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人材派遣営業のコツ② 基礎知識編 part14 「労使協定方式とは」

今日のnoteは人材派遣営業のコツシリーズ第二弾、基礎知識編のpart14として、「労使協定方式とは」について、お話しします。

「ひたすら具体的」というのがこのシリーズの狙いなので、知っておくべきことについて超実践的に解説していきます。

コツコツと積み上げていけば、つらくなく、楽しく貢献できる人材派遣営業になれること、間違いなし!周りに、人材派遣営業をしていて、辛そうにしている人がいたらこのnoteを紹介してください。

シリーズのマガジンはコチラ↓


基本的にガイドラインを一読するがよろし

前回までで、派遣先均等・均衡方式と労使協定方式があって、派遣先均等・均衡方式が原則であるということ+派遣先均等・均衡方式の概要をお話ししました。

前回、前々回のnoteはコチラ↓

んで、今日は少し触れた派遣均衡・均等方式と呼び変えても良いかと思われる「労使協定方式」についてです。

労使協定とは読んで字のごとく、その会社の労使間での協定です。各社ごとに違ってしかるべきものであるので、今まで以上に↓ガイドラインに沿って、知っておく部分を抜粋する形を取ります。

つまり、(残念ながら)ガイドラインを一読しておくに越したことはないです。

では、主にP73の第4部から。行ってみよー!


労使協定方式とは

待遇決定方式は2つあって、

①派遣先の正社員と待遇を比較するか

②派遣元(派遣会社)の正社員と待遇を比較するか

でしたよね。で、労使協定方式は②です。


そして、具体的には、厚労省のガイドラインによると、労使協定には以下の通りの事項を定めなくてはいけません。

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それぞれ見ていきます。


賃金の決定方法

で、まずはとっても知っておかないといけないのが②の「同種の業務に従事する一般労働者の平均的な賃金の額」という概念です。

「同種の業務に従事する一般労働者の平均的な賃金の額」には、基本給、手当、賞与、退職金が含まれます。

で、もう、ガイドライン読んで!って言いたくなるのですが、以下の3つで分離して考えます。

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①基本給・賞与・手当等

ガイドラインにはこうあります。

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・・・局長通知ってなんじゃ!!ということで↓リンクをご覧ください。

労使協定方式(労働者派遣法第30条の4)「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準」についてという項目がありますね。

こちらにリンクのある、「賃金構造基本統計調査による職種別平均賃金」「職業安定業務統計の求人賃金を基準値とした一般基本給・賞与などの額」それから、「職業安定業務統計による地域指数」というのがそれです!

こちらは、端的に言うと、前の2つが「賃金構造基本統計調査」や「職業安定業務統計」において、一般的な賃金統計や求人の統計から、勤続0年目の基本給・賞与が含まれたものと、勤続1年、2年、3年、5年、10年においての同じく基本給・賞与を時間給に直した水準が示されています。そして3つ目の地域指数というのは職業安定業務統計による地域ごとの係数です。

このデータを利用して、

勤続0年目の基本給・賞与など×能力経験調整指数(何年目相当か)×地域指数

で求められるのが、労使協定において、最低限確保しないといけない賃金の水準です。

【ポイント!!】
この水準が、いわゆる正規雇用の賃金の平均という考え方をして、それを超える賃金の設定となっているので、まずは基本給・賞与などの賃金においては、正規雇用と派遣労働者の待遇格差が解消されていると考えるという発想がベースです。

↓「職業安定業務統計の求人賃金を基準値とした一般基本給・賞与などの額」

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↓地域指数

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例えば、ここに引用した職業安定業務統計を使うとしたら、経理事務3年目相当で東京が派遣先事業所である場合の賃金は

1,471円×114.5%=1,685円(切上)

という計算となり、1,685円以上の時給を支払う形の労使協定を結ぶ必要があります。

また、ここでいう賞与も統計ごとにいろいろ計算されていて、職業安定業務統計の場合は最後に102%をかけられている分が賞与とのことです。

それから、局長通知で示された職種などが実態に合わない場合は他の統計(民間統計も)を活用することが可能になってます。


②通勤手当

続いて、通勤手当です。正規雇用で通勤手当がない会社はかなり少ないので、こちらは労使協定方式では必ず必要な手当になっています。(派遣先均等・均衡方式なら、派遣先に通勤手当がなければ発生しない)

