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読書感想文 『本日は、お日柄もよく』

【本日は、お日柄もよく】



“困難に向かい合ったとき、もうだめだ、と思ったとき、想像してみるといい。三時間後の君、涙がとまっている。二十四時間後の君、涙は乾いている。二日後の君、顔を上げている。三日後の君、歩き出している”


これは、東えりかさんが本編から引用した、解説の冒頭三行だ。



正にこの言葉通りの体験をしたことがある。というよりも、泣いたときの私はほぼ100%これだ。
そして、恐らく多くの人も経験したことがあるはず。

であれば、この小説の良さを感じる準備は万全である。




山のような積読からこの小説を手に取ったきっかけは、最近、友達の結婚式が続き余韻に浸りたいと思ったから。ではなぜ余韻に浸りたいのとこの小説が結びつくかというと、主人公の“こと葉”が幼なじみの結婚式で衝撃的なスピーチに出会うところがこの小説の導入だったからである。

伝説のスピーチライター久遠久美の祝辞を聞いたこと葉は、政権交代を目指す野党のスピーチライターに抜擢されることとなる。


読むきっかけは友達の結婚式だったけれど、衆議院議員選挙を直前に控えたこのタイミングで読んでよかったと心から思えた。

家の最寄駅で、会社の最寄駅で、街角で、候補者の方々がどんな経験をしてきて、どんな思いをもって朝挨拶をしていたり通りすがる人々に向かって言葉を発しているのか、それを知ることはできなくても、その気持ちの一片でもいいから聞いてみよう、という気持ちが湧いた。


スピーチというと、作中でも出てくる結婚式の祝辞や選挙演説がすぐに思い浮かぶけれど、誰かの前で発表するという機会は割と身近にある。だからこそ、自分自身のスピーチライターとしてどんな言葉や間合いが相手に響くのか考えてみると面白そうと感じた。



原田マハさんは美術系小説のイメージだったけれど、お仕事小説もハマった。他にもあるのかな?




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