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「農福連携」とは何か?

今回は番外編として「農福連携」についてご紹介したい。

金沢QOL支援センター株式会社でも、以前より「農福連携」事業を取り組んでおり、「リハスファーム」というものがある。この「リハスファーム」について、そもそも農福連携というものを知っていただいた上でご紹介したいので、今回は番外編として「農福連携」について記事にしようと思う。

私自身、会社説明会で初めて「農福連携」というものを知った。

あ (55)

昨今、スマート農業が巷で話題になっている。

スマート農業とは、ロボット技術や情報通信技術(ICT)を活用して、省力化・精密化や高品質生産を実現する等を推進している新たな農業のことを言う。

注目はされているが、これがすぐに日本全国に普及するかと言われるとまだまだ時間がかかることが予想できる。

そこで今徐々に増えているのが農福連携だ。

そもそも農福連携という考え方が広まり始めたのは2016年ごろ。政府が定めた「ニッポン一億総活躍プラン」(2016年6月 閣議決定)においては、社会的に弱い立場の人々が最大限活躍できるような環境整備の一環として「農福連携の推進」が盛り込まれた。

これをきっかけとして、その後「日本農福連携協会」が設立。全国の農福連携に関わる団体を包括するプラットフォームとして立ち上がり、農福連携の啓発セミナーや農福連携によって生産された農産物の販路拡大などを行っている。

農林水産省・厚生労働省・民間企業・NPO法人・農家などが垣根を越えて一体となり、農業における課題と福祉における課題を一挙に解決すべく取り組みがスタートしている。

農福連携とは、障害者等が農業分野で活躍することを通じ、自信や生きがいを持って社会参画を実現していく取組です。
農福連携に取り組むことで、障害者等の就労や生きがいづくりの場を生み出すだけでなく、担い手不足や高齢化が進む農業分野において、新たな働き手の確保につながる可能性もあります。

上記の農林水産省の説明にもかかれているが、農福連携はまさにWin-Winな関係であることがポイントの一つである。

担い手不足、高齢化が進む「農業」分野
障がい者の方が社会参画できる場をつくりたい「福祉」分野
農業と福祉の連携により、地域を盛り上げていくという狙いも

そのほかの背景としても、今まで障がい者雇用の主流だった事務補助はIT化とAIなどに転換しつつあり、工場現場も海外移転で縮小しているという意見もある。また農作業精神保健的な効果も期待できる。

農林水産省の資料によると、

農福連携に取り組む農業経営体の
● 76%が「障害者を受け⼊れて貴重な⼈材となった」と認識
● 57%が「労働⼒確保で営業等の時間が増加」と認識
● 78%が5年前と⽐較して年間売上が増加

農福連携に取り組む障害者就労施設の

● 79%が「利⽤者が体⼒がついて⻑い時間働けるようになった」、62%が「利⽤者の表情が明るくなった」と回答
● 74%が過去5年間の賃⾦・⼯賃が増加

と書かれている。

しかし良い側面ばかり見ても危ないと思っている。

上の記事はNewspicksより見つけたのだが、そこでは記事について、コメントが書かれているので興味深い。

実際に農家の方で農福連携を取り入れている方の意見やそれ以外の方の意見もあるが、

「農福連携はトレンドとなりつつあるが、うまく回っている事例はなかなかない。多品目型の農業は臨機応変さが重要で、オペレーションも複雑で簡単なことではない」

「そんなに言うほどバラ色じゃない。」

という現実的なコメントもある。

だからこそよりその人に合った作業を一緒に見つけることや、専門性を持つ方のサポートというのがカギになってくると思うし、そこで差が生まれるのではないかな、と感じる。

”農福連携いいね!じゃあお願いね”と丸投げをするのではなく、全員で一体となって一人一人が活躍できる環境を考えていく、そのひとつに農福連携がある、という考えの方がいいのではないか、と思っている。

本当の意味でお互いWin-Winの関係を築けたとき、農業にとっても福祉にとっても新しい可能性が広がっていくことが期待できる。そのためにも、現場だけに任せるのではなく、良い面悪い面どちらも考慮した上で、より良い形とは何か全員で考えていくことが必要だと言えるだろう。

そのためにもまずは「農福連携」というものの認知度を上げる必要がある。


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塩浦良太
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