通勤手当については2通りの支給方法のいづれかを選択する必要があります。

①実費
②令和3年度の場合、「74円/1時間当たり」以上の額

①実費というのはそのまま、何らかの手段でかかった費用を払うことで一般的な通勤手当ですね。

②は、ここでも統計が出てきまして、具体的には

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とあります。

調査による通勤手当の平均額を、これまた給与の平均に占める割合で、なんちゃらこんちゃらしたら、1時間当たり74円になったから、それ以上で!という発想です。この74という数字は当然最新の調査によって、毎年変わります。(令和2年度は72円でした)

つまり、先ほどの経理事務3年目相当の東京勤務の場合、交通費を実費ではなく定額で支払うなら

1,685円+74円=1,759円

が、最低限、支払うべき時給のボーダーラインとなります。


③退職金

退職金も労使協定方式では、必須になります。

そして、その支給方法は3通りから選びます。

①退職金制度

とっても、普通の響きですが、まさに普通のやつです。勤続3年目以降に以下のように支給します的な。以下はガイドラインの例です。

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②退職金前払い

こちらは交通費の74円と発想が同じです。

退職金の場合、定めた基本給・賞与などの時給に6%を乗じることで支払ったとみなします。

先ほどの経理事務3年目相当(東京)の場合

1,685円+102円(1,685円×6%)=1,687円

以上の時給を支払う労使協定を結びます。


③中小企業退職金共済制度等に加入する場合

こちらも6%以上を対象として加入します。

ちなみに6%の根拠は↓

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・・・・と、まぁ、非常にわかりにくい・・・・一個一個見ていくと、理解はできるのですが、さすがにややこしいですよね。

大枠をつかむべく、正規雇用の賃金データをもとに割り出した平均を超えていれば、派遣労働者ということによる待遇格差はないだろうという「みなし」的な考えがベースにあること理解しておくとわかりやすいです。

ちなみにこの局長通知は毎年6~7月に、次の年の4月以降に使うものが出てきます。

そして、このようにして決定された賃金に対して、

イ 派遣労働者の職務の内容、成果、意欲、能力又は経験等の向上があった場合に、通勤手当等を除く職務の内容に密接に関連して支払われる賃金が改善されること

というルールもあります。

こちらは、いわゆる昇給をイメージした制度でして、しっかりとした評価制度を設けることで賃金の改善がされることを義務付けています。

ここにきて、まさかの職能給!!ひたすら、職務給である派遣の特徴を残せそうな流れで来ておりましたが、ココだけは職能給です。お間違え無く。

これについては、職務給と職能給をしっかり理解できているかという意味で、実務上営業パーソンの評価にダイレクトに影響を与えているような気がするので、別で改めて解説しようと思います。が、ガイドラインP90の以下を知っておいてください。

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賃金以外の決定方法

こうして賃金とその見直しの方法が決まります。そして、それ以外については以下の考え方になります。

①福利厚生について

福利厚生はいわゆる、「パートタイム・有期雇用労働法」の考え方になります。派遣会社の派遣労働者以外のインターナルな社員と同じ福利厚生を準備する必要があります。

派遣単価へ大幅な値上げの影響を与えることを回避するために、派遣会社の従業員の福利厚生を見直した会社もあるかもしれません。(あるんだ・・・どこの会社とは言わないけど、あるんだ・・・・夏休み、なくなったんだ・・・・)


②教育訓練について

こちらも同じく、派遣労働者を除く、インターナルな社員と同じ教育訓練の機会を確保する必要があります。


最後に

知らないより知っておいたらいい事が、労使協定周りにはたくさんあるのですが、まずは労使協定方式のアウトラインはこんな感じで把握しておけば、実務上何とかなります!たぶん!!

これで、派遣先均等・均衡方式と労使協定方式を理解しましたので、次回はそれぞれを比較していきます。

では、また明日!




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