アメリカの公的医療保険〜アメリカ人は病院に行かない?!〜
「アメリカ人は病院に行かない」ということを
聞いたことがある方はいますか?
実際に、私もアメリカ留学をしていた身ですが、
風邪をひいたといってもほとんどの人は家庭内
医学で治そうと試みて、病院に行くという人は
少ない印象でした。
さらに、風邪をひいた人でも構わずマスクなし
で咳き込んでいるにも関わらず、周りも何も
気に留めていない印象でしたね。
私は日本人なので「マスクしてくれー」と
心の中でずっと思っていました。笑
アメリカ人がマスクをしないのは「R」と「L」
などの微細なサウンドの区別を口元で見分ける
ため、マスクをするとコミュニケーションに支障
をきたすということもあるようですが、
アメリカでは「マスクをつける=重病」という
イメージもあるようで、マスクをつけていたら
「大丈夫なの?!」と驚かれてしまうことも
あるとか。
それくらいアメリカでは、病院に行くという
ことは大変なことという位置付けなのです。
日本では、風邪をひいたらすぐ病院に行く
という人もいますし、市販薬で治療を試みて
治らないからやはり病院に行くという人も
いますよね。
日本人は病気になった場合、すぐに病院に
行く方がいいという意識があると思います。
しかし、アメリカ人はできるだけ病院には
行かずに、自力で治そうとするのです。
この差は一体何なのでしょう。
これは文化的な差もあるのでしょうが、
国としての「医療制度」の差が大きな違い
としてあります。
過去記事でも記載した通り、日本では社会保障
として「健康保険」「国民健康保険」という2つ
の公的医療保険制度があります。
そのため、日本に在住するすべての人がどちらか
の健康保険に加入します。
この公的医療保険制度に加入していることで、
病院の窓口で払う医療費の自己負担は3割等の
安い金額で医療を受けることができます。
さらに、「高額療養費制度」もあることで、
一定の金額以上医療費がかかった場合は還付を
受けることだってできます。
このことから、日本人は病院に行っても高額な
医療費となることは少ないため、頻繁に病院を
利用します。
一方で、アメリカの医療制度はかなりシビアです。
アメリカの医療制度は2つに分けられます。
①メディケア
65歳以上の高齢者と障害者を対象としたもの
です。
さらに、納税歴や所得等によってパートAから
パートDの4つに分かれます。
パートAであれば医療費は無料となりますが、
それ以外は一定の自己負担が発生します。
②メディケイド
低所得者層を対象としたものです。
これは州によって基準等が異なりますが、
一定所得以下の場合、医療費は無料となります。
以上の2つがアメリカの公的医療保険です。
お気づきの通り、65歳までの所得がそれなり
にある方については、公的医療保険制度の対象
ではありません。
ということは現役世代の方々は全額自己負担で
医療費の支払いをしなければならないということ
です。
これがアメリカ人が病院に行かない理由です。
実際にどれくらいかかるのかというと、
在ニューヨーク日本国総領事館情報から
損保ジャパンがまとめた表がこちらです。
現在の1ドル=136円のレートですと、
ニューヨークでちょっと風邪で病院で診察を受ける
というだけで、20,400円もかかります。
さらに、処方箋代金は別ですから、風邪でお薬
をもらいに行くだけで30,000円近く飛びます。
つみたてNISAできますね。笑
また、日本は一律医療費は診療報酬点数として
決まっていますが、アメリカでは州や地域に
よって異なります。
なお、救急車についても日本は無料ですが、
アメリカはお金がかかります。
消防庁資料「平成27年度(2015年)救急業務
のあり方に関する検討会」より損保ジャパンが
まとめた表です。
1回の救急車でiPhone13買えますね。笑
日本もこうすればタクシー代わりに救急車を
呼ぶマナー違反が減りそうですけど。
このように、アメリカでは公的医療保険が受け
られる対象範囲が限られていること、さらには
医療費も高いというシビアな国です。
よって、アメリカでは4,000万人以上の無保険者
が発生していたことや、医療費の支払いで破産に
追いやられる人などがいました。
前大統領であるオバマ政権では、2010年3月に
「オバマケア(医療保険制度改革法)」を制定
して、2014年1月から全国民が民間の医療保険
に加入するよう義務付けました。
しかし、現トランプ政権では、保険金支払いが
増加したことなどによってオバマケアを廃止する
動きが続いています。
そもそも、オバマケアが施行されてからも、
民間の生命保険会社の医療保険が高くて加入
ができないという方もいたことから、完全に
国民の医療負担を解決したものではなかった
そうです。
これくらいアメリカの公的医療保険は厳しい
ものだということがご理解いただけましたで
しょうか。
上記の過去記事の通り、日本では公的医療保険
が充実しています。
しかし、この公的医療保険で全てのケースが
カバーできるものではありません。
ぜひ最適なカタチで必要最低限は医療保険を
備えることを私は強くお勧めします。
いつでもご相談ください。
それでは。
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