ガソリン価格の高騰〜問題の背景を知ること〜
ガソリン今めちゃくちゃ値上がりしてますね。
24日、岸田総理が国家備蓄を初めて放出する
という方針を表明しましたね。
日本の石油備蓄は国が持つ国家備蓄と、
石油会社に法律で義務づけている民間備蓄に
分けられます。
なぜこのように備蓄をしているかというと、
日本では過去に石油が極端に枯渇したオイル
ショックという出来事が起き、国内がパニック
に陥ったことがありました。
そのような緊急事態を回避すべく、普段から
備蓄をしているということです。
それを今回放出し、ガソリン元売り会社へ
手を差し伸べ、少しでもガソリン価格の高騰を
抑制してくださいという流れになるようです。
私が住む広島県福山市の平均価格は、
2021年11月現在『163円』くらいです。
皆さんのお住まいの地域はどうですか?
東京に住む方は車に乗る機会も減っていますが、
地方はまだまだ車社会であり、ガソリン価格の
高騰は生活費として大きく関わってきます。
なぜここまでガソリン価格が高騰しているのか
その背景を紐解いていきます。
一番主な要因は「原油価格の高騰」です。
ガソリンの元となるのは原油です。
それ以外にもプラスチック製品を加工する際の
原料になっていたりもします。
この原油が高騰しているからです。
高騰の理由は、コロナの感染減少を受け、
世界各地での経済活動が元通りになりつつある
ため、原油の需要が高まっていること。
また、供給元である産油国が含まれるOPEC加盟
国と非加盟国のロシアやメキシコなどで構成するOPECプラスが原油の減産を継続しているため、
需要と供給のバランスが世界的に取れていない
ということです。
OPECは石油輸出国機構を指し、加盟国は下記の
とおり。
イラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、
ベネズエラ、カタール、リビア、・アラブ首長国
連邦(UAE)、アルジェリア、ナイジェリア、
エクアドル、アンゴラ
これらの産油国での石油供給に制限がかかって
いるため、供給が少ない中、世界的には需要が
回復してきているため、原油価格は引き上げら
れるというわけです。
また、この原油価格を決める際には、
「ニューヨーク原油先物」
「ブレント原油先物」
「ドバイ原油・オマーン原油のスポット価格」
が三大指標となっています。
その中でも、ニューヨーク原油先物である
「WTI(West Texas Intermediate)」
が世界的な指標となっています。
ニューヨーク市場では10月11日、WTIの先物
価格が一時、1バレル=82ドルを超えました。
これは約7年ぶりの高値となり、歴史的に見ても
現在の価格はかなり高騰しているということです。
ちなみに、バレルは液体などの量や体積を表わす
単位であり、原油であれば約159リットルです。
ここまでが今回のガソリン価格高騰の世界的な
目線で見た理由です。
原油価格の需要と供給のバランス崩れ、
価格基準となるWTIが高値をつけている。
ということでした。
また、日本は海外の産油国から原油を輸入して
賄う島国でありますので、原油を輸入する際の
輸送費や、タンカーの保険料など様々な手数料
が上乗せされてきます。
さらに、為替も影響していますから、円安である
今はかなり不利な状況ですね。
なかなか原油の輸入コストは侮れないです。
しかし、全体的に見た時に、近年ガソリン価格
は昔に比べてどんどん高くなってるようにも
思います。
国内的な目線で見た時はどのような要因が
加わっているでしょうか。
1つは、近年の石油元売会社の統合です。
昔は約20社ほどあった会社が現在は5社。
特に、記憶に新しいのが出光興産と昭和シェル
の統合でしょう。
また、業界首位を占める出光興産とENEOSで
日本のシェア8割を獲得しているそうです。
ここまで、大手が支配してくるともう価格競争
は以前に比べて発生しづらいですね。
また、それに伴いガソリンスタンドも減少傾向
にあります。
2つ目は、自動車の燃費向上です。
1リットルのガソリンで何km走行できるのか
表したものが燃料消費率、いわゆる燃費です。
近年は、「エコカー減税」という措置もある
ほど燃費にも注目が集まっています。
環境にも優しいエコな車を購入する方には、
環境性能割と自動車重量税というものが
普通に購入するときより安くなります。
消費者にとってはとても良い制度ですよね。
しかし、ガソリン販売元にとっては美味しくない
話です。
燃費が良くなるということは、ガソリンを給油
する回数が減るということです。
つまり、ガソリンの販売機会が減るということ
ですね。
そのため、燃費の向上はガソリン販売においては
苦境となるわけです。
3つ目は、若者の車離れです。
私もその若者に入れるかもしれませんが、
たしかに車を所有している方は少ないかも
しれません。
というのも、カーシェアやカーリースが
増えたことや、私の親世代にはあった車所有の
ステータス的な価値ももはや若者にはないです。
そのことから、車を利用する人が減ると、
ガソリンを利用する機会も減る。
ガソリン価格を高くしなければ売上と費用の
帳尻が合わないということになります。
ちなみに、このガソリンスタンドでのガソリン
価格の設定は一定小売店に委ねられている部分
があります。
例えば、セルフ給油であれば人件費が浮くため、
その分ガソリン代を安く提供できたりします。
以上、ガソリン価格の高騰における背景を
簡単にご説明いたしました。
私がなぜ今回ガソリン価格の背景を説明したかと
いうと理由があります。
それは、問題の背景を知る癖をつけるという
ことです。
起きている問題をただの事象として受け取る
だけではなく、何事もなぜその問題が起こって
いるのかという背景を知ることが大切だと感じ
ます。
何も知らずにただただ高いガソリン価格を
支払っているのと、こういう背景があるから
このような高いガソリン価格を支払っている
のと理解して支払ってあるのには大きな差が
ありますよね。
問題の背景を知ることは、知識量をアップ
することや、知らずに損をすることも回避する
ことができます。
ぜひ、気になったことは背景まで深掘りして
考える癖をつけてみてください。
それでは。