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読書感想文 『ゲーテはすべてを言った』

【ゲーテはすべてを言った】



◽︎第172回芥川賞受賞作




言葉って呪縛だ。沼だ。



高名なゲーテ学者の博把統一は、彼の知らないゲーテの名言と出会う。

もしこれが他の誰かの名言だとしたら、博把はこんなにもこの名言に翻弄されることはなかっただろう。なぜなら、彼は「ゲーテはすべてを言った」という言葉を知っていたから。この言葉さえ無ければ、いや、彼が知ってさえいなければこんな素晴らしい小説にはならなかった。



私自身は誰かの学者でもないし、博識でも何でもないけれど、小説が好きで、小説で綴られる言葉が好き。だから、この小説は結構好みだった。小説は読んで良かったと思える言葉や考え方に出会える。それを再確認できた。


また、この作品を読んで自分にとって新たな視点となったのは言葉からまた言葉が生まれるということ。ある言葉は誰かの心に沁み込み、その人からまた新たな言葉になって派生していく。そう思うと自分の中に取り込む言葉が尊く、言葉のもつ意味以上の価値を感じる。



もっともっとアカデミックな小説を深めたい。





余談


サイン本を買えた。サイン本って著者の名前だったりコメントだったり判子だったりを見てきたけど、今回は絵みたいなのが描いてあった。なんだろうと思ってたけど、読んでる途中でこの絵の正体が説明されてて驚いた。そしてサイン本買えて良かったと思えた。買ったときと読んだときどちらも楽しめるサインってたぶん初めて。


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