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怒っている人への言葉かけ
利用者が突然、大きな声で怒りだすことがあります。原因がはっきりしていることもあれば、その原因が見つけられないことがあります。
私は、障がいのある人が利用する事業所を経営しています。日中活動は、10人から20人ぐらいのグループで活動します。グループホームは6人の人が生活をしています。一人ひとりの個性や意思を尊重した支援をこころがけています。しかし、集団行動であることは否めません。
利用者が怒りだしたとき
突然、利用者が大きな声で怒り出したとき、支援者はその原因を解明し、原因を取り除いたり、改善しようとします。あわせて、怒っている利用者をその場から他の利用者がいない場所へ誘導しようとします。しかし、ほとんどの場合、怒っている利用者は、その場所を離れようとしません。
グループホームは自分の部屋があるので、自分の部屋に誘導して、そこで話を聴かせてくれるようお願いをします。しかし、手を振り払って、ガンとしてリビングから離れません。
周囲の利用者の反応は…
誰かが怒りだすと、周囲にいる利用者が動揺します。利用者の中には、自分からその場所を離れる人がいます。しかし、怒っている人に対して怒りだし、注意をする人がいます。また、反対に怒っている人を見て泣き出す人がいます。大変な状況におちいります。
そんなときは支援者間で目配せをして、他の利用者を別の部屋に誘導します。それが難しいときは、少し大げさなモーションで他の活動を提案し、そこに注意をひきつけて、怒っている人から注意をそらします。
支援者の対応は…
怒り出してしまった利用者が、何に怒っているのか、何が思い通りにいかなかったのか、そこをつかんで改善をします。もしかしたら、それは直前のできごとではなく、はるか昔のできごとかもしれません。それでもご本人にとっては、つらいこと、くやしいこと、いやなことには変わりなく、今、大変腹立たしい状態です。それをどうにかしてキャッチするところから支援は始まります。
このような支援をするためには、支援者にゆとりがなければできません。ゆとりは、人員配置的な問題と、個人の気持ちの問題、その両者が影響します。
ゆとりがないと失礼な対応に…
ゆとりがないと、怒っている利用者に対して失礼なことを言ってしまいます。たとえば、「周りのみんながびっくりしているでしょう」という言葉かけです。確かに、周りの人が驚いていることは事実です。だからといって、それとご本人の怒りは別です。まずは、怒っているご本人に向き合わなければいけません。もしかしたら怒りの原因は、支援者にあるかもしれません。
また、「周りのみんながびっくりしているでしょう」そう言っている場合、支援者が、びっくりしてどう対応したらよいか困っているのです。
ときどき、昔の自分を思い出さないと、失礼なことをしてしまいます。