読書感想文 『黒牢城』
【黒牢城】
第166回直木賞
第12回山田風太郎賞
第22回本格ミステリ大賞
本筋は間違いなくミステリ小説である。しかし、読めばこの小説がそれに限らないことは多くが納得するだろう。
ミステリ小説の醍醐味は、もちろん謎が解き明かされるところだろう。だけれど、この小説はそこは確実に押さえながらも、ひとりの人間の思想に鋭く踏み込んでいる。そうすることで、ひとつひとつの謎が起こることの背景、過程、解決することの当人にとっての意味合いを緻密かつ克明に描き出している。
謎を解くにあたって、村重が土牢に捕らえた官兵衛に話を持ち込む。各章ここが見どころであり、謎を解く手がかりになるが、官兵衛が村重に解を直截伝えないところが憎くも何故か好感をもてるのは自分だけだろうか。最後に官兵衛の一幕を見届けて尚一層何も知識がないこの知将を好ましく思った。
簡単に読める小説では無し、されど読めばどっぷり物語に沼ること間違い無し。
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