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虹の彼方に 第10話 スパイの正体
開演まであと十分。通り雨は本降りに変わった。
このあとだれも来なかったらどうするんだろう。こんな少人数のために演奏するつもりなの?
うれしいような申し訳ないような、複雑な気分だよ。早くほかにも来てくれたらいいのに。あたしは本当に心配になって、店の外まで様子を見に行こうと席を立つ。
ちょうどそのタイミングで店の扉が開き、数名が入ってきた。あとにも続いて、何組かの集団がやってくる。
得能くんも見ているかな。よかったね。みんな来てくれてるよ。
ホッとしたあたしが席に着こうとしたら、
「おや、西田じゃないか」
いきなりうしろから声をかけられた。
知り合いなんているはずがない。不思議に思ってふりむくと、二十代後半くらいの男性が数名立っている。その中に、予想すらしなかった人がいた。
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