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"自分を知る"が最強の武器になる

「自分のことは自分が一番わかっている」—。しかし、本当にそうでしょうか? 実は私たちは、自分自身についてさえ、意外なほど理解していないことが脳科学の研究で明らかになっています。

人間の脳は、自分に都合の良い情報を選択的に受け入れ、都合の悪い情報は無意識のうちに排除するよう設計されています。そのため、客観的に自分を理解することは、想像以上に難しいのです。

しかし、この「自分を知る」という行為こそが、キャリアの成功から人生の充実度まで、あらゆる面での成長を左右する重要な要素となっています。近年、GoogleやMicrosoft、Appleといった革新的な企業が、社員の成長プログラムに「内省の時間」を意図的に組み込んでいるのもそのためです。

古代ギリシア時代の哲学者ソクラテスも

内省のない人生は生きる価値がない

そこまで言わなくても…

と残すほど重要視しています。

では、なぜ「自分を知る」ことがそれほど重要なのか。そして、どうすれば本当の意味で自分自身を理解できるのか。キーワードになる「内省」を見ていきましょう。


内省とは?

一般的には自らの行動や考えを深く省みることとされています。自分自身と向き合い、何をどう感じたのか、それはなぜなのか?など客観的かつ批判的に振り返る行為です。

内省をすることで価値観や感情、思考を言語化し、自己理解が深まるだけでなくメタ認知能力の向上や感情のコントロール能力向上によるストレス低減など証明されつつあります。

過去の行動や思考、感情にフォーカスがあるように思われますが実は内省は未来に向けた行為であることも重要な点です。

しかし、リフレクションの目的は、あらゆる経験から学び、未来に活かすことです。どのような経験にも、たくさんの「叡智」が詰まっています。経験を客観視することで新たな学びを得て、未来の意思決定と行動に活かしていく。これがリフレクションです。

リフレクション(REFLECTION) 自分とチームの成長を加速させる内省の技術

リフレクションは、「振り返り」「内省」とも訳され、過去や失敗を省みる点が強調されがちです。しかし、過去や失敗を省みることは、極めて限られた一部でしかありません。批判的な過去や失敗の振り返りに囚われると、本質的な自分を見失ってしまいます。 リフレクションとは自分自身の未来や現在、そして過去をすべてありのままに客観的に映し、知ることです。

「自分の可能性」を広げる リフレクションの技術

内省とはなにか?ポイントをまとめると

  1. 客観的に自分を捉える

  2. 自分の内側にあることをそのまま受け止める

  3. 未来に向けて活かす

の3点がとても大切です。

客観的に自分を捉える

人は自分が見たいように、思いたいように、極論自分に都合よく生きているものです。脳自体の仕組みとして組み込まれているため、客観的に自分を捉えるのが難しいのです。

数年ほど前から脳科学的な領域を学んでいたので、ここらへんはかなり腹落ちします。↓こちらのnoteもぜひ読んでみてください!

自分の内側にあることをそのまま受け止める

これはどういうことでしょうか?

「あることと」は自分の中に感情、思考、気持ちなど心の内側に存在しているものです。ネガティブなものだけでなく、欲しいと思っていることや状態、信じていることなども含まれます。

それを自分の中にある「事実」として捉え直し、「あ〜そういう気持ちが自分にあるんだなー」と自分を天から見ているようなイメージをすると(個人的には)受け止めてあげれた感覚がわいてきます。

え?それだけ?という感じですが、自分の中にあることをそのまま受け止める。認めてあげることが自己理解への一歩です。(私はそんな事実認めたくないと思っていること、それ自体を認めることでもよいのです)

こちらの書籍が非常に参考になったので、どこかで解説記事もお届けします。


未来に向けて活かす

客観的に自分を捉えた、自分の中にあることも知れた、が行動や意思決定に移れなかったのでは内省の効果を十分に発揮することはできません。

自分自身に対する認知を現実世界で起こす行動や意思決定を通して、さらに学習していくことがより深い内省への材料になります。

あなたの認知や常識、思い込みはさまざまな経験から脳内に蓄積されてできあがっています。つまり、行動や経験を通して脳は認知や概念、常識を獲得していくのです。

内省から行動に移していく過程で「楽しいと思っていたことが、思ったより楽しくなった」「嫌だと思っていたことが、そうでもなかった」など認知と現実のギャップが見てきたときが再び内省のチャンスです。


なんで内省が必要なの?

私の知り合いのある30代の会社員はこんな状況に長年陥っています。

キャリアを積んでいく中で、仕事や私生活も落ち着いてきた。が本当のところは自分のこともよく知らず、何に向かっているのかわからないまま、もやもやした感情を抱えて日々を過ごし仕事に向かう。

周りの友人達はイキイキしているようにSNSでは見える。しかし、なにをどうしたら自分の望む未来が手に入るのか見当もつかず、変化のない毎日を送る。

どうしてこうなってしまったのか?それは、先ほどあげた3つのポイントが欠けていたからかもしれません。

  1. 客観的に自分を捉えていない: 日々の忙しさに追われ、自分の感情や行動を振り返る機会を持てていない。「なぜこの仕事を選んだのか」「今の生活に本当に満足しているのか」—そんな根本的な問いかけを避けてきた。

  2. 自分の内側にあることを受け止めていない: 「こんなことを考えるなんておかしいかも」「もっと頑張らなきゃ」と、自分の中に湧き上がる感情や思いを否定し続けています。不安や迷いを感じることは当たり前なのに、それすら認めることができない状態。

  3. 未来に向けて活かしていない: 日々の経験を、単なる「出来事」として流してしまう。成功も失敗も、深く考えることなく過ぎ去っていく。その結果、同じパターンを繰り返し、本質的な成長につながらない。

内省は、このような状況を変えるための第一歩となります。日々の経験を深く理解し、自分の本当の想いに気づき、それを未来の行動に活かしていく。その積み重ねが、「何となく過ごす日々」から「充実した人生」への転換点となるのです。


見落とされている他者からのフィードバック

内省は「自分との対話」ですが、それだけでは見えない視点があります。他者からのフィードバックは、私たちの内省をより深く、より正確なものにする重要な要素となります。

例えば、あなたが「自分は周りの意見をよく聞く人間だ」と考えていても、実は会議で人の話を遮ることが多いかもしれません。または「自分は効率的に仕事をしている」と思っていても、チームメイトからすると必要以上に細部にこだわっているように映るかもしれません。

このような「自己認識と他者からの評価のギャップ」こそが、より深い内省のきっかけとなります。なぜそのようなギャップが生まれるのか、自分の中のどんな思い込みや価値観が影響しているのか—。他者からのフィードバックは、私たちの「見えない側面」を照らし出す鏡の役割を果たすのです。

ただし、すべてのフィードバックを鵜呑みにする必要はありません。大切なのは、フィードバックを受けた時に「なぜそのように見えるのか」「自分はどう感じているのか」を丁寧に観察することです。時には、フィードバックと自己認識の間にある「ズレ」そのものが、自分らしさや強みを表している場合もあります。

つまり、内省と他者からのフィードバックは、私たちの自己理解を深める「両輪」といえるでしょう。内省だけでは陥りがちな主観的な解釈の罠を、フィードバックという客観的な視点が補完してくれるのです。そして、フィードバックを受けた後の内省が、その経験を真の学びへと昇華させていくのです。


参考書籍:

↑著者の西原さんのnote


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