人類学者のエドワード・T・ホールは各社会の時間に対する概念の違いに着目した最初期の研究者のひとりである。『文化としての時間』
で、ホールは「単一的時間」(モノクロニック)の文化(M時間)と「多元的時間」(ポリクロニック)の文化(P時間)に言及している。
モノクロニックな文化圏は時間を触れることのできる、具体的なものだと考えている。
(中略)対照的に、ポリクロニックな文化圏は時間という概念や、人との関わりや、取引の完遂に対して柔軟な考えを持っている。

自分たちの文化の世界の見方は、あまりに当然で一般的なため、別の文化には別の見方があると想像するのが難しい。他とは違う自分たち独自の文化を認識することで、オープンな議論や、学びや、最終的な理解へといたることができる。

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