膝に水が溜まるのは、正常な反応である
たまには整体師らしいことを書いておきます。
膝が痛いと言われる人が来院されました。触ると膝関節がかなりこわばっていました。痛くなると、安静にしようとするがあまり、動かさない日が続きます。それが長く続き過ぎると、逆に悪化していきます。
医者に行けば「痛みがある間は安静にしなさい」というのがセオリーです。医師にするとマニュアル通りの言葉です。痛みがあるのに動かしなさいと言って悪化した場合、責任問題にも発展しかねません。だから医師の保身のためでもあります。
一般的に、痛みがあるうちは安静にするのが良いとされますが、関節に関してはちょっと違うと、整体師として私は感じています。
それは「関節」だからです。
関節を動かさなければ、動かなくなるのは当たり前
関節は、骨と骨の間にあり、スムーズに曲がり動くことを目的とするための部位です。関節は「関節包」に包まれていて、その中を「関節液」が流れています。いわゆる「潤滑液」のようなものです。関節が滑らかに動くために、滑りよくしているのが関節液の役割です。関節液が流れ出ないように包んで溜めているのが関節包です。
「機械には油を差して動きを滑らかにする」ことがあります。これと同じです。関節がギシギシと軋んでは困るのです。
では、その「関節液」はいったいどこから出てくるのか、ご存知でしょうか?
実は、関節を動かすことによって、関節液が出る仕組みになっているのです。逆に言えば、関節を動かさなければ、関節液が出ません。
関節液が出なければ、関節を滑らかに動かすことができなくなり、ギシギシ擦れ合う箇所が出てきます。擦れ合うと傷が付きます。傷が付くと痛みが出ます。そしてその傷を修復しようと体の免疫力が働きます。
膝に水が溜まるのは、その免疫力による「関節液」です。関節には血管が通っていないため、関節液に細胞を修復するための物質を含ませてたくさん送り込みます。傷が付くと水が溜まるのは、免疫力として正常な働きです。
よく「膝の水を抜く」と言われますが、濁っていれば抜いた方が良くて、濁っていなければ抜く必要はありません。それは整形外科で検査してくれます。
膝の関節液は、膝の曲げ伸ばしによって出る仕組みになっている
そもそも、水が溜まることになった原因をきちんと解決しておくことが大切です。これまで水を抜いたという経験者にたくさん出会いましたが、おおむね「肥満体で、運動しない人」です。
最初にも書きましたが、「膝の関節液は膝の曲げ伸ばしによって出る仕組み」であるにもかかわらず、膝の曲げ伸ばしを日常的にしていないから、関節が軋み傷が付くわけです。いわば当たり前の状況です。
多くの人はこういった知識を持っていません。だから膝が痛くなった時、「なぜ?」「急に!」などと言います。運動しなければ、体重が重くなれば、膝がそのうち悲鳴を上げることは、知識を持っていれば簡単に想像できます。大げさな言い方をすれば、予測できます。
整体院に来られる人で、肥満で運動しない人に「そのうち膝に痛みが出ますよ」と忠告しておくこともあります。しかしその後「言われた通り、膝が痛くなりました」と言って来る人はあまりいません。痛みが出た時には整形外科に行かれています。そうすると、医師の言いなりに通ってられます。それが良いかどうかは分かりません。
もし膝に不安のある方がありましたら、膝関節の仕組みを映像でちょっとご覧ください。覚える必要はありません。なるほどと思って見るだけで役に立つと思います。