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論文や記事

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2023年1月の記事一覧

年老いた脳も鍛えることはできるのか?

年老いた脳も鍛えることはできるのか?

脳卒中患者のリハビリに見る脳の可塑性(かそせい)神経出血や血栓によって脳の特定部位に永久的な損傷を受けた脳卒中の患者さんは驚くべき脳の回復力を見せます。

このことは、脳損傷後にリハビリテーションを行ったラットとそうでないラットを比較した実験でも、リハビリテーション群の方が大脳皮質の運動野において、より複雑な運動パターンが出現することからも証明されています。

90日間のジャグリングトレーニングで

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サウジアラビア、長寿研究に年間10億ドルを投じる予定

サウジアラビア、長寿研究に年間10億ドルを投じる予定

サウジはHevolution財団を立ち上げ、老化研究に巨額資金10億ドルを毎年投入し続ける予定サウジアラビアは2021年にHevolution財団を立ち上げました。

本部はサウジアラビアのリヤドですが、アメリカ・ヨーロッパ・アジアにも拠点を置く計画があります。

今後、毎年10億ドルを投じる予定です。

ビジョンは全人類の健康寿命を伸ばすことサウジアラビアのためだけではなく、全人類の健康寿命を伸

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目が見えない子どもの意外な才能~神が扉を閉ざす時

目が見えない子どもの意外な才能~神が扉を閉ざす時

Challenged by musical scores, students master singing through memorization というChina Dailyのニュースから。

音楽の才能に秀でた視覚障がい者の話生まれて数ヶ月で視力を失ったZeng Xiaomengさん(現在18歳)や他にも視覚に困難を抱えてる一方、音楽の才能に長けた人の話が記事中ではいくつも登場します。

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人間同様、睡眠によって記憶効率が回復するAI

人間同様、睡眠によって記憶効率が回復するAI

新しいことを学習させると古い学習を忘れてしまうAIAI(artificial neural networks)に対して連続的に異なることを学習させると、以前に学習をしたことを新しい学習で上書きして忘れてしまう「破局的忘却」と呼ばれる現象が起きます。

生物のように「睡眠」をはさむことで破局的忘却を回避新しいタスクを訓練する合間に、生物の睡眠中に見られるような「自発的な再活性化」の時間を設けることで

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認知症につながる高齢者の難聴

認知症につながる高齢者の難聴

Hearing Loss Linked to Dementia in Older Adults という論文ニュースから。

70歳以上の2/3が難聴になっているアメリカアメリカでは70歳以上の3分の2が難聴に罹患しています。日本の場合も65歳以上の半分、1,500万人が難聴です(note:高齢者が騒がしい環境で言葉を聞き取れない理由)。

難聴の程度が大きい高齢者は認知症になる可能性が高いジョンズ

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(メモ)突発性難聴とは?

(メモ)突発性難聴とは?

突発性難聴について、米NIHのSudden Deafnessを中心に関連論文の内容も含めてまとめたいと思います。

あくまでもメモですので、気になる症状がある方は速やかに医療機関を受診し医師のアドバイスに従ってください。

突発性難聴とは突発性感音難聴(Sudden sensorineural  hearing loss=SSNHL)、一般的には突発性難聴として知られており、原因不明の急激な聴力低

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高齢者が騒がしい環境で言葉を聞き取れない理由

高齢者が騒がしい環境で言葉を聞き取れない理由

When Elders Can’t Hear Words at a Noisy Holiday Gathering, Too Many Brain Cells May Be Firing at Once という論文ニュースから。

高齢者が騒音下で会話や音を聞き取りづらい原因には、脳の処理が関係していることを示したジョンズ・ホプキンス大学の研究。

65歳以上の約半数が難聴国立長寿医療研究センター

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自然の中で過ごす時間が多いほど、パーキンソン病やアルツハイマー病の進行を遅らせるかもしれない

自然の中で過ごす時間が多いほど、パーキンソン病やアルツハイマー病の進行を遅らせるかもしれない

Time spent in nature appears to slow Parkinson's, Alzheimer's という論文ニュースから。元論文はJAMA Network Openに掲載されています。

米国約6,200万人を対象にしたコホート研究65歳以上のメディケア受給者約6,200万人を対象とした米国ベースのコホート研究です。

緑化率・公園面積・青空面積がパーキンソン病やアルツハ

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子供が聴覚障害になりかねないオモチャリスト

子供が聴覚障害になりかねないオモチャリスト

Protecting children's hearing from noisy toys, gifts という記事から。

難聴は高齢者だけの問題ではないWHOが「10億人以上の若者が、長時間にわたる大音量での音楽によって、知らず知らずのうちに永久的に聴力を喪失している」と指摘しているように、すでに難聴は若者にも忍び寄るリスクになっています。

若者だけでなく子供も、オモチャによる難聴リスクにさ

